出産を見守る家族が事前準備しておくべきこと! いざという時慌てないために
妊娠・出産は、妊婦さんご本人のみならず、見守るご家族にとっても一大イベントです。そんなご家族のために、「いざという時慌てないために、出産を見守る家族が事前準備しておくべきこと」について、Medical DOC編集部が産婦人科医の金子英介先生(金子レディースクリニック院長)に話を聞きました。
監修医師:
金子 英介(金子レディースクリニック)
出産を見守る家族が事前準備しておくべきことは
編集部
出産を間近に控え、家族が準備しておくべきことはなんでしょうか?
金子先生
基本的には、あまりナーバスになりすぎず、妊婦さんが普段通りリラックスして過ごせるようなサポートが理想だと思います。
編集部
とはいっても、「急に何かあったら……」と考えてしまいます。
金子先生
そうですね。急に入院となっても大丈夫なようにはしておきましょう。具体的には、入院に必要なものをひとまとめにしておく、自家用車で病院や産院に行く予定の場合は、お酒を飲まないようにしておく、そうでない場合は、タクシー会社の番号を事前に調べておく、などです。入院の際に必要なものは、事前に病院側がリストを渡してくれる場合が多いと思います。
編集部
そのリストに記載されているものを準備しておくと安心ですね。
金子先生
また、上のお子さまがいる場合は、急な出産・入院となった際、どこでどのように過ごすか、事前に決めておくと良いでしょう。もし、実際に緊急入院となってしまった場合、周りの大人たちが不安な様子を見せると子どもに伝播してしまうので、落ち着いて進めることが大切です。
いよいよ出産! 立ち会う場合に準備しておくことは?
編集部
ご主人や上のお子さんの立ち会いを望むご夫婦も多いそうですね。
金子先生
そうですね。ここ数年は、感染予防の観点から、一時的に立ち会いをストップしている病院・産院がほとんどでしたが、最近少しずつ再開しているところが多いようです。
編集部
立ち会い出産をするにあたり、何か準備しておくことはありますか?
金子先生
両親学級や、立ち会い準備のための講習をきちんと受けておくことです。そうすることで陣痛から出産までのイメージがつきやすく、気をつけることなども教えてもらえます。あとは、病院のルールをきちんと把握しておきましょう。立ち会いOKといっても、人数や年齢、続柄などに制限がある場合もあります。「急な陣痛で上のお子さまを連れてきてしまったけど、子どもは立ち会いNGだった」とか「病院には”夫のみ立ち会い”と申請していたけど、妊婦さんの親御さんまで駆けつけてしまった」など、当日になってバタバタすると大変です。
編集部
そんなこともあるのですね。ほかにはどんなことがありますか?
金子先生
両親学級などで学べる知識はもちろん大事ですが、あくまで一般論です。ご家族だからこそのサポート、例えば奥様の好きな音楽や、リラックスできるグッズなどを用意してあげたり、陣痛の最中に必要な奥様の好きな飲み物、食べ物などを準備したりしておくことなどは、ご家族だから出来る大切なサポートといえます。
産後のことで、家族にできることは?
編集部
産後に家族ができることはありますか?
金子先生
母子のサポートはもちろんですが、役所などの手続き関係が結構あるかと思います。「出生届」の提出はもちろん、「児童手当」の支給手続きや、「健康保険証」の作成など、その度に必要書類の記入・提出などが求められます。役所に行けば詳しく教えてくれるので心配はいりませんが、それにプラスしてイレギュラーな手続きが必要な場合もあります。例えば、お子さまが未熟児の場合は、未熟児養育医療給付制度の申請をしたり、ご自身の職場に「出産祝金」のような福利厚生がある場合は、そちらへの手続きも必要ですね。
編集部
結構いろいろあるのですね。
金子先生
あとは、お祝いをもらった場合など、誰からいくらもらったのかを、リスト化しておくと良いでしょう。余裕があれば、もらった方の住所などもリストに加えておくと、内祝いを送るときなどにとても便利です。
編集部
退院の際は何が必要ですか?
金子先生
お車で帰る場合、チャイルドシートは必ず用意しておきましょう。そして、特に初産の場合は、赤ちゃんの乗せ方、ベルトの付け方などを練習しておくことをお勧めします。新生児用のチャイルドシートはやや複雑でわかりにくいことも多く、駐車場で悪戦苦闘しているご夫婦をたまに見かけます。
編集部
なるほど。それは貴重なアドバイスです。
金子先生
ほかに、購入しておくものとして、赤ちゃんのオムツや、オムツ用のダストボックスはもちろんのこと、見落としがちなものとして、産後の「悪露(おろ)」のためのナプキンなども必要です。急に切らしてしまってもコンビニやドラッグストアなどで購入できますが、男性で、女性用ナプキンを購入するのは抵抗がある、という方も多いかと思います。ネットショッピングなどを利用して事前に用意しておくと安心です。
編集部
最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあればお願いします。
金子先生
立会い出産はご夫婦のきずなを深め、上のお子さまの成長を促す良い機会になります。一方で、とくに初めての出産の場合には、男性は初めて目にする極限状態のパートナーの姿に戸惑う場合もあります。いろんな想定をして事前に話し合っておくことは大切です。子どもに対する互いの思いを共有したり、理解しようと対話したりすることで、その後の育児にスムーズに入っていけると良いと思います。
編集部まとめ
ここ数年は感染予防の観点から難しかった立ち会い出産も、やっと最近再開されてきたようです。立ち会い出産は、「いのちの誕生」という感動を分かち合えるのはもちろん、事前に一緒に講習を受けたり、どんなお産にしたいかなどの思いを共有したりすることで、夫婦のきずなも深まります。出産に正解はなく、ご夫婦それぞれに色々なお産があって良いと思いますが、選択肢のひとつとして「立ち会い出産」もぜひ検討してみてください。
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