【体験談】風邪と思っていたら失明 「SLE」治療中に別の難病も発症(2/2ページ)

諦めない気持ち

編集部
治療中の心の支えはなんでしたか?
中林さん
家族です。子どもが小さかったので、何とか子どものためにと考えていました。
編集部
昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
中林さん
当時は楽しみも何も考える余裕などなく、生きているだけで精一杯でした。でも「笑うこともできなかったけれど、諦めなければ楽しく笑える幸せな日々がきっと来るよ」と伝えたいです。
編集部
起業されたと伺いました。
中林さん
まさか仕事ができるなんて思ってもいませんでしたが、3年前から勉強して、現在は手話講師として活動しています。54歳で起業することができました。 2020年からオンラインで手話のレッスンをしています。
編集部
体調はかなり良くなったということですか?
中林さん
体調は落ち着いています。内科にはずっと通院していて、ステロイド治療はないものの、服薬は継続していますね。疲れやすいため無理はできませんが、オンラインメインの仕事になったので、少し楽になりました。早め早めの対処で体調コントロールをしています。
編集部
目や脚は回復したのでしょうか?
中林さん
左目は見えないままですので、どこかに左半身をぶつけるときがあります。夜は見えにくい状況ですが、できないことは伝えるか控えるようにしてコントロールしています。人工股関節は、手術当初、一生杖生活になると言われていました。しかし、今は杖もなく、ゆるいダンスもできるようになりました。
編集部
運動することも体に良いでしょうからね。
中林さん
趣味でまさかできるようになるとは思っていなかったダンスを、50歳を過ぎてから学び始めました。ジャンプしたり、走ったりはできませんが、可能な範囲で楽しんでいます。脚の状態が良くなったのは、無理のない範囲で筋トレをしていたおかげではないかと思います。 整形外科の先生にもできる運動の仕方を聞いて、取り入れるようにしています。50歳くらいから、これまで筋トレを続けてきました。37歳のときに、80歳台の骨密度と言われましたが、現在では歳相応の骨密度に戻っています。
編集部
あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。
中林さん
身体の不調があるときには「まだできる」「もう少しできる」と頑張りすぎないでください。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
中林さん
医療従事者の方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。私自身はとてもいい方々に接していただいています。いつも気遣っていただいていますし、声かけひとつで、気持ちがとても楽になることがありました。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
中林さん
心と身体は繋がっています。心が元気でないと、身体も元気になれないと私は実感しました。ストレスを感じ続けたり、我慢やごまかしで無理を続けたりすると良くないというのが私の経験です。私の場合、心の健康を保つには、人との関わりが大きかったと思います。人とのご縁のおかげで今の私があります。
編集部まとめ
中林さんは、全身性エリテマトーデスを発症後、目が見えにくくなり、命に関わる可能性を告げられました。その後、大腿骨頭壊死の診断を受け、闘病生活を長年経験されてきています。闘病生活を続ける中で“最悪の時期”は過ぎ、現在は起業してオンラインで手話教室を開催されています。「難病になっても、障がい者になっても、少しの勇気と諦めない気持ちがあれば、幸せな未来がある」と言われていました。どんな病気になっても諦めない気持ちが、病気の改善に作用するのかもしれませんね。