【闘病】幼少期の治療が原因で発症した難病「成人成長ホルモン分泌不全症」(2/2ページ)

病気の話は共感の気持ちを持って聴いてほしい

編集部
多田さんがもし昔の自分に声を掛けられるとしたら、どんな言葉がほしいですか?
多田さん
私にとって物心ついたときから、病気や病院はすぐ近くにある存在でした。助言ではないですが、「出会う先生はみんな良い方ばかりだから、安心していいよ」と伝えたいです。
編集部
現在の体調についても教えてください。
多田さん
現在もホルモン治療は継続していますが、一番症状が酷かったときに比べれば、少しずつ改善してきていると感じます。
編集部
多田さんは患者会の設立のために精力的に活動されたと聞きました。
多田さん
小さい頃に義眼生活になったことから、学生時代には「まもりがめの会」という義眼を共通点にした会と、「きゃんでぃの会」という小児がん、AYA世代のがん経験者の会を設立しました。現在でも交流会や勉強会(現在はオンラインで実施)、SNSでも情報発信を行っています。ほかにも資格取得の勉強や、最近は行けていませんが趣味の一人旅も楽しんでいます。
編集部
最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
多田さん
網膜芽細胞腫も成人成長ホルモン分泌不全症も、聞きなれない病気かもしれません。病気のことや患者のことを理解はできなくても、少しでも存在を知ってほしいです。そして、子どもでもがんになりますし、大人でも成長ホルモンが必要ということも知っていてほしいと思います。病気の話をしたときに、「そんな歳で」「かわいそう」と言われることも多々あります。ですが、病気は誰でもなる確率はありますから、「かわいそう」という言葉ではなく、「頑張ったね」とか「頑張っているんだね」と共感の言葉がもらえると嬉しいです。
編集部まとめ
日本内分泌学会によると、日本では年間1140人ほどの方が新規に成人成長ホルモン分泌不全症と診断されていると推計しています。日本における総患者数は約3万6000人だそうです。現在、分泌が障害された患者自身の成長ホルモンを回復させる治療法はなく、成長ホルモン剤を注射することで補充する必要があります。もしも身近な人が自己注射している姿を見た時には、正しい理解と治療の苦労に共感する姿勢を持って接してみてはいかがでしょうか。