「乳腺炎」の初期症状を医師が解説! 胸の腫れやしこりはすぐに受診を
強い痛みなどを引き起こす乳腺炎。適切に治療を行えば速やかに症状は改善しますが、放置すると症状が悪化し、場合によっては入院しての治療が必要になることもあります。「乳腺炎を発症するとどのような症状が見られるの?」「治療法は?」など、気になることをHanaクリニック乳腺外科の朴先生に聞きました。
監修医師:
朴 圭一(Hanaクリニック乳腺外科)
目次 -INDEX-
乳腺炎の初期症状・なりかけの症状を医師が解説 胸にチクチクした痛みやしこりがある女性は要注意
編集部
乳腺炎とはなんですか?
朴先生
簡単にいうと、乳腺組織が炎症を起こしている状態のことです。
編集部
なぜ発症するのですか?
朴先生
原因の違いによって、乳腺炎は二つに分類されます。一つは「うっ滞性乳腺炎」。これは文字通り、母乳が乳房の中に溜まり、そこに炎症が起こることによって発症します。もう一つは「化膿性乳腺炎」。これは乳房内に細菌が侵入し、増殖することで起こります。
編集部
どのような症状が見られるのですか?
朴先生
・局所の痛み
・腫れ
・赤み
・熱感
・硬さ、しこり
そのほか全身反応として発熱、悪寒、関節痛、筋肉痛、倦怠感なども起こります。風邪と似ている症状なので、発見が遅れることも少なくありません。
乳腺炎の主な原因は授乳中の細菌感染? なりやすい人の特徴も解説 産後のママ以外も乳腺炎になる?
編集部
うっ滞性乳腺炎はなぜ起きるのですか?
朴先生
うっ滞性乳腺炎は、主に母乳の通過不良や授乳の不慣れなどが原因で起こります。
編集部
化膿性乳腺炎はなぜ起きるのですか?
朴先生
多くの場合、乳頭の小さな傷や母乳の出口から細菌が侵入して感染します。
編集部
産後の女性以外にも乳腺炎になることはあるのですか?
朴先生
乳腺炎は授乳中の女性に起こるものと思われがちですが、授乳期以外の女性にも起こりえます。たとえば、「乳輪下膿瘍(にゅうりんかのうよう)」は乳輪の奥に膿が溜まる疾患で、中年期や陥没乳首の女性、喫煙の習慣がある女性に多く発症するとされています。
乳腺炎になったときの対処法・治療法や繰り返さないための予防法 マッサージも効果的?
編集部
乳腺炎になったときにはどうしたら良いのでしょうか?
朴先生
細菌感染が原因の場合には、抗生物質による治療を行います。一方、うっ滞性乳腺炎の場合には、軽度であればできるだけ多くの母乳を赤ちゃんに飲んでもらうことで滞っていた母乳が流れて徐々に改善していきます。
編集部
症状が改善しない場合にはどうしたら良いのでしょうか?
朴先生
それでもよくならず、強い症状がある場合には鎮痛薬や抗生物質を処方します。進行すると膿がたまることもあるので、早めにかかりつけの助産師、乳腺外科を受診して適切な治療を受けることが大切です。
編集部
乳腺炎を予防するにはどうしたら良いのでしょうか?
朴先生
母乳が乳管を通りやすくし、母乳の排出をスムーズにするため、乳頭や乳房のマッサージをすると良いでしょう。詳しい方法は助産師さんに教えてもらいましょう。
編集部
そのほか、気をつけることはありますか?
朴先生
授乳方法や授乳時間、授乳回数を見直すことで乳腺の詰まりを予防できます。授乳間隔が長すぎると乳腺が詰まりやすくなるので気をつけましょう。また感染予防のために、乳頭を清潔に保つことも必要です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
朴先生
胸の痛みや腫れなど乳腺炎を疑わせる症状があれば、乳腺専門医もしくは授乳中であれば助産師さんに相談しましょう。放っておけば細菌が体中に広がって、命に関わることもありますので早めの対応を心がけましょう。
編集部まとめ
授乳期の女性で乳腺炎に悩んでいる人も多いのでは? 放置すると、化膿性乳腺炎に進行する怖れもあります。腫れや赤み、痛み、熱感、しこりなど、すでに症状がある場合には早めに専門医を受診することを心がけましょう。
医院情報
所在地 | 〒151-0053東京都渋谷区代々木2-7-5 exside南新宿bldg. 4F |
アクセス | 「新宿」駅南口より徒歩2分 |
診療科目 | 乳腺外科 |