【闘病】「疲れやすくなった」と思っていたら、全身性エリテマトーデスだった
「免疫力アップ」などのフレーズを、最近はさまざまなところで目にしますが、外敵から自分を守ってくれるはずの免疫機能が、何らかのきっかけで自分を攻撃してしまうこともあるそうです。今回は、そんな自己免疫疾患である「全身性エリテマトーデス」(SLE)と診断されたNiKo☆彡さん(仮称)に、闘病中の話を聞かせてもらいました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年11月取材。
体験者プロフィール:
NiKo☆彡(仮称)
30代、埼玉県在住。2021年にSLE、橋本病と診断される。育児をしながら闘病生活を送っている。
記事監修医師:
今村 英利(いずみホームケアクリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
自分の細胞を攻撃してしまう病気
編集部
最初に不調や違和感を感じたのはいつですか?
NiKo☆彡さん
2020年の6月に最初の体調不良を感じました。とにかく疲れやすくなり、休んでも、眠っても、疲労が取れませんでした。髪の毛の抜け方も、少し異常に感じていました。2020年は年初から環境や心境の変化があり、心身共にかなりの疲労とストレスが溜まっていた自覚がありました。
編集部
受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。
NiKo☆彡さん
6月に38度以上の発熱と皮疹、関節痛が酷く、口の中もただれたような症状があったので、病院を受診しました。その時は手足口病と診断され、症状も徐々に回復しましたが、また8月に体調を崩しました。寝ても休んでも体調が良くならず、それまでの体調不良とは異なる違和感を感じたので、9月に総合診療科を受診しました。その後言われるがまま、順に婦人科、内分泌科、血液内科、膠原病科と回って、様々な採血や検査をし、橋本病と全身性エリテマトーデス(SLE)と診断がつきました。診断がつくまでに1カ月かかりました。
編集部
多科にわたって検査したんですね。
NiKo☆彡さん
はい。ちなみにSLEの治療を始めるにあたって、ほかにも歯科、眼科、腎臓内科にもかかりました。
編集部
全身性エリテマトーデス(SLE)とは、どんな病気なのでしょうか?
NiKo☆彡さん
自己免疫疾患です。免疫というのは本来、ウイルスや菌など、外部から侵入した異物に対して攻撃をして身体を守る働きをしてくれるのですが、それが自分自身の細胞を攻撃してしまうのです。「全身性」とついている通り、全身に症状が出ます。原因も不明で、決め手となる治療法も見つかっていないため、難病に指定されています。橋本病は甲状腺ホルモンの量が不足して新陳代謝が低下し、無気力、頭の働きが鈍くなるなどの症状が出ます。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
NiKo☆彡さん
内服治療です。まずは自分の細胞を激しく攻撃している免疫を押さえ込むために、多めに薬を使って治療すると言われました。攻撃が落ち着いたら、今度はその状態を維持するために必要な量の薬を調整する。この病気には「完治」はないので、症状が激しくなる「再燃」という状態を防ぎ、寛解期間の長期化を目指す、と説明を受けました。
病気になって、自分ときちんと向き合った
編集部
そのときの心境について教えてください。
NiKo☆彡さん
なったものは仕方がない。ストレスや疲労が原因で思い当たることがあったので、「なるべくしてなったな」という感じでした。「自分ときちんと向き合わないと」と思いました。
編集部
病気の前後で変化したことを教えてください。
NiKo☆彡さん
紫外線にあたると体調が悪くなるので日焼け止め、帽子や日傘、長袖に長ズボンなどの着用が必須となり、選べる服がかなり変わりました。子どもとの外遊びでもすごく気を使うようになり、真夏は暑くてたまらなかったです。あとは、症状のひとつに脱毛があり、抜ける時にはかなり抜けてしまうので、ウィッグを買いました。あまりにも薄くなった時には着用しています。
編集部
薬の副作用も辛かったと聞きました。
NiKo☆彡さん
はい。ステロイドの副作用により、本当にすぐに疲れてしまうようになりました。また、細かいことをしようとする時や緊張している時に指先が震えるようになり、職場復帰するのに不安があります。それから、骨が弱くなり、重いものを持ったり激しい運動をしたりすると骨折のリスクが上がると説明を受けたので、あまり走らないようにしています。子どもの抱っこも立ったままではあまりできなくなりました。
編集部
精神的なところでも、何か変わりましたか?
NiKo☆彡さん
今までは多少疲れていても何かと無理をしていましたが、今は無理しすぎないように気を付けています。疲れるととにかく全身がだるくなり、何もできなくなります。調子の良い時はあれもこれもとやりすぎて後から動けなくなってしまうので、自分でうまく調整するようにしています。また、診断当初は、1カ月も入院をして子ども達に寂しい思いをさせてしまったので、子ども達との日々を本当に大切に過ごしています。
編集部
周りの人との付き合いは変わりましたか?
NiKo☆彡さん
みなさん優しいですが、時々困ることがあります。「調子はどう?」と聞かれた時に、どう答えれば良いのかがいまだにわかりません。安定していて、体調が良いわけでもなく悪いわけでもない。かといって親しい人以外に、そんな微妙なニュアンスを詳しく説明するのもどうなのかな、と思ってしまいます