葛根湯の効果を薬剤師が解説!効き目・効能は風邪症状以外にも
寒くなってくると「風邪をひかないように気をつけなくちゃ」と思いますよね。葛根湯は体を温めて免疫をサポートしてくれる、風邪のひきはじめに効果のある代表的な漢方。じつは葛根湯には、向く体質と向かない体質があるのです。さらに、その効き目は風邪だけじゃありません。この記事では「葛根湯って名前はよく聞くけど、もっと詳しく知りたい!」という方へ向けて、効き目や飲み方などについて薬剤師の高野さんを取材しました。
監修薬剤師:
高野 裕美(薬剤師)
目次 -INDEX-
葛根湯はどんな漢方薬か紹介 どんなときに飲むのがいいの?
編集部
「葛根湯」はよく名前を聞く漢方薬ですが、一体どんな漢方薬なのでしょうか?
高野さん
生薬の力で体を温めて、免疫をサポートしてくれる漢方です。中には、7つの生薬が入っています。馴染みのある桂皮(ケイヒ/シナモンの仲間)、生姜なども配合されています。
編集部
そうなんですね。葛根湯はどんなときに飲むといいのでしょう?
高野さん
葛根湯は風邪のひきはじめに効果を発揮する漢方です。風邪のひきはじめは、まだ熱が上がっておらず免疫が十分に働いていません。そこで葛根湯を飲むことで熱を上げ、免疫力をアップさせてくれるのです。体がぞくぞくし出したら、すぐに飲むことが重要です。
編集部
葛根湯に副作用はありますか? 漢方薬と聞くと副作用が少ないようなイメージがあります。
高野さん
少ないですが、漢方薬にも副作用はあります。例えば、葛根湯に入っている麻黄という生薬は交感神経を興奮させる作用があるため、胃腸の働きが悪くなり、食欲減退や下痢などの副作用が出ることもあります。
葛根湯の効能は風邪だけじゃない! 頭痛・肩こりなどに対する葛根湯の効果とは
編集部
漢方薬って色々な効能が書かれていますよね。葛根湯も風邪以外の症状でも効き目がありますか?
高野さん
葛根湯は、体を温めて首や背中のこりをほぐしてくれる効果があります。慢性頭痛(特に緊張型頭痛)や肩こりにも効き目がありますよ。
編集部
わたし頭痛持ちなので試してみたいと思います。葛根湯は毎日飲んでもいいのでしょうか?
高野さん
風邪の場合には、数日間、頭痛や肩こりには1ヶ月間を目安に服用していただくことをおすすめします。改善がみられないときは医師または薬剤師に相談してください。
編集部
なるほど。頭痛薬とか風邪薬(解熱鎮痛剤など)と一緒に飲んでも大丈夫でしょうか?
高野さん
いずれの薬も解熱作用があるため、併用により作用が増強されて予期せぬ副作用が現れる恐れがあります。また、葛根湯に配合されている麻黄(エフェドリン)や甘草(グリチルリチン)は、ほかの風邪薬などにも入っていることが多く、一緒に飲むと副作用が現れやすくなります。ほかの薬と併用する場合には、医師または薬剤師に相談してくださいね。
薬剤師が勧める葛根湯を飲むべき人の特徴と正しい飲み方とは
編集部
漢方は体質によって合う・合わないがあると聞いたことがあります。葛根湯を飲むべき人の特徴はありますか?
高野さん
おっしゃる通りで、多くの漢方はその人の体質や症状に合ったものでないと十分に効果を発揮することができません。葛根湯の場合には、体力や抵抗力が充実している”実証(じっしょう)”の人に向く薬です。高齢で体力のない人や、胃腸が弱くてすぐにお腹をこわすような”虚証(きょしょう)”の人には向きませんので、気をつけてください。ちなみに虚証の人の風邪のひきはじめには、桂枝湯(ケイシトウ)や香蘇散(コウソサン)が向いています。
編集部
漢方薬の正しい飲み方を教えてください。
高野さん
漢方薬は基本的に、食前(食事の30分〜1時間前)または食間(食事と食事の間、2時間程度)の空腹時に飲みます。細粒・顆粒タイプであれば、水や白湯を口に含みその上に薬を落としていただくと飲みやすくなります。商品の用法・用量に従ってお飲みくださいね。
編集部
わたし車の運転をするんですけど、葛根湯には眠くなる成分は入っていますか?
高野さん
眠くなる成分は入っていないので、安心して飲んでください。
編集部
例えば早く風邪を治したいからといって、飲みすぎるとどうなりますか?
高野さん
漢方も薬なので飲み過ぎはいけません。副作用が出てしまいます。用法用量をきちんとまもってくださいね。
編集部
最後に読者へのメッセージをお願いします。
高野さん
だれでも風邪はひきますが、こじらせないことが大切ですよね。こじらせないために、背中がぞくぞくしてきて「風邪をひいたかな?」と思ったらすぐに、葛根湯を飲んでみてください。そして、体を温めてゆっくり休んでくださいね。
編集部まとめ
今回は葛根湯の効果や飲み方、あまり知られていない風邪症状以外の効き目などについて伺いました。寒さが厳しくなるこれからの時期、葛根湯をお家に備えておいて風邪のひきはじめに対処できるといいですね。”風邪は万病の元”と言いますから、こじらせてしまったときは病院へ行ってしっかり治療することも忘れないでください。