漢方で「冷え性」を改善しよう! 医師が冷えに効果的な漢方薬をご紹介
多くの女性が悩んでいる「冷え性」。冷え性が続くと内臓機能が衰えたり、免疫力が低下したりと様々なトラブルを引き起こします。そこでおすすめしたいのが、漢方薬を服用することです。今回は、副作用が少なく、身体にも優しい漢方薬を使った冷え性改善について、「すみれが丘そよかぜクリニック」の芹澤先生に教えていただきました。
監修医師:
芹澤 敬子(すみれが丘そよかぜクリニック)
冷え性はなぜ起こる? 血行不良・冷房など原因や部位別の冷え症状
編集部
そもそも、なぜ冷え性は起きるのでしょうか?
芹澤先生
冷え性は、体を温める働きが弱まっているために起きると考えられています。つまり、代謝が落ちていたり、体が消耗して熱を作れなくなったりしていることが原因で、冷え性が起きているのです。また、もともと虚弱体質で冷えに弱いということも原因として考えられます。
編集部
ほかには、どのような原因がありますか?
芹澤先生
日常的な冷えの問題もあります。具体的には、夏場、クーラーの風に当たったり、冷たい食べものや飲みものを飲食したりすることで、体を冷やしてしまいます。また、体を冷やす性質のある食べものを好んで摂取していたり、体を冷やすような服装をしていたりすることも、冷え性の原因になり得ます。
編集部
一般に、体温がどれくらいになると冷え性というのですか?
芹澤先生
冷え性は、四肢の末端だけ冷えている場合には、体温を測っても低くないことがあります。また、自分では冷えているという自覚がなくても、他人に「手足が冷たい」と指摘されることもあるでしょう。そのため、当院では、たとえ体温が低くなくても自分で冷えを感じていたり、他人から冷えを指摘されたりする場合には、冷え性として診察をしています。
冷え性の改善・冷え対策に効果的な漢方薬を医師が紹介
編集部
冷え性におすすめの漢方薬はありますか?
芹澤先生
前提として、冷え性に効く漢方薬には色々な種類があり、一人ひとりの症状や体質に合わせて選択します。例えば、体力が中等度以上で足や指先などの末端が冷える人には「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)」という漢方薬が適しています。
編集部
ほかにも冷え性に効く漢方薬はありますか?
芹澤先生
「十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)」という、疲労・倦怠感、貧血、食欲不振、寝汗などを伴う冷え性に適している漢方薬もあります。
編集部
症状によって、使い分けが必要なのですね。
芹澤先生
そうです。あとは、ストレスなど自律神経の乱れで冷え性が起きている場合には「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」を、下半身が冷えて上半身はのぼせる人の場合には「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」を、下半身が冷えて重たいと感じる人には「苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)」がおすすめです。このように、その人に適したものを使うことが冷え性対策で重要になってきます。
冷え性改善は漢方以外にも! 冷え性の治療・対策
編集部
漢方以外にも、冷え性を改善する対策はありますか?
芹澤先生
「体を冷やさないこと」が最も大事です。冬だけでなく、夏でもクーラーの風などで当たって冷え性になることもあるので、薄手のものを羽織るなどして直接風に当たらないようにしましょう。また、お風呂の際にシャワーだけで済ませず、湯船にしっかり浸かるのも体を温めるのに効果的です。
編集部
ほかにもありますか?
芹澤先生
「適度な運動習慣を身につけること」も大切です。なぜなら、筋力が少ないと基礎代謝が落ち、熱を生み出すことができなくなってしまうからです。また、筋肉が凝り固まると血流が悪くなり、末端まで血液が届かなくなって冷え性になりやすくなりますから、しっかり運動やストレッチで筋肉をほぐす習慣をつけましょう。
編集部
日常のちょっとしたことで、冷え性を防ぐことができるのですね。
芹澤先生
はい。あとは体を温める腹巻きを使うのもおすすめです。また、首元や足首を冷やすと冷え性になるので、ネックウォーマーや長めの靴下などを活用するのも手だと思います。
編集部
冷え性の改善に効果的な食べ物はありますか?
芹澤先生
冬に採れる野菜、寒い地域で取れる食材、根菜類、発酵食品などを積極的に摂るようにすると、身体が熱を生み出しやすくなるのでおすすめです。あとは、しょうが、にんにく、ねぎ、しそ、こしょうなどの体を温める働きがある香辛料や食材を使うのも、冷え性改善に効果的です。ぜひ、日常的にこうした食材をどんどん使ってみてください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
芹澤先生
冷え性が原因で起きる症状はたくさんあります。例えば、下痢、頭痛、生理痛などが挙げられます。こまめに自分の足首を触ってみて、冷えていないかどうかのセルフチェックをしてみてください。また、「冷え性は女性がなりがち」というイメージもありますが、じつは男性でも冷え性の人は少なくありません。体を冷やさず、温めることを意識した生活を送りましょう。
編集部まとめ
「冷えは万病のもと」と言われるように、冷え性は健康上の様々なトラブルを引き起こします。まずは食べものや飲みもの、衣類、生活環境、ライフスタイルなどを見直してセルフケアに努めましょう。また、体に優しく副作用の少ない漢方薬を活用するのもおすすめです。
医院情報
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アクセス | 横浜市営地下鉄ブルーライン「中川駅」 徒歩12分 横浜市営地下鉄グリーンライン「北山田駅」 徒歩20分 |
診療科目 | 内科、漢方内科、形成外科、皮膚科、美容皮膚科、心療内科、婦人科 |