老人ホームの選び方を介護福祉士が解説 失敗しないためのポイントとは?
老人ホームの選び方をなんとなく理解しているが、実際に決める時に迷ってしまう方も多いでしょう。選ぶ際のポイントを理解していると、家族も本人も安心できるはずです。今回は老人ホームの選び方についてポイントや注意点について、介護福祉士の青木さんを取材しました。
監修介護福祉士:
青木 直士(介護福祉士)
公的施設と民間施設の違いを知る
編集部
老人ホームは種類も多く、どの施設が利用するべきなのか判断が難しくて困っています……。
青木さん
高齢化も伴って入居される期間が長くなっていることから、老人ホームはミスマッチを起こさないためにも、選び方を事前に知っておくことが重要です。具体的には、「金額を重視する」か「サービスを重視する」かの、2つのポイントがあります。
編集部
金額を重視する場合はどのような施設がいいのですか?
青木さん
金額を重視する場合は、公的施設を利用するといいでしょう。介護における公的施設は、介護度が重い方に向けた保護と支援にポイントを置いている施設で、国から補助金を貰い運営しているため、安く利用できるメリットがあります。
編集部
安く利用できるのは嬉しいですね。公的施設にデメリットはありますか?
青木さん
公的施設のデメリットは、費用を抑えて利用できるため人気が高く、すぐに入居が難しい点ですね。ある特別養護老人ホームでは、300人の方が申し込みをしても入居待ちの状態だそうです。
編集部
続いて、サービスを重視する場合についても教えてください。
青木さん
サービスを重視する場合は、民間施設を利用するといいでしょう。民間施設は、公的施設よりもサービス面において融通が利きやすく利用者のニーズを満たしてくれます。民間施設は施設ごとにサービス内容も異なるため施設の強みを理解する必要があります。他方、融通が利きやすい分、初期費用や月額費用も高くなる点には注意しましょう。
老人ホームを選ぶ際の注意点や2つのポイント
編集部
老人ホームの種類や選び方はわかりました。ほかにも知っておくべき内容はありますか?
青木さん
譲れない条件と妥協する条件を整理しておくことをおすすめします。老人ホームを選ぶ際に最も大切な部分で、譲れない条件と妥協する条件の整理ができていないと、利用したいサービスが利用できないと入居後にトラブルとなってしまう可能性があります。
編集部
詳しく教えてください。
青木さん
希望する全てのサービスを受けられるのは介護度が低い場合は可能かもしれませんが、介護度が重いと現実的に難しいと思います。理想を求めすぎて施設を選ぶのに時間をかけてしまうと入居するタイミングを逃してしまい、サービスを受けられなくなります。なので、ある程度は妥協する必要があるのです。
編集部
希望する条件も決まり、本格的に施設を探し始めているけど、どれが良い施設なのかがわかりません……。
青木さん
老人ホームはいろいろな種類があり、どれが合うのか見つけにくいですよね。より細かい情報を集めたい場合は施設の口コミや資料盛況をするといいですよ。施設のホームページまたは実際に施設を訪問して事務所から資料を貰えると思います。資料請求をすることでネットに書かれている口コミが本当のことなのか情報を押さえられるためおすすめです。
編集部
資料請求すれば大きなミスを防げますね。
青木さん
そうですね。資料請求をして施設を見たいと感じたら実際に見学をしてみるといいでしょう。
老人ホームを見学する際の3個のチェックポイント
編集部
入居前に施設見学を考えているのですが、その際のポイントを教えてください。
青木さん
施設見学は資料請求で記載されている部分だけでなく、施設の雰囲気を確かめるためにとても重要です。重要説明事項には施設の会社情報や職員体制、料金、入退去条件が記載されているので、必ずチェックするようにしましょう。
編集部
わかりました。ほかにありますか?
青木さん
私は大きく3つをおすすめします。1つ目は、施設の雰囲気ですね。施設見学する時間帯によっては雰囲気を確認できず終わってしまうことがあるので、時間帯に気をつけましょう。
編集部
どの時間帯に施設見学すればいいでしょうか?
青木さん
施設見学に適した時間は昼食後の13時から15時の間です。午前中、職員は入浴介助や業務に追われていることが多いため、フロアにいないことがあります。午後になると、レクリエーションを行うため施設本来の雰囲気を確認できます。
編集部
2つ目のポイントを教えてください。
青木さん
2つ目は、施設の体制です。入居者数に対して介護スタッフの数が多ければ手厚いサービスを受けられるため、安心して利用できます。有料老人ホームやグループホームは、夜勤体制も整っており24時間体制のため、充実した介護サービスを受けられます。
編集部
介護度が重い人には助かりますね。最後のポイントはなんでしょう?
青木さん
意識する人は少ないですが、施設設備の充実度も見学時に見ておきましょう。特に娯楽設備に注目をするといいですね。例えばカラオケや麻雀などの高齢者が好きなボードゲーム類ですね。
編集部
なるほど、希望する趣味を楽しめる環境があるのかってことですね。
青木さん
その通りです。ほかにも入居したあとに新しい趣味を作れそうなのかイメージしながら、見学を続けると良いでしょう。
編集部まとめ
老人ホームは種別によって、費用面やサービス面が異なります。まずは、自分の所得に見合うサービスはどちらなのか検討して、譲れない条件と妥協する条件を分けて施設を決めると良いです。施設選びで迷った際は、役所の福祉課や地域包括支援センターを訪れてプロに相談すると良いです。見てみたい施設が決まれば、施設見学を行い希望する施設なのか目で必ず確認するようにしましょう。