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血尿を伴う病気を泌尿器科医が解説 尿路結石・膀胱炎・膀胱がん以外にどんな疾患が起こりうる?

 公開日:2023/03/20
血尿を伴う病気を泌尿器科医が解説 尿路結石・膀胱炎・膀胱がん以外にどんな疾患が起きうる?

血尿が出るということは、体内のどこかで出血が起きているということですから、原因を追求し、ただちに治療をしなければなりません。一体、血尿にはどのような疾患が隠れているのでしょうか。さゆりクリニックの藤谷先生にMedical DOC編集部が聞きました。

藤谷 桜子

監修医師
藤谷 桜子(さゆりクリニック)

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福岡大学医学部医学科を卒業後、広島赤十字・原爆病院にて研修。広島大学病院泌尿器科、市立三次中央病院、中電病院に勤務したのち、2022年10月にさゆりクリニック院長に就任。現在同院にて常勤勤務している。日本泌尿器科学会、日本女性骨盤底医学会所属。日本泌尿器科学会専門医、難病指定医。

おしっこに血が混じる血尿とはどんな状態? 赤以外に黒い尿・ピンクなどの色や目に見えない場合もあるって本当?

おしっこに血が混じる血尿とはどんな状態? 赤以外に黒い尿・ピンクなどの色や目に見えない場合もあるって本当?

編集部編集部

血尿とはそもそもどのように定義されるのでしょうか?

藤谷 桜子先生藤谷先生

血尿とは文字通り、尿のなかに血液が混ざった状態のもののことを言います。血尿が出るということは、体内のどこかで出血が起きているということ。尿を作る腎臓や、尿管や膀胱など尿の通り道の疾患が疑われます。

編集部編集部

血尿は必ず赤いのですか?

藤谷 桜子先生藤谷先生

赤い色が多いのですが、赤といっても濃い赤だったり、赤茶色だったり、黒っぽかったり、さまざまです。ほかにピンク色の場合もありますし、目で見て血液が混ざっているのはわからなくても、潜血検査で陽性と出る場合もあります。

編集部編集部

なぜ、そのように色の違いがあるのですか?

藤谷 桜子先生藤谷先生

体内のどこで出血が起きているかによって、色が変わります。たとえば、膀胱より上の部分で出血が起きていると、体内に尿がとどまる時間が長いので、黒っぽい色や濃い色になったりすることが多く、膀胱より下の部分で出血が起きていると、尿として排泄されるまでの時間が短いのでピンクなどの明るい色をしています。

血尿が出る原因と病気の危険性を知りたい 主に感染症・結石・腫瘍の3パターン 男性・女性や年齢で血尿の原因に違いはある?

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編集部編集部

血尿が出る病気には、どのようなものがあるのですか?

藤谷 桜子先生藤谷先生

たとえば、次のようなものがあります。
・尿路結石
・膀胱炎
・膀胱がん
・腎盂腎炎(じんうじんえん)
・慢性腎炎
・急性糸球体腎炎
・腎不全
・前立腺がん

編集部編集部

尿の色によって、疾患に見当をつけることはできるのですか?

藤谷 桜子先生藤谷先生

だいたいの見当はつけることができます。たとえば、赤茶色や黒っぽい尿が出た場合には腎臓からの出血が疑われますから、「腎臓にがんができている」といった可能性が考えられます。また、結石が大きくなって出血している場合もあります。

編集部編集部

ほかに、尿の色からどのような疾患が疑われますか?

藤谷 桜子先生藤谷先生

鮮やかなピンク色の場合には、膀胱や尿道からの出血が疑われます。ただし、膀胱からの出血でも排泄までに時間がかかれば黒くなることもあるので、一概には言い切れません。

編集部編集部

特に危険性の高い血尿は?

藤谷 桜子先生藤谷先生

特に気をつけたいのは、濃い赤色をした尿です。悪性腫瘍が隠れている可能性があるので、早めに医師の診察を受けることをお勧めします。

編集部編集部

そのほかに気をつけたい血尿はありますか?

藤谷 桜子先生藤谷先生

膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎などの感染症による血尿は、しっかり治療を行わないと繰り返す可能性があります。特に膀胱炎や腎盂腎炎は女性に多いので、血尿が出たらまずはクリニックを受診してください。

編集部編集部

男性に多い疾患もあるのですか?

藤谷 桜子先生藤谷先生

男性の場合は、尿路結石に注意が必要です。尿路結石は尿路に石のような硬い塊ができる疾患で、女性に比べて男性に多く発症します。放置すると腎機能が弱まったり、腎盂腎炎が起きたりする可能性があります。

血尿の治し方を泌尿器科医が解説 健康診断・尿検査で尿潜血がプラス(陽性)と言われたらどうすべき? ストレスは溜めない方がいい?

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編集部編集部

健康診断などで尿潜血が陽性と診断された場合には、どうしたら良いのでしょうか?

藤谷 桜子先生藤谷先生

まずは泌尿器科など専門医を受診してください。そこで必要な検査を行い、原因に応じた治療を行います。

編集部編集部

どのような検査が行われるのですか?

藤谷 桜子先生藤谷先生

まずは尿検査、超音波検査を行います。これにより、結石や腫瘍の有無がわかります。そのほか、さらに検査が必要な場合にはCT、MRI、採血、膀胱鏡などを行います。

編集部編集部

ストレスでも血尿が出ると聞きましたが、本当ですか?

藤谷 桜子先生藤谷先生

ストレスが直接、血尿を引き起こすことはありませんが、ストレスのために免疫力が低下して感染症にかかりやすくなり、その結果として血尿が出ることはあります。

編集部編集部

いろいろな原因で血尿が出ることがあるのですね。

藤谷 桜子先生藤谷先生

血尿の原因はいろいろありますが、その後の経過もさまざまです。血尿が出たと思ったら、すぐにおさまってしまう場合もあります。しかし血尿が出た場合は、すぐにおさまったとしても自己判断せず、必ず医師の診察を受けてください。原因を確認し、必要な治療を行うことが大切です。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。

藤谷 桜子先生藤谷先生

当院でも血尿が出たために受診される患者さんが多いのですが、「重篤な病気の兆候ではないか」と不安を感じて来院される方がほとんどです。しかし、早期に受診していただければ適切な治療を迅速に進めることができ、症状を進行させずに済みます。尿潜血検査で陽性が出たらそのまま放置せず、必ず泌尿器科など専門医を受診するようにしましょう。

編集部まとめ

血尿が出たら誰でもドキッとするもの。しかし、病院へ行って原因を知るのが怖いといって放置すると、どんどん症状が進行してしまう場合もあります。なかには悪性腫瘍が隠れているケースもありますから、血尿は体からのSOSと捉え、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

医院情報

さゆりクリニック

さゆりクリニック
所在地 〒737-0056 広島県呉市朝日町1-8
アクセス 中国JRバス西条線「呉本通六丁目」バス停から徒歩5分
広島電鉄辰川線「明神橋」バス停から徒歩5分
診療科目 内科・泌尿器科

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