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【闘病】「ALSになぜ私が?」 根本的な治療法なく、やがて動けなくなる病(1/2ページ)

 更新日:2025/02/21
【闘病】「ALSになぜ私が?」 根本的な治療法なく、やがて動けなくなる病

三浦さんは、2013年11月に左手小指の違和感を覚えたことがきっかけで検査を受け、2014年8月(45歳のとき)に筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されました。確定診断から8年経過した現在は、介護や医療の支援を受けながら、ブログやSNSで情報発信をおこなっています。徐々に身体が動きにくくなる進行性の病気「ALS」を抱える三浦さんに、これまでや現在の状況について話を聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年8月取材。

三浦弥生さん

体験者プロフィール
三浦 弥生

プロフィールをもっと見る

札幌在住。1969年生まれ。離婚後、一人暮らし。診断時の職業は理容師。2014年にALSを発症し、2016年には胃ろう(胃に直接栄養を注入する食事療法)を造設。2019年には気管切開し、咽頭摘出する。現在は、週6回のリハビリと週2回のマッサージを受けながら生活している。

村上 友太

記事監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

突然の発症と診断に驚きと受け止めきれない日々

突然の発症と診断に驚きと受け止めきれない日々

編集部編集部

筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)とはどのような病気ですか?

三浦弥生さん三浦さん

ALSとは、手足などの筋肉やのど・舌など呼吸に必要な筋肉が衰えていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が障がいを受けて起こります。その結果、脳から「手足を動かせ」などの命令が伝わらなくなり、筋肉も衰えるのです。全身に力が入らなくなり、「歩けなくなる」「声が出しにくくなる(構音障害)」「飲み込みができなくなる(嚥下障害)」などの症状がでます。最終的には呼吸ができなくなるため、人工呼吸器も必要になります。原因不明で、有効な治療薬のない進行性の病気です。

編集部編集部

病気が判明したきっかけはありましたか?

三浦弥生さん三浦さん

当時、理容師として働いていましたが、2013年11月頃に、左手小指に違和感を覚えたのです。日々、お客様のシャンプーをしながら、だんだん指が動かなくなり、不安になっていったのを覚えています。そこから病院を受診し、2014年8月にALSと診断されました。

編集部編集部

すぐに確定したのでしょうか?

三浦弥生さん三浦さん

はじめは整骨院に行きましたが、胸郭出口症候群と診断を受けました。その後に行った整形外科では、ただの肩こりと診断され、湿布をもらっただけでした。

編集部編集部

確定診断を受けた経緯を教えていただけますか?

三浦弥生さん三浦さん

気付いてから半年が過ぎても違和感があり、友人から「脳ドックを受けてみては?」と助言されました。すぐに受けましたが「脳に異常はなし」。診察後、ドクターから「あなたの症状は、神経内科で診察した方が良いですよ」と言われ、神経内科で診察を受けました。それからすぐに検査入院になり、検査を受けてALSの確定診断を受けたのです。

根本的な治療方法がなく病状が進行する

根本的な治療方法がなく病状が進行する

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

三浦弥生さん三浦さん

ALSを根本的に治す治療方法はみつかってない」と説明を受けました。2014年12月からリハビリを開始しています。

編集部編集部

病気が判明したときの心境について教えてください。

三浦弥生さん三浦さん

驚きすぎて、呆然としました。同じ時期にフェイスブックを通じて、アイスバケツチャレンジ(ALSの研究を支援するためにSNS上で拡散され、世界的に行われた運動)が行われ、多くの芸能人が氷水を被っているのを見ました。その中で、ALSという病気を知りましたが、自分とは無縁の病気だと思っていました。「なぜ私が?」と、夜に涙があふれてきたのを覚えています。あまり泣いたことがないので、自分でもびっくりしました。

編集部編集部

受けた検査の内容を教えてください。

三浦弥生さん三浦さん

主にレントゲンやMRIなどの画像検査・血液検査・髄液検査・神経伝導検査や針筋電図などの電気生理学的検査を受けました。検査に痛みを伴いましたが、針筋電図は運動ニューロンの障害を評価するのに最も重要な検査の一つです。

編集部編集部

これまでの心の支えはなんでしたか?

三浦弥生さん三浦さん

なにもなかったですね。ただ、毎日過ごすだけでした。

編集部編集部

人工呼吸器も装着することになったそうですね。

三浦弥生さん三浦さん

入院中の2016年2月に、医師から「最終的に人工呼吸器はどうしますか?」と聞かれました。その時は、人工呼吸器は付けないと言いました。何もする気が起きなくなっていて、考えないようにしていました。その後、ALSの方や関係者が集まる「絆サロン」へも参加するようになり、新しい出会いも増えていきました。自分で思うように動けないため、たくさんの友達や仕事仲間も訪ねて来てくれました。このとき初めて、家族や友達に愛されていると思い知りました。そこから前向きになり、「自分でも何か出来る」と思うようになって2019年5月に、気管切開をして人工呼吸器をつけて生きると決めました。

人工呼吸器をつけて生きるこれから

この記事の監修医師

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