“介護疲れ”から“介護うつ”にならないために 介護のストレス・疲れを軽減する方法を介護福祉士が解説

自宅で介護をしている人がかかる「介護うつ」。介護うつは誰もがかかる可能性があります。在宅介護は心身共に疲弊するものです。周りに相談できる人がいない場合、特に孤独感が強まり、介護うつに陥る危険性が高くなります。今回は、介護うつの予防法や高齢者介護のポイントについて、介護福祉士の佐藤さんにお話を伺いました。
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監修介護福祉士:
佐藤 恵美(介護福祉士)
介護うつの原因と症状を解説 介護うつになりやすい人の特徴は?

編集部
はじめに介護うつについて教えてください。
佐藤さん
「介護うつ」とは、家族や身内などを介護している人が、介護を通しての不安やストレスが継続的に蓄積され、引き起こされるうつ病のことを言います。「介護うつ」という正式な病名があるわけではなく、症状は一般的なうつ病と同じです。“介護が発症要因となっているうつ病”というイメージですね。
編集部
介護うつの原因は何でしょうか?
佐藤さん
介護疲れやストレス、現在や未来への不安が主な原因です。これらが積み重なると、身も心も休まらなくなります。休養が満足に取れない日々が続くと、脳の処理機能が低下し、脳のエネルギー不足に繋がります。その結果意欲や判断力が落ちてしまい、これまでのように元気に動けなくなってしまうのです。
編集部
介護うつの特徴にはどのようなものがありますか?
佐藤さん
編集部
介護うつになりやすいのはどのような人ですか?
佐藤さん
真面目で几帳面な人が介護うつになりやすいと言えます。完璧主義で責任感の強い人も要注意ですね。「丁寧な介護をしよう」「行き届いた充分な介護をしよう」と思うあまり、頑張り過ぎてしまうからです。また、周りに気を遣い過ぎてしまう人、体の弱い人も介護うつになりやすいタイプです。たとえば徘徊で近隣の人や警察に保護されると、家族は「迷惑をかけてしまった」と思い悩みます。たとえ周囲の人達が「大丈夫ですよ」「お互い様ですよ」と言ってくれても、申し訳ない気持ちでいっぱいになり気持ちが落ち込んでしまう人もいます。こうしたことが積み重なると、介護うつにかかりやすくなります。
編集部
ストレスが限界に達したらどのような症状が出るのでしょうか?
佐藤さん
介護うつを予防するにはどうすればいい? 介護サービスは利用した方がいい?

編集部
介護うつ予防のためにできることはありますか?
佐藤さん
編集部
介護サービスを利用した方がいいのでしょうか?
佐藤さん
先程挙げた対策は「時間がないからできない」と思われる方も多いでしょう。自分のための時間を確保するに、介護サービスを活用していただきたいと思います。在宅介護において、最も避けたいのは家族が本人と共倒れになることです。そうならないために、介護サービスを積極的に使うのをおすすめします。
編集部
介護サービスを利用するには、まずどうすればいいですか?
佐藤さん
編集部
おすすめの介護サービスはありますか?
佐藤さん
在宅介護であれば、デイサービスやショートステイがおすすめです。どちらも要支援1から要介護5の人を受け入れてくれます。デイサービスは日帰りのサービスです。入浴やレクリエーション、リハビリなどがおこなえます。ショートステイはご家族が入院するときなどに利用できる、泊まりのサービスです。ご家族が入院する時、あるいは遠方に何日か行かなければならない時などに活用できます。
高齢者の介護のポイントを介護福祉士に聞く 普段から気をつけるべきこととは

編集部
高齢者を介護する上で気をつける点は何でしょうか?
佐藤さん
編集部
傾聴とは何ですか?
佐藤さん
相手の話に耳を傾け、同意や共感を持って関わることです。認知症の高齢者は何度も同じ話を繰り返す人が多いので、聞いている介護者はイライラしてしまう時があります。しかし、本人の話に頷く姿を見せるだけで「この人は私の話を聞いてくれるのだ」という安心感を持ってもらえるので、結果的に落ち着いて過ごせるようになります。
編集部
身体的に注意すべき点はありますか?
佐藤さん
高齢者は注意力が低下しているケースが多いので、ちょっとした段差にもつまずきやすくなっています。そのため、転倒防止対策はしっかりおこなう必要があります。高齢になると骨がもろくなり、一度の転倒が骨折や寝たきり状態に繋がる恐れもあります。そのため住環境の整備は必須です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
佐藤さん
在宅介護は大変負担の大きいものです。しかし、「家族のことだから家族で」と考えてはいけません。責任感を持って介護にあたるのは素晴らしいことですが、身内だけで介護を続けるのは限界があります。介護を頑張り過ぎてご家族が倒れてしまっては、元も子もありません。苦しい気持ちを誰かに聞いてもらったり、時には介護を専門家に任せたりして、自分が息をつける時間を作るのが介護うつを回避するコツです。
編集部まとめ
介護うつを予防するためには、適切な対策と上手なサービス利用がカギになると分かりました。時には肩の力を抜いて、周りに頼ることが大切です。在宅介護を続けるには、まず介護者が自分を労わる気持ちを忘れてはいけません。かかりつけ医や市役所や地域包括センターなどで、悩んでいることや困っていることを相談してみましょう。決して自分だけで抱え込まず、利用できる介護サービスをうまく取り入れてみてください。






