「へそのゴマ」は放置しても大丈夫? 正しいケア方法や注意点を医師が解説
みなさんは「へそのゴマ」の正体をご存知でしょうか。そして、へそのゴマは取った方がいいのか、それとも触らずに放置した方がいいのか、実際どちらが正しいのかわからない人も意外と多いと思います。また、「へそのゴマを取るとお腹が痛くなる」と言われる理由なども気になるところです。今回はへそのゴマの正しいケアの仕方について皮膚科医の森田先生に解説していただきました。
監修医師:
森田 知世(医師)
へそのゴマを取った方がいいの? 放置しても大丈夫?
編集部
そもそも、へそのゴマの正体は何でしょうか?
森田先生
へそのゴマの正体は垢です。皮膚はターンオーバーにより表面の古い角質をはがすことで、常に新陳代謝をおこなっています。へそは窪んだ構造をしているため、はがれた古い角質がたまりやすく、皮脂などと混ざることで酸化して黒っぽい色に変色します。
編集部
へそのゴマは取った方がいいのですか? それとも、そのまま放置しても大丈夫ですか?
森田先生
とくに症状がなければ放っておいても構いませんが、不要な汚れですのでニオイの原因になることがあります。また、へその窪みが深い人が長期間放っておくと、へそのゴマが大きくなってこびりついてしまい、簡単に取れないこともあります。そうならないためにも、定期的にケアしておくことをおすすめします。
編集部
へそのゴマを取ることで、どのようなリスクがありますか? 反対に、放置することによるリスクもあれば教えてください。
森田先生
へそのゴマを取る際に強くこすったり、爪で引っ掻いたりすることで、皮膚の表面を傷つけて、そこから菌に感染する場合があります。お風呂で優しく洗い、時々ワセリンや医療用のオリーブオイルなどでふやかし、綿棒で優しく掃除をする程度であれば通常は感染しません。長期間放置した場合に、臍石(へそいし)という黒い石のようなできものがへそにできる場合があります。ふやかして引っ張ると垢のかたまりが取れる場合もありますが、医療機関での処置が必要になる場合もあります。また、不衛生でありニオイや感染の原因にもなります。
へそのゴマを取るとお腹が痛くなる原因を医師が解説
編集部
へそのゴマを取るとお腹が痛くなるのはなぜでしょうか?
森田先生
へそのゴマを取る際に強くこすったり、爪で引っ掻いたりすることで、皮膚の表面を傷つけそこから菌に感染し、痛みを伴うと考えられます。
編集部
へそのゴマが疾患につながる可能性はありますか?
森田先生
へそのすぐ下にはお腹の臓器を包んでいる腹膜があり、通常は瘢痕(はんこん)組織により隔たりがあります。しかし、へそを強く傷つけてしまい感染が起こると、お腹の中にまで波及してしまう可能性があります。
編集部
へそと関連する疾患があれば教えてください。
森田先生
へそが常にジュクジュクしてニオイを伴っている場合には、「尿膜管遺残」の可能性があります。ひどい場合にはお腹の中に膿がたまる袋(膿瘍)を作り手術が必要な場合もあります。また、へそに突然できものができた場合には、内臓悪性腫瘍の転移である「Sister Mary Joseph結節」の可能性があります。稀な疾患ですが予後不良であり、早急に医療機関への受診をおすすめします。
へそのゴマの正しいケア方法・頻度・注意点をご紹介
編集部
へそのゴマを取るときの正しいケア方法は?
森田先生
お風呂上りなど、皮膚がふやけているときにおこなうのがいいでしょう。ワセリンや医療用のオリーブオイルをつけた綿棒で、皮膚を擦らないよう優しくへそのゴマを取ってください。
編集部
どれくらいの頻度でへそのゴマを掃除すればいいですか?
森田先生
週に2~3回ほど、泡立てた石鹸でへそを優しく洗いましょう。綿棒を用いたケアは月に1回程度で十分です。
編集部
へそのゴマを取るときは、どのような点に注意すればいいですか?
森田先生
皮膚を傷つけないよう優しくとることが大切です。すでにへそのゴマが大きくなり簡単に取れない場合には、医療機関での清潔操作が必要な場合もありますので、無理して取らずに相談してみましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
森田先生
小さい頃、「へそのゴマを取るとお腹が痛くなる」と言われた人も多いのではないでしょうか。へそのゴマの正体は垢であり、感染に気をつけながらご自宅で適切な処置をおこなえば、へそを綺麗に保てます。ご自分での処置が難しい場合には、対応可能なクリニックで相談しましょう。
編集部まとめ
へそのゴマの正体は垢で、定期的なケアをした方がいいということでした。なぜなら垢は不要な汚れであり、放置するとニオイや臍石の原因となるからです。まずは優しく泡立てた石鹸で洗い、月に1回程度は綿棒でのケアをおこない清潔に保ってください。なかなか取れない場合や異常がある場合は、無理せずに医療機関を頼りましょう。