肌を若々しく保つコツってある?
いくつになっても、若々しく見られたいものですよね。そのために重要なのは、お肌のハリやツヤ。若いといわれる美肌を作るための、ケア方法や、おすすめの化粧品や食べ物など、エイジングケア全般について、つちやファミリークリニックの土屋佳奈先生に聞いてみました。ご本人も年齢を感じさせない美肌なだけに、効果には期待ができそうですね。
監修医師:
土屋 佳奈(つちやファミリークリニック 副院長)
東京医科大学卒業後、東京女子医科大学皮膚科に入局。JR東京総合病院勤務を経て、つちやファミリークリニックの前身となる父親のクリニック・尾泉医院にて皮膚科診療を開始。ご主人が尾泉医院の院長に就任後、クリニック名も変更を行い、現職となる。生まれ育った街にて、皮膚のかかりつけ医として、赤ちゃんの肌トラブルから、美容の相談まで幅広く担当している。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
若々しい肌に近道なし
編集部
そもそも若々しい肌とは、どんな肌でしょうか
土屋先生
皆さんがイメージするのは赤ちゃんのような肌でしょうか。透明感、弾力、潤いがあって、キメも整っている肌ですね。
編集部
医学的な定義はありますか?
土屋先生
医学的な定義はありません。そもそも肌理(キメ)という言葉すら、医学用語ではありません。キメが整っている状態というのを、医学的に説明すると、皮膚の溝となる「皮溝」と、盛り上がった部分となる「肌丘」が規則正しく揃っている状態になります。そうすると、肌が光をきれいに反射することできるため、肌の表面がつるとんと輝いてみえます。反対に、皮溝と肌丘のバランスが悪いと、キメが乱れ、毛穴が目立ちます。
編集部
肌を若々しく保つコツを教えてください
土屋先生
皆さん、これさえすれば美肌になれるというものを求めがちですが、なかなか魔法のような方法はなく、地道なケアが一番大切になります。
編集部
まずは、どんなことから気を付けたらいいですか?
土屋先生
新陳代謝を上げるためにも、運動は欠かせませんし、しっかり睡眠をとることも重要です。また、趣味をみつけて楽しく過ごすなど、心身ともに健康的な生活が、若い肌を作ると信じています。たくさんの患者さんを診ていますが、生き生きとしている人は、表情だけでなく、肌も若々しい印象ですね。
肌の構造からケア方法をチェック
編集部
肌の構造についても簡単に教えてください
土屋先生
医学的には、皮膚は表皮、真皮、皮下組織の総称を指します。表皮は4層構造となっており、一番外側から、角質層、顆粒層、有棘層、基底層が並んでいます。皮膚のさらに奥に、表情筋などの筋肉があります。
編集部
それぞれの部分をケアすれば若々しい肌になれますか?
土屋先生
そうですね。部分ごとで考えてみましょうか。まず、角質層は、肌の表面から水分が蒸発するのを防ぎ、水分を肌に閉じ込める役割を担っています。角質層を丈夫にするためには、 セラミドが必要です。セラミドが配合された化粧水もでていますので、乾燥が気になる人は使ってみてください。
編集部
真皮のケア方法も教えてください
土屋先生
真皮の活性化の役割を担っているのは、線維芽細胞です。その線維芽細胞を活性化させてコラーゲンを生成するためには、レチノールというビタミンAが効果的です。以前より、レチノールは効果が高いことは知られていました。ただ、刺激も強いため、レチノールが入った商品は肌のトラブルを起こすこともありました。今は、徐々に濃度を上げることで、刺激を抑えながら、効果をしっかり出す方法が確立されています。
編集部
レチノールはどこで処方してもらえるんですか?
土屋先生
美容皮膚科も行っている皮膚科であれば、だいたい取り扱いがあると思います。
若々しい肌を作るための化粧品選び
編集部
化粧品でも効果はあるんですね。お勧めのものはありますか?
