ダイエット中でもお肉は食べてOK!管理栄養士が解説する肉食ダイエットの効果的な方法とは
「肉食ダイエット」という言葉を聞いたことはないでしょうか? ダイエットというと、野菜メインの食事にしたり、食事量を減らしたりといったイメージがありますが、お肉を食べながら痩せるというのは夢のように感じます。しかし、本当に痩せる効果があるのか、むしろ太るんじゃないかと心配という方もいらっしゃるでしょう。そこで、管理栄養士の山口さんに肉食ダイエットが痩せるとされているのか、注意点について伺いました。
監修管理栄養士:
山口 史恵(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「ダイエット中にお肉を食べても太らない」のは本当なのか? 管理栄養士が解説
編集部
肉食ダイエットとはどういったものですか?
山口さん
肉食ダイエットとは、炭水化物を“ほとんど”摂取せず、動物性食品、特に牛肉、鶏肉、豚肉などを中心とした食事摂取法で近年は体重減量、つまりダイエット効果があるとして注目されています。
編集部
お肉を食べて本当に痩せられるのですか?
山口さん
体重増加や痩せにくい原因にはホルモンや運動量など、様々な要素が含まれていますが、共通してよくみられるのが体内の血糖値上昇です。体内の血糖値を平常に戻すために必要なホルモンをインスリンと言いますが、このインスリンが血中に分泌されると通常血中の糖質(グルコース)は標的臓器により吸収されます。ただ、この標的臓器がインスリン分泌を感知しなくなってしまうとグルコースが血中に循環し続け、臓器や組織に炎症を引き起こしてしまいます。この状態が続くとストレスホルモン、コルチゾール値が上昇し脂肪を貯めやすい体になってしまいます。
編集部
お肉を食べることで、血糖値上昇を抑制することができるのですか?
山口さん
その通りです。肉食はこれらの原因となる血糖値を上昇させない上、食べ物からしか摂取できない体に必要な栄養素、特に必須アミノ酸やビタミン・ミネラルを含んでいます。そのため、お肉を食べることで必要な栄養素が満たされ何かを食べたい、という気にならないため過食も防ぐことができます。さらに体が温まりやすくなり基礎代謝も向上するので痩せやすい体質になるためです。
編集部
野菜を中心に食べるダイエットとの違いはなんでしょう?
山口さん
野菜中心でダイエットをする方法もありますが、野菜は体に必要な栄養素を全て摂取しようと思ったらさまざまな種類のものを食べなければいけませんし相当な量も必要になってきます。ですから、自分流でやってしまうと栄養不足に陥ってしまうことも多々あります。
編集部
一方、肉食ダイエットはどうなのですか?
山口さん
肉食ダイエットはしっかり必要な栄養素も摂取できて健康的に痩せられます。さらに、肉食ダイエットによって基礎代謝が向上しホルモンバランスが整えられホルモンが原因でついてしまった贅肉を落としてくれるという期待もできます。習慣的に運動をすることで基礎代謝を高めることができ、健康な体重維持に効果的です。
管理栄養士が勧めるダイエット中の食事に適したお肉・部位は? カロリーやメニューも気になる
編集部
ダイエット中におすすめするお肉は牛肉、豚肉、鶏肉のどれですか? また、その部位も教えてください。
山口さん
消化器系が弱いという方や脂身は気にならないという方は、できるだけ骨に近いお肉を選ぶといいでしょう。牛肉ならスネ肉やテール、豚肉ならバラ、鶏肉ならネックや手羽です。内臓系、レバーやハツなども栄養素がたっぷり含まれています。これらの部位はコラーゲンがたっぷり含まれており、消化が大変よく、お肉を食べた後は胸焼けがする、便秘になりやすいと言った方や内側から綺麗になりたい方にもおすすめです。
編集部
カロリー制限をしたい方のために低カロリー部位を教えてください。
山口さん
脂肪はできるだけ避けたいという方には、牛肉や豚肉ならモモやヒレ、鶏肉ならモモよりもササミやムネ、皮を取り除いたモモ肉をおすすめします。これらの部位は高タンパク・低カロリーなので筋トレをしながら筋肉をつけて痩せたいという方にはピッタリです。
編集部
痩せやすいお肉の食べ方を教えてください。
山口さん
脂身の多い部位は脂を切り落としたり湯通したりすることでカロリーカットができます。また、油で炒めるのでなく、オーブンで火を通す(焼く、蒸す)ことで調理中に出たお肉からの脂もカットできます。レバーなどの内臓肉は脂肪が少ない上に亜鉛や鉄分などの重要な栄養素がたっぷり含まれているため基礎代謝を向上させ脂肪燃焼を促し健康的に痩せることができます。調味料は、小麦粉、砂糖、市販のソースやケチャップなどの使用を避け、ポン酢やレモン汁、塩こしょうといったシンプルな味付けにするとより効果的です。
肉食ダイエットの注意点を解説 食べ合わせで控えたほうがいいものは?
編集部
肉食ダイエットをする際、食べ合わせで気をつけることはありますか?
山口さん
肉食をする際には、ご飯やパンなど、炭水化物の多量摂取は控えていただきたいですね。お肉の消化を遅延させてしまう上に、遅延が起こることによって体内発酵が始まり、お腹が膨張し腹痛の原因になってしまいます。また、しっかり噛んで食べることも忘れないでください。
編集部
その他、注意点があれば教えてください。
山口さん
肉食をする際に確認したいのは、「胃酸がしっかり分泌されているか」ということです。胃酸はタンパク質を消化するために重要で消化吸収を向上させてくれます。消化吸収は基礎代謝アップには欠かせません。そのため、食事の前に胃酸の分泌を刺激するレモン汁やりんご酢を入れた水を飲むといいでしょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
山口さん
この記事を読んで、「お肉を食べて本当に痩せられるの?」と感じていた方にお肉を食べることで“より健康的に効果的に痩せられるんだ”と思っていただければ幸いです。お肉には健康で痩せやすい、体作りに必要なタンパク質や脂肪燃焼促進効果がある栄養素が含まれます。揚げ物といった調理法ではなく、お肉そのものの味を楽しめる調理法(煮る、焼く、蒸す)を学び、シンプルな味付けにこだわりながら積極的にお肉を摂取してください。
編集部まとめ
お肉には痩せやすい体作りに欠かせない栄養素が含まれるだけでなく、健康に痩せること、また健康体重を維持することでさまざまな健康効果が期待されます。お肉と一緒に食べる野菜などとの食べ合わせにも注意しながら、適量をよく噛んでお肉をいただきましょう。また、新しい食事療法を試す前に管理栄養士に相談しましょう。