子どもの鼻水で病院を受診すべき目安を医師が解説 鼻づまり・くしゃみの場合は? 赤ちゃん・幼児で違いは
子どもの鼻水や鼻づまり、くしゃみは決して珍しい症状ではありません。そのため医療機関を受診せず、そのまま様子を見ていたり、判断を迷っていたりするお父さん、お母さんも多いのではないでしょうか? 一体、どんな症状が見られたら病院を受診した方が良いのでしょうか。ごう耳鼻咽喉科クリニックの郷先生にMedical DOC編集部が聞きました。
監修医師:
郷 充(ごう耳鼻咽喉科クリニック)
目次 -INDEX-
子どもの鼻水・鼻づまりで病院の受診は必要? 赤ちゃん・1歳・幼児で目安・タイミングは変わる?
編集部
子どもに鼻水や鼻づまりの症状が出ているときはどうしたら良いのでしょうか?
郷先生
基本的に、鼻水は外部から侵入したウイルス、細菌、ほこりなどの異物を体外へ出そうとして分泌されるもの。そのため、身体に悪いものではありません。また、鼻づまりも同様で、これ以上異物が体内へ侵入しようとするのを防ぐ働きがあります。
編集部
そうすると、子どもの鼻水や鼻づまりは様子を見ていていいのでしょうか?
郷先生
鼻水や鼻づまりは悪いものではないといっても、あまりに症状がひどいと集中力が欠けたり、口呼吸になって風邪をひきやすくなったり、よく眠れなくなったりしてしまいます。あまりに症状がひどい場合は、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
編集部
どれくらい症状が悪化したら、受診したら良いでしょうか? 受診のタイミングは?
郷先生
一つの目安として、鼻水や鼻づまりの症状が2週間以上続く場合には、受診することをおすすめしています。また、子どもの年齢にもよりますが、「鼻づまりがひどく、粘り気のある黄色い鼻水が出る」という場合は慢性副鼻腔炎による蓄膿の疑いがありますし、「透明な鼻水とくしゃみが出る」という場合はアレルギー性鼻炎の可能性があります。そうした症状が見られる場合も、一度、耳鼻咽喉科を受診すると良いでしょう。
編集部
赤ちゃんや幼児など、年齢によって受診の目安は変わるのですか?
郷先生
2歳くらいまでの子どもは鼻の構造が未発達で、鼻づまりや鼻水を起こしやすくなります。特に乳幼児は鼻の粘膜が敏感なので、少しの気温の変化などにも過敏に反応することがあります。体調に問題がなければ様子を見ても大丈夫ですが、もし、鼻づまりや鼻水が続くようなら早めにご相談ください。
編集部
ドラッグストアで「鼻吸い器」を見かけるのですが、効果がありますか?
郷先生
ご自宅で簡単にできる鼻水、鼻づまり対策として、使用している方も多いようですが、正しく使うことは難しく、使い方を誤ると鼻血が出たり、鼻の粘膜を傷つけたりすることもあります。もし、使って異常が見られた場合には早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
子どもに鼻水・鼻づまりのほか、くしゃみや咳の症状がある場合の目安とタイミングは?
編集部
鼻水や鼻づまりだけでなく、くしゃみや咳がある場合は、どう対応したら良いでしょうか?
郷先生
まずは、鼻のなかになにかが詰まっていないか確認してみましょう。鼻のなかに「かさぶた」やいわゆる「鼻くそ」が溜まっていることもあり、それらが鼻水や鼻づまりの原因になっていることも少なくありません。お風呂上がりはそうした塊を除去しやすいので、寝る前にケアしてあげるとくしゃみや咳が出なくなることもあります。
編集部
その次に、何をチェックすれば良いですか?
郷先生
次に、熱がないか測ってみましょう。もし熱がなければ子どもの様子を観察し、特に、鼻水や鼻づまりのほかに気になる症状がなければ、少しご自宅で様子を見てください。ただし、2週間程度鼻水や鼻づまり、咳が続く場合は、念のため耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
編集部
自宅ではどのようなホームケアを行ったら良いでしょうか?
