【闘病】予定通りの手術後「まさか」の寝たきり 手のしびれは難病の始まりだった《後縦靭帯骨化症》(2/2ページ)

マッチングアプリに「障害者です」と登録した結果…

編集部
ご主人とは、医療現場で出会ったのですか?
tsukimiさん
いえ、マッチングアプリです(笑)。車椅子仲間と「ドライブするにも車椅子の乗降や、立ち上がり介助もあって、出逢いなんてむずかしいよね」という話をしているうちに、ノリで「マッチングアプリに登録してみよう」という話になったんです。プロフィールにみんな「障害者です」と記載しました。そこで出会ったのが今の夫です。
編集部
そうなんですね。
tsukimiさん
物珍しかったのか、主人以外の男性からも何件かメッセージがあったのですが、案の定、出掛ける直前になってドタキャンされることもありました。うちの主人はそういったこともなく、自分の車に車椅子を積めるかとか、色々現実的に考えて行動してくれました。外来でのリハビリも一緒に来てくれて、担当の理学療法士さんに、自主トレの内容や歩行介助の仕方を聞いて勉強していました。私が今歩けるのは、主人とのリハビリがあったからです。
編集部
歩行リハビリについて、もう少し教えてください。
tsukimiさん
2度目の手術前の外来リハビリで、理学療法士さんに「外出するには10m10秒ペースを目標に」と言われました。これより遅いと、横断歩道を渡り切れないのだそうです。その頃の私は10m60秒ほどでした。近くの公園で、主人とよくリハビリしていたのですが、一周約2分のコースを私が歩くと45分かかりました。
編集部
なるほど、短くも長い道のりですね。
tsukimiさん
2度目の手術のあと、歩くリハビリの時に、力をいれなくても歩けると教えてもらって、目から鱗でした。寝たきりの時からずっとリハビリを続けていくなかで、動かすのに足全体に力を入れて足を出していたのです。「力を抜く」のは簡単ではありませんでしたが、徐々に以前の感覚が戻ってきました。リハビリ病院を退院したあと、公園を歩くと一周5分でした。手術してまた寝たきりになったらどうしよう……と、2度目の手術は悩みましたが、やって良かったです。術後ももちろんですが、手術前のリハビリも大事だと思いました。
編集部
今までを振り返ってみて、後悔していることなどありますか?
tsukimiさん
まず、この病気に対して無知だったことです。最初に診断を受けた時、「病気についてはご自身で調べてみてください」「指定難病なので医療費の助成が受けられますよ」くらいしか説明されず、生活指導などはしてもらえなかったので、「転倒などの軽微な外傷で、急に麻痺の発生や憎悪を来すことがある」ということを知らなかったのです。それを知らずに、自分で頑張ろうとして、何度も転倒していました。「急激に歩けなくなったのはそのせいもあるのでは」「転んじゃダメってことをもっとちゃんと知っていれば」と、いまだに思ってしまいます。
編集部
ほかにもあれば教えてください。
tsukimiさん
それから、病院選びも少し後悔しています。A病院での最初の手術のあと、動けなくなりとても辛かったので……。もちろん、手術が原因で寝たきりになったわけではないのですが、この病気に詳しい先生や医療機関をもっと調べれば良かったと思いました。
編集部
現在の体調や生活はどうですか?
tsukimiさん
疼痛は常にあり、とくに天気が崩れたり、生理前だったりは、激痛で一日中寝て過ごす日もあります。生活は、前から好きだったネイルを勉強して、今年、自宅サロンをオープンしました。指を動かすことさえ困難だった私ですが、ネイリストとして細かい作業もできるようになりました。好きなネイルが仕事になり、さらにリハビリにもなっています。
編集部
医療機関や医療従事者に望むことはありますか?
tsukimiさん
「情報がもっとあったらなぁ」と思います。この難病に関して、手術の方法や生活上の注意点などを共有してほしいです。また、この病気はこの病院が詳しい、とかそういった情報も広く共有できたらと思います。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
tsukimiさん
色んな病気がある中で、私のような体験が誰かの役にたつことがあったらいいなと思います。辛いこともありましたが、なかなかできない経験をさせてもらったと今では感謝しています。お世話になったドクターや看護師、理学療法士、作業療法士のみなさんにありがとうと伝えたいです。
編集部まとめ
初回の手術後、「指さえ動かない寝たきり」になってしまったtsukimiさんですが、現在はネイルのお仕事をされているとのことで、「好きなことが仕事になり、リハビリにもなっている」のがすごいと思いました。ご主人との出会いのお話もとても興味深かったです。tsukimiさん、ありがとうございました。
なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。