「目の下のクマ」は若いうちに治療した方が効果的!? クマと年齢との関係を医師が解説
つい気になってしまう「目の下のクマ」。目の下にクマがあると疲れて見えたり、実年齢よりも老けて見られたりすることもあります。はたして、若いうちにクマの治療した方が効果はあるのでしょうか。今回は、クマの原因や治療を受けるタイミングについて、「吉祥寺アイビークリニック」の升本先生に教えていただきました。
監修医師:
升本 浩紀(吉祥寺アイビークリニック)
クマができる原因は?
編集部
そもそも、クマができる原因はなんでしょうか?
升本先生
まず、目のクマには4種類あります。色によって分類され、それぞれ「黒クマ」「赤クマ」「青クマ」「茶クマ」と呼ばれています。厳密に言えば複数のクマが混在していることが多く、切り分けるのは難しいのですが、一般的には便宜上4種類に分類されています。
編集部
なぜ、色の違いが出るのですか?
升本先生
それぞれ原因が異なるからです。黒クマと赤クマは脂肪が原因となっていて、青クマと茶クマは皮膚の色みなどが原因となっています。
編集部
もう少し詳しく教えてください。
升本先生
例えば、黒クマは下まぶたの皮膚や脂肪がたるみ、影ができてしまうのが原因となります。また、赤クマは眼球を包む「眼窩脂肪(がんかしぼう)」という脂肪が目の下の筋肉を押し、透けて見えるのが原因です。
編集部
青クマや茶クマの原因はなんですか?
升本先生
青クマがみられるのは、もともと皮膚が薄い人が多いですね。また、それに加えて睡眠不足や疲労、冷えなどにより、血行不良が起きることが原因で目の下が青く見えています。茶クマは、紫外線や外部からの刺激によってできる色素沈着が原因とされています。
編集部
クマが目立ちやすい人と目立ちにくい人がいるのはなぜですか?
升本先生
例えば、色白の人はクマが目立ちやすくなりますし、骨格の掘りが深い人も陰影がくっきりしているのでクマができやすくなります。
クマと年齢の関係はある? それぞれのアプローチ方法をご紹介
編集部
加齢とともにクマが目立つようになってきました。年齢と関係があるのですか?
升本先生
黒クマや赤クマのように脂肪由来のクマか、あるいは青クマや茶クマのように皮膚由来のクマかによって違ってきます。黒クマや赤クマの場合、加齢に伴って目の周りについている脂肪が重力とともに落下することでクマが目立つようになります。
編集部
青クマや茶クマの場合はいかがでしょうか?
升本先生
青クマの場合は、まず加齢によって肌の弾力性がなくなり、ハリが失われて皮膚がより薄くなります。その結果、血管が透けて見えて、余計に青クマが目立つようになります。他方で茶クマの場合、年齢を重ねれば重ねるほど紫外線を浴びる量が増えますから、どうしても色素沈着が多くなってしまいます。それが原因でクマが目立つようになるのです。
編集部
クマはどうやって治療すればいいですか?
升本先生
まずは、自分のクマがどのタイプかの診断を受けるようにしましょう。セルフケアでクマを完全に治すのは難しいため、医学的なアプローチが必要となります。
編集部
セルフケアで治すことはできないのですか?
升本先生
完全に治すのは難しいかもしれませんが、例えば青クマの場合には睡眠をしっかりとったり、ホットタオルで目の周りを温めたりすることで多少は改善できるかもしれません。
編集部
ほかのタイプのクマはどうですか?
升本先生
茶クマの原因である色素沈着を引き起こしやすいのは、化粧品やクレンジングによる刺激や日焼けによる肌ダメージなどです。そのため、目の周りもしっかり紫外線対策をするとともに、化粧品やクレンジングのときに力を入れていないか、ゴシゴシこすっていないかなど、改めてケアの方法を見直してみましょう。
編集部
赤クマや黒クマについても教えてください。
升本先生
先述したとおり、脂肪が原因となっているため、セルフケアでは対処できません。眼精疲労をなくしたり、目を休めたり、目の周囲を保湿したりすることはクマを改善させるため、赤クマや茶クマに限らず全てのクマに必要なことです。これらに気をつけることで多少改善が期待できるかもしれませんが、根本的に治そうと思ったら外科的な治療が必要となります。
編集部
具体的には、どのような治療が必要になるのですか?
升本先生
多くの場合、眼窩脂肪を除去したり移動させたりすることで、クマを解消することができます。「下眼瞼脱脂術(かがんけんだっしじゅつ)」や「下眼瞼除皺術(かがんけんじょすうじゅつ)」などがあり、クマの状況に応じて治療法を選択していきます。
美容外科で受けられるクマ治療とは
編集部
美容外科で受けられるクマ治療について教えてください。
升本先生
クマ治療でメジャーなのは、下まぶたの膨らみを取る下眼瞼脱脂術です。重力によって脂肪が落ちた結果、眼球の周囲で膨らんでいる眼窩脂肪を下まぶたの裏側から取り出すことで、目の下の膨らみやクマを解消します。「切らないクマ取り」とも呼ばれています。
編集部
下眼瞼除皺術とは、どのような治療ですか?
升本先生
下まぶたの膨らみが大きい人が下眼瞼脱脂術をおこなうと、脂肪は取り出すことができても皮膚のたるみは残ってしまいます。そのような場合に、下まぶたの膨らみと皮膚のたるみを合わせて取る下眼瞼除皺術をおこないます。そのほかにも脂肪を移動させて膨らみを取る「ハムラ法」という治療もあります。どの治療法をおこなうかは、クマや下まぶたの膨らみなど、症状に合わせて選択します。
編集部
脂肪由来ではない青クマや茶クマは、どのように治療するのですか?
升本先生
青クマの場合はレーザーを照射することで皮膚にハリを持たせ、クマを目立ちにくくします。また、茶クマの場合には塗り薬を使用することで、皮膚に沈着した色素を薄くします。
編集部
クマの治療は若いうちにおこなった方がいいと聞きました。本当ですか?
升本先生
そもそもクマは、きちんと治療しなければ治るものではありません。若いうちからクマに悩まされている場合は、早めの治療をおすすめします。例えば、赤クマや黒クマの場合、早いうちなら下眼瞼脱脂術だけで対処できるかもしれませんが、年齢を重ねるほど皮膚が伸びてたるみも大きくなりますから、そうなると下眼瞼除皺術でなければ治療が難しくなってしまいます。若いうちにしっかり治療をしておけば、ある程度年齢を重ねるまではクマが目立ちにくくなります。もしクマの悩みがあるなら、ぜひ一度、美容外科にご相談ください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
升本先生
クマに効く塗り薬などが市販されていますが、基本的にセルフケアでクマを完全に治すのは不可能です。クマの種類ごとに原因や治療法が異なるので、クマに悩んでいるのであれば、まず美容外科にご相談ください。現在、クマ取りの治療技術は非常に進化しており、手軽に改善することができます。若ければ若いほどクマの治療が軽微で済むことも多いので、早めの対処をおすすめします。
編集部まとめ
女性だけでなく男性もクマに悩まされている人が多いのではないでしょうか。目の下にクマがあることで不健康そうに見えたり、老けて見えたりすることもあり、初対面の印象を悪くしてしまうこともあります。日本でも広くおこなわれている治療なので、クマで悩んでいる人は気軽な気持ちで美容外科に相談してみましょう。
医院情報
所在地 | 〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-2 ルルビル 3F |
アクセス | JR「吉祥寺駅」 徒歩3分 |
診療科目 | 美容外科、美容皮膚科 |