抗加齢医学とは? エイジングケア外来って具体的に何をするの?
「加齢」という言葉に、なんとなくネガティブなイメージをもっているという人が少なくないのではないでしょうか? そこで、加齢についての研究・学問である「抗加齢医学」や「エイジングケア医療」などについて、内科医であり、日本抗加齢医学会専門医でもある渡邊先生(渡邊内科クリニック院長)に、話を聞きました。
監修医師:
渡邊 清治(渡邊内科クリニック)
目次 -INDEX-
エイジングケアってなに? 医療機関でもできるってホント?
編集部
「エイジングケア」について教えてください。
渡邊先生
エイジングとは、「加齢」のことです。加齢に対し、どんなことができるかを医学的に考えるのがエイジングケア医療であり、その基礎になっているのが抗加齢医学です。老化のメカニズムや寝たきりになる原因の解析、長寿の方の疫学などを調べることで、健康に長生きできるよう研究を深めるのが抗加齢医学といえます。
編集部
エイジングケアというとなんとなく美容のイメージがあります。
渡邊先生
そうですね。エイジングケアというとサプリメントや美容で注目を集めていますが、いわゆる「アンチエイジング美容」も「エイジングケア医療」も、どちらも「抗加齢医学」に基づいて研究されています。根本は繋がっていると言えますね。
編集部
やはり、多くの人が「若さを保ちたい」という想いはありますよね。
渡邊先生
そうだと思います。エイジングケア医療の進歩により、病気や老化を起こすきっかけとなる酸化ストレスや長寿遺伝子を壊すスイッチを「ON」にする生活習慣など、さまざまなことがわかってきています。
編集部
「若さを保つための方法」として、どんな物がありますか?
渡邊先生
さまざまな「エイジングケア」の方法がわかってきていますが、ご自身で取り入れやすい物としては、生活習慣、食事、運動習慣の見直しなどがあります。
医師が徹底解説!? 若さを保つためのコツ
編集部
それぞれについて教えてください。まずは「生活習慣」から。
渡邊先生
バランスの良い食事、適度な運動はもちろんのこと、十分な睡眠は欠かせません。ほかに、咀嚼力や唾液のもつ働きを保つこと、そしてストレスをできるだけなくして機嫌良く、ポジティブに暮らすことが重要になってきます。また、「これをしなければ」とこだわらず、無理をしない生活を心がけることも大切なポイントです。
編集部
では「食事」についてはどうですか?
渡邊先生
タンパク質をしっかり摂ることが重要です。また、油は抜くのではなく良質の物をしっかり摂取してください。体の「糖化(食事で摂り過ぎてしまった糖とタンパク質・脂肪が、体熱で変性する現象)」や「酸化(サビ/抗酸化の減少にともなって活性酸素が増加する)」を防ぎましょう。体の糖化を防ぐためには、血糖値が急激に上がらないようなメニューや食事の仕方が大切です。空腹時の甘い物は避け、グライセミックインデックス(GI)の低い食品を積極的に摂り、野菜・肉類・炭水化物の順番で食べていくことを心がけましょう。酸化を防ぐためには、活性酸素やフリーラジカルを多く含んだ加工食品、水銀など有害なミネラルを蓄積している可能性が高い大型魚をできるだけ控え、ニンジン、トマト、ブロッコリー、ブルーベリー、リンゴなど、抗酸化作用のある食品を積極的に摂りましょう。
編集部
「運動」についても教えてください。
渡邊先生
有酸素運動と筋力トレーニング、ストレッチを上手に組み合わせて、日常生活に取り入れると効果的です。ここで言う「有酸素運動」は、ちょっと急いで歩くなどの軽い運動、「筋力トレーニング」は、ある程度の負荷をかけて筋肉を鍛える運動、「ストレッチ」は筋肉や靱帯、腱などを引き伸ばす運動です。特別なことをする必要はなく、都市部などであれば1駅分を少し早足で歩くといった日常の活動量を増やすことで有酸素運動の運動量をある程度確保できますし、それに軽いストレッチや筋力トレーニングを追加するだけで十分なので、無理なく続けていくことができます。
編集部
自分でできるエイジングケアも色々あるのですね。
渡邊先生
そうですね。上記を続けるだけでもかなり効果があると思います。さらに、もっと詳細に自分にあったプログラムが知りたいという方には、医療機関でできるエイジングケアもあります。
医療機関でアンチエイジング 「エイジングケア外来」「エイジングケアドック」について知りたい
編集部
「若々しくいられるコツ」が、医療機関で教えてもらえるのですか?
渡邊先生
繰り返しになりますが、「抗加齢医学」と「医療」は共通点も多く、最近は当院のような医療機関で「エイジングケア外来」「エイジングケアドック」などを受けられるところも増えています。
編集部
「エイジングケアドック」とは、どんなことをするのですか?
渡邊先生
人間ドックが病気を早期発見・治療するための検査行うように、エイジングケアドックは、体の弱点や老化度を調べることで病気になる前に効果的に予防し、健康と若々しさを保つことを目的として行います。自分の体の状態をしっかり調べ、血管・骨・筋肉・ホルモンのどの部分の年齢が高いか低いかなどを詳細に見ていくことで、自分に何が必要なのかもわかります。それを基にして、栄養や生活習慣改善などを行っていきます。
編集部
具体的に、どんな検査をするのですか?
渡邊先生
問診や身長・体重・血圧・体脂肪の測定のほかに、骨密度検査、血液検査などを行うことで、血管年齢やホルモン年齢、代謝機能などがわかります。検査内容によって、いくつかのコースに別れているエイジングケア外来も多いので、お近くの医療機関を調べてみてください。
編集部
最後にMedical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。
渡邊先生
若い頃から全身のケアをしっかりと行うことで、健康を少しでも長く維持できる可能性が高まります。これには病気を発見するための人間ドックだけでなく、体の弱点や傾向を理解することも含まれます。通常の人間ドックに加えて、健康全般に関する情報も積極的に調査してみましょう。こうした取り組みが将来の健康状態に大きな影響を与えることがあります。早いうちに自身の体について学び、適切なケアを行うことで、より健康で充実した人生を送ることができるでしょう。
編集部まとめ
生活習慣、食事、運動習慣を見直すだけでも、かなりアンチエイジング効果がありそうです。さらに詳細を調べてみたい方は、ぜひお近くの「エイジングケアドック」や「エイジングケア外来」など、エイジングケア医療が受けられる医療機関を調べてみてください。
医院情報
所在地 | 〒250-0011 神奈川県小田原市栄町1-2-8 八百源ビル1F |
アクセス | 小田急線「小田原」駅東口より徒歩2分 |
診療科目 | 内科・消化器科・放射線科・エイジングケア |