座薬の効果・使用方法を薬剤師が解説 使用する際の姿勢は? 入りにくい場合はどうすればいいの?
“座薬”と聞くと「肛門に入れるので使いたくない」「すぐに出てきてしまって入れ方が難しい」と、あまりいいイメージはないかもしれません。しかし、座薬は「吐き気があっても使用できる」「即効性が期待できる」といったよい点もたくさんあります。今回はあまり知られていない座薬の特徴や正しい使い方などについて、薬剤師の鈴木さんを取材しました。
監修薬剤師:
鈴木 智哉(薬剤師)
目次 -INDEX-
「座薬」はどんな薬? なぜ効果が高いと言われている? 座薬を使用するべきタイミングを薬剤師に聞く
編集部
はじめに、座薬とはどんな薬か教えてください。
鈴木さん
座薬とは内服するのではなく、肛門から体内に入れ、体温や分泌液で徐々に溶けて効果を発揮する固形の薬剤をいいます。座薬の主な種類は解熱鎮痛薬、吐き気止め、下剤、痔の治療薬などがあります。
編集部
座薬にはどんな利点がありますか?
鈴木さん
座薬は口から飲むわけではないので吐き気や痙攣、嘔吐がある場合にも使うことができます。座薬は直腸粘膜から吸収され、内服薬と違い肝臓を通過しない(初回通過効果を受けない)ため、薬が分解されにくく、安定した効果が出やすいのが特徴です。また、食事の影響を受けないのもメリットですね。
編集部
座薬はどんなタイミングに使えばいいですか?
鈴木さん
座薬は頓服のように、基本的には症状が出てから使用することが多いですね。ほかには、痙攣予防などで使うこともあります。
座薬の正しい使用方法とは 入れにくい場合の対処法を併せて解説
編集部
座薬の正しい使い方はどのように使うのですか?
鈴木さん
座薬の基本的な使い方は、座薬を包装から取り出し、ティッシュなどで座薬の底のあたりをつまんで先のとがっている方を肛門に挿入します。挿入する際は、中腰姿勢でおこなうと、座薬を2/3ほど挿入して立ち上がると、肛門括約筋が収縮し、簡単に入れることができます。小児の場合は、おむつを変えるときの体勢で入れて、しばらくそのままおさえておいてあげるとよいでしょう。
編集部
座薬が入りにくいときはどうすればよいですか?
鈴木さん
座薬が入りにくい場合は、薬の先を少量の水で濡らすとよいでしょう。また、ワセリンを塗っても入りやすくなります。
編集部
症状が改善しない場合はもう1つ入れてもいいですか?
鈴木さん
座薬を使用して1〜2時間して効果がないからとすぐにもう1つ使うのはやめましょう。1度使用したら5〜6時間は様子を見るようにしましょう。
座薬を使用する際の注意点を解説 入れる順番・挿入した時に出てきてしまった場合はどうすればいい?
編集部
座薬を入れた後、排便などで出てしまった場合はどうすればよいですか?
鈴木さん
座薬を入れた直後に出てしまった場合は、もう一度使用しても大丈夫です。挿入後10〜15分以降に排出してしまった場合は薬がどのくらい吸収されたのかわからないので、経過を見つつ4時間以上間隔をあけて方がよいでしょう。
編集部
座薬を2種類使う場合はどうすればよいですか?
鈴木さん
2種類の座薬を同時に使ってしまうと、薬の吸収が悪くなってしまうことがあります。少なくとも30分以上は間隔をあけた方がよいですね。使用する順番は基本的には水溶性の座薬が先、30分以上あけて脂溶性の座薬が後です。しかし、症状が強い方を先に使うという場合もあるので、わからない場合は医師か薬剤師に相談するようにしましょう。
編集部
座薬は冷蔵庫で保管しないといけないのですか?
鈴木さん
座薬の種類によります。冷所保存だと思われがちですが、室温保存で問題ない座薬もあります。脂溶性の座薬は冷所保存のものが多いですね。どちらの保存方法かわからないときは冷所に入れておけば問題ないと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
鈴木さん
座薬の特徴や使い方、意外と知られていないことも多いと思います。お子さんがいる方はお子さんが小さいときに使ったことある場合が多いですが、成人の方でも、自身での使用経験がないと座薬に触れることはあまりないでしょう。せっかくの機会なので座薬とはなんとなくこういうもの、と知っていただけると幸いです。
編集部まとめ
今回は座薬の基本的な知識や使い方について解説していただきました。座薬の使い方や保存方法、出てしまった場合など参考になったのではないでしょうか。内服薬に比べると出番は少ないですが、座薬は大人でも使うことがありますので使い方を知っておくと後々役に立つかもしれません。