土屋先生
具体的にはエンビロンシリーズです。以前は、化粧品では大きな効果は見込めないだろうと思っていましたが、エンビロンでは効果を感じることができました。エンビロンには、海外での長年にわたる医学的根拠(エビデンス)があるということを知り、エビデンスの重要さを再認識しました。
編集部
エンビロンには、様々な商品があり、それぞれ効果も異なるんですね
土屋先生
若々しい肌を求められる方はエイジングケアのラインがよいかもしれませんね。そのほかの化粧品を使われる場合も、乾燥が気になる方は、セラミドや天然保湿成分の化粧水が、タルミが気になる方は、レチノールが配合された化粧品がお勧めです。
ビタミンAにはターンオーバーを正常化して、若々しい細胞を常に作る作用があります。ターンオーバーが遅くなる30代以降は、化粧品にビタミンAが入っているかを確認するのもお勧めです。
どのような化粧品を選ばれる場合でも、エビデンスがあるかどうかをチェックしてほしいですね。
編集部
ヒアルロン酸も保湿をしてくれる印象がありますが、どうでしょうか?
土屋先生
確かにヒアルロン酸は、お肌が水分量を保つために欠かせない成分ですので、入っているものを選ばれてもよいと思います。ただ、ヒアルロン酸は分子が大きいため、皮膚の表面につけても、肌の奥まではなかなか入っていきません。
肌のために日々、気を付けるべきこと
編集部
そのほか、日々の肌のケア方法を教えてください
土屋先生
極力シンプルなケアを心掛けて下さい。肌のバリア機能を担っている角質層はとても傷つきやすい部位です。化粧品自体や、ケアを行うときに、顔を触ったりこすったりすることが、刺激となり、肌が過敏になる原因となりえます。洗顔をするときも、泡立てた泡と手でそっと行ってください。また、紫外線対策も大切です。
編集部
どうして、紫外線対策が必要なんですか?
土屋先生
紫外線を浴びると、活性酸素が発生し、炎症が起きます。また、紫外線に反応をしたメラミン色素が増えてしまいます。メラミン色素が蓄積されてしまい、排出が間に合わないとシミができてしまいます。
肌が生まれ変わるターンオーバーのタームは、若いころは1か月くらいですが、加齢とともに2倍くらいまでスピードが落ちてしまいます。このターンオーバーの乱れや遅れを取り戻すことが大切です。
編集部
どのような紫外線対策がおすすめですか?
土屋先生
紫外線は、身体の外側と内側の両面からケアするのが大切です。私自身も、外側からのケアのために日焼け止めを塗るのはもちろんですが、わずかな距離でも日傘も使いますし、内側からのケアのためには、飲む日焼け止めと呼ばれるサプリも摂取しています。サプリは、紫外線を浴びた時に体内で発生をする活性酸素を除去し、炎症を抑えることで、シミや老化を防げるとされています。
編集部
すでにシミがある場合は、どうしたらよいですか?
土屋先生
できてしまったシミは、自然になくなることはほぼありません。ピーリングや、ヤグレーザーなどの医療機器の照射など、美容医療の力を借りるのも一案です。ピーリングは1時間弱、レーザー照射は1か所5分程度の時間で終わります。
編集部
最後に、若々しい肌を作るためにおすすめの食べ物について教えてください
土屋先生
抗酸化力が高いものを食べるとよいですね。具体的には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEやアスタキサンチンが多く含まれている物もお勧めです。鮭、エビなどは、アスタキサンチンの作用で赤くなるほど、たっぷりアスタキサンチンが入っているんですよ。
編集部まとめ
健康的な生活が若々しい肌も作ることが分かりました。日常生活で気を付けるべきことは、日焼け止めと抗酸化力の強い食事です。
また、若々しいお肌のためには、老けて見える原因の排除がポイントです。
お悩みにあわせた対策も大切ですね。
・肌の乾燥が気になる場合は、セラミドが配合された化粧品を使用
・小ジワやタルミが気になる方は、コラーゲンの生成を促すレチノールが配合された化粧品を使用
・シミが気になる場合は、ターンオーバーを促すピーリングやレーザー照射
医院情報
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