郷先生
部屋の温度を少し高めにして、加湿しましょう。それから症状がひどい場合には横になり、安静にすることです。鼻づまりがひどい場合には枕などで頭に角度をつけると楽になるかもしれません。
編集部
熱がある場合には?
郷先生
「熱があり、ぐったりしている」「呼吸が苦しそう」などの症状が見られる場合は、早めにかかりつけの小児科や耳鼻咽喉科に相談しましょう。
編集部
市販薬を飲ませても良いのでしょうか?
郷先生
応急処置として飲ませるのは問題ありませんが、必ず子どもの年齢に適した薬を服用させることが大切です。また、必ず用量や用法は守りましょう。それでも症状が改善しない場合には、早めに医療機関を受診してください。
編集部
薬の選び方で気をつけることはありますか?
郷先生
鼻水の薬は多少なりとも眠くなる成分が含まれているため、痙攣を誘発する場合があります。そのため、痙攣やてんかんの既往がある場合には、必ず薬剤師や医師の指示を受けるようにしてください。
鼻水などで病院受診前に知っておきたい! 「何科?」「アレルギーは調べられる?」「大人の場合はどう?」
編集部
鼻水がひどい場合は、基本的に何科を受診すれば良いのでしょうか?
郷先生
かかりつけの小児科でも大丈夫ですが、喉や鼻の症状が強く出ているときには、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。もし、たんが出る、全身がだるい、咳が止まらないなどの症状がある場合には、呼吸器内科を受診すると良いでしょう。
編集部
鼻水で受診するときには、アレルギー検査もお願いできるのでしょうか?
郷先生
はい、耳鼻咽喉科でアレルギー検査を行うことができます。もし、「発作的に連続したくしゃみが出る」「サラサラした水のような鼻水が出る」「鼻づまりがひどい」という場合や、「くしゃみや鼻水により日常生活に支障が及んでいる」という場合には、一度、アレルギー検査を受けることをおすすめします。耳鼻咽喉科のほか、呼吸器内科、小児科、アレルギー科でも行っています。
編集部
大人が「鼻水が止まらない」「くしゃみがひどい」「鼻づまりが治らない」という症状がある場合、どうしたら良いでしょうか?
郷先生
大人になって、初めてアレルギー性鼻炎を発症したり、花粉症になったりする人もいます。それらは年齢に関係なく突然発症し、一度発症すると何度も症状が繰り返します。しかし、アレルギー症状を軽減する薬物療法や免疫療法などもありますから、こちらも一度、耳鼻咽喉科に相談してみることをおすすめします。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。
郷先生
鼻水や鼻づまりの対策として気をつけたいのが、薬剤性鼻炎です。これは、市販の点鼻薬を使いすぎることによって起きる鼻炎のことです。市販の点鼻薬には血管収縮剤が入っていることが多く、これを使うと速やかに鼻粘膜の血管が収縮し、鼻づまりなどの不快な症状が改善されるのですが、これを使いすぎると血管を収縮させる効果が薄れるとともに、慢性的に鼻づまりの症状が続いてしまいます。そのため、自己判断で長期に渡って使い続けないようにすることが大切です。それからアレルギー性鼻炎の場合、鼻だけでなく「目がかゆい」「皮膚がカサカサする」「耳やのどがかゆい」などの症状が見られることもあります。そうした症状が見られる場合は、一度、アレルギー検査を受けることをおすすめします。
編集部まとめ
子どもの鼻水や鼻づまりは決して珍しい症状ではありませんが、知らないうちにアレルギー性鼻炎が発症していたり、熱を併発していたりすることも。「よくあること」と見逃してしまうのではなく、細かな変化にもしっかり目配りしてあげましょう。
医院情報
所在地 | 〒063-0827 北海道札幌市西区発寒7条12丁目3−46 2F |
アクセス | JR函館本線「発寒駅」徒歩10分 |
診療科目 | 耳鼻咽喉科・アレルギー科・小児耳鼻科 |