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大人用の薬を子どもに服用させるのは危険! その理由は成分量の違いにあった

 更新日:2023/03/27
大人用の薬を子どもに服用させるのは危険! その理由を薬剤師が解説

「家にある大人用の薬を、子どもに飲ませてもいいのかな?」と疑問に思ったことはありませんか? 手元に大人用の薬しかない場合、薬の量を少なくすれば服用してもいいのでしょうか。実は、大人用の薬を子どもに飲ませるのは危険です。含まれている有効成分の量や成分の種類によっては、副作用が出てしまう可能性も。今回は大人用の薬を子どもが服用することについて、薬剤師の稲嶺さんに解説していただきました。

稲嶺 千春

監修薬剤師
稲嶺 千春(薬剤師)

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北陸大学薬学部薬学科卒業。大学卒業後、熊本の製薬企業に就職。その後、薬局薬剤師として働く。現在は薬剤師の知識を活かし医療ライターとして活動中。「医療の専門知識がない方にわかりやすく」をモットーにしている。

大人用の薬を子どもに飲ませるのは危険

大人用の薬を子どもに飲ませるのは危険

編集部編集部

大人用の薬を子どもに飲ませてもいいのでしょうか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

結論からいうと、大人用の薬を子どもに飲ませることは危険です。小児には必ず小児用の薬を服用させてください。子どもは大人よりも薬の成分の分解能力が低い傾向にあり、薬によっては効果や副作用が出過ぎる場合があります。必ず添付文書を読み、年齢に合った薬を使うようにしましょう。

編集部編集部

大人用の薬と子ども用の薬は何が違うのですか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

大人用の薬と子ども用の薬では、含まれている有効成分の量が異なります。服用してもいい薬の量は、年齢と体重で決まります。また、同じ病気に対する薬でも、大人用と子ども用で成分が異なることもあります。

編集部編集部

ほかに考えられるリスクはありますか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

薬によっては卵や牛乳などの成分を含むものがあるので、これらにアレルギーがある小児は蕁麻疹(じんましん)や呼吸器症状が出る可能性もあります。1歳ごろまでは卵、牛乳などにアレルギーをもつ子どもが多く、1歳を過ぎると甲殻類や果物などが、主なアレルギーの原因として挙げられます。子どもにアレルギーがある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えるようにしましょう。

大人用の量を減らしても服用してはいけない

大人用の量を減らしても服用してはいけない

編集部編集部

大人用の量を減らして子どもに飲ませて大丈夫ですか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

望ましくありません。薬の量の問題だけでなく、薬の成分的にも子どもに良くないものがあります。例えば、頭痛や発熱時に使う「バファリン」という薬は、大人用と子ども用とで有効成分が異なります。大人用バファリンには「アスピリン」という成分が入っていますが、子ども用バファリンには「アセトアミノフェン」という成分が入っています。「アスピリン」という成分は、15歳未満の子どもでの使用において、脳の障害を起こす可能性があるため、使用が禁止されています。このように、「薬の量を減らせば子どもに飲ませて良い」というわけではないのです。

編集部編集部

子どもに良くない薬の成分には何がありますか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

子どもに良くない薬の成分には、解熱剤のアスピリンや抗菌薬のレボフロキサシンなどが挙げられます。アスピリンやジクロフェナクは水ぼうそうやインフルエンザの時に使うと、「ライ症候群」という脳の障害を起こすことがあります。そのため日本では、15歳未満の小児のインフルエンザや水ぼうそうの解熱薬として、アスピリの使用を原則禁止しています。アスピリンは市販薬に入っていることもあるため、解熱剤を購入する場合は注意が必要です。

編集部編集部

レボフロキサシンについても教えてください。

稲嶺 千春さん稲嶺さん

抗菌薬のレボフロキサシンなどのニューキノロン系と呼ばれる薬の中には、小児が服用すると「関節障害」や「骨の成長阻害」を起こしてしまうものもあります。どれも家にあるとつい子どもに飲ませてしまいそうな薬ですが、危険な副作用を防ぐためにも、小児への使用は控えましょう。

子どもに服用させる薬は形状にも注意が必要

子どもに服用させる薬は形状にも注意が必要

編集部編集部

子どもが飲みにくい薬にはどんなものがありますか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

大人用の大きい錠剤やカプセルは子どもには飲みづらく、喉につまらせてしまう可能性があります。

編集部編集部

小児が飲みやすい薬の形状はなんですか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

小児が飲みやすい薬の形状はシロップ、粉薬、チュアブル錠(口の中で水を使わずにかみ砕ける薬)などです。これらの薬には、小児が服用し易いように甘い味がついていることも多いですね。

編集部編集部

小児が薬を飲みやすくする工夫はありますか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

粉薬や顆粒薬が苦手な子どもは少なくありません。薬によっても異なりますが、甘い飲みものやアイスクリームに混ぜると飲んでくれる場合があります。ただし、グレープフルーツジュースや牛乳など、薬の成分と混ざると効果が落ちたり副作用が出やすくなったりするものもあるので、事前に薬剤師に確認しましょう。

編集部編集部

赤ちゃんに服用させる場合の工夫も教えてください。

稲嶺 千春さん稲嶺さん

赤ちゃんの場合、ミルクに薬を混ぜて飲ませようと思う方もいるかと思います。ただ、ミルクを飲まなくなってしまう場合があるため、おすすめできません。錠剤やカプセルについては、一般的には5~6歳ごろから大人と同じように水で飲めるようになります。薬剤師に確認してから小さく割って飲ませるなど、少しずつ慣らしていくと良いでしょう。

編集部まとめ

子どもに大人用の薬を飲ませると、副作用やアレルギーがでる可能性があるため危険です。また、大人用の薬を単純に減らして飲ませれば良いわけでもなく、小児の年齢や体重などを考慮して適切な薬を飲ませることが大切です。自己判断で薬を飲ませるのではなく、迷った場合は医師や薬剤師に相談してみましょう。

この記事の監修薬剤師