花粉症対策に漢方薬という発想! 西洋薬と比べて、こんな利点があった(1/2ページ)

「体には優しそうだが、本当に効き目があるのか不安」。もしかしたら、漢方薬に対して、そんなイメージをもってはいないでしょうか。それに、花粉症は現代病の一種で、漢方固有の長い歴史が経験していない領域という気もします。さまざまに湧く疑問を、「新井五行堂醫院」の新井先生に投げかけてみました。

監修医師:
新井 紀元(新井五行堂醫院 院長)
西洋の薬よりもピンポイントに効く

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花粉症には「眠くならない漢方薬がいい」と聞いたことがありますが本当でしょうか?
新井先生
「副作用が少ない」という点は、漢方薬の大きなメリットですね。ただし、「全くない」わけではありません。たとえば、「麻黄(まおう)」という生薬が入った花粉症の漢方薬では、不眠や血圧の上昇といった副作用も散見されています。
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となると、漢方薬のメリットとは?
新井先生
まず、生薬が自然由来であることです。人類にとってなじみのあるものを使用しています。他方、西洋のお薬は化学成分、つまり、人類の歴史の中で体に取りこんでいなかったものも含まれます。さらにメリットを挙げるとしたら、西洋のお薬より選択肢が多いことでしょうか。その人の症状に合った、ピンポイントの改善効果が得られます。
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花粉症のケースでは、どのような漢方薬が処方されるのでしょう?
新井先生
多くの場合、初手として処方されるのが「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」です。しかし、このお薬が効かなくても、他の漢方薬に変えて二の手、三の手が打てます。多用はしませんが、アレルギーの原因物質を“黒焼きにしてのませる”などという方法もありますよ。
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えっ? どういうことですか?
新井先生
考え方としては、西洋医学の「舌下免疫療法」と一緒です。アレルギーの原因物質を、あえて取り入れて慣れさせていくわけですね。さすがに黒焼きは例外的な処方ですが、進め方が多彩であるだけに、「ムダに終わる」ということはほとんどありません。大抵は、患者さんごとに適したお薬が見つけられます。
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花粉症はどちらかというと「現代病」ですよね? 2000年の積み重ねがあったのでしょうか?
新井先生
花粉症はなくても鼻水やくしゃみは2000年前からありましたよね。漢方薬は基本的に、花粉やウイルスといった原因を問いません。結果としての症状を取り除く学問体系です。そして結果としての涙や鼻水、くしゃみなどは、ヒトが昔から変わらず抱えていた症状なので、漢方での対応が可能なのです。
かゆみなのか、くしゃみなのか、涙なのか

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漢方の仕組みはわかりました。続いて、具体的な診断方法について教えてください。
新井先生
じつは、60項目以上にわたる、細かな設問事項があるのです。たとえば、その中の「気虚(ききょ)」の欄なら、「全身に無力感がある」「息切れがしやすい」「物を言うのがおっくうに感じる」などです。もちろん、すべてを伺うわけではありませんが、患者さんに関係ありそうな設問から、「この患者さんは、こういうタイプであろう」という診断を付けていきます。
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患者さんのタイプと症状がはっきりすれば、それに適した漢方薬が処方されると?
新井先生
そういうことです。ただし、初回の処方量は1〜2週間程度にしています。再受診していただいて、効き目がありそうなら継続して月単位で処方します。あまり効果が望めなかったら、二の手、三の手を検討します。
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同じ花粉症でも、人によって漢方薬が異なるのですか?
新井先生
同じ鼻水でも透明でサラサラだったり、色が付いていてネバネバだったり、人によって異なりますよね。ですから、必ずしも万人に「同一」の漢方薬を処方するわけではありません。
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なるほど、花粉症で「目のかゆみ」だけがひどい人もいますしね?
新井先生
そうなったら、全く別の漢方薬です。不思議なもので、目と陰部は経絡でつながっているのです。花粉症で目のかゆみを訴える患者さんに「陰部はどうですか」と伺うと、やはり「かゆい」という方がいらっしゃいます。東洋医学には、西洋医学に介入できない、独特の知見があります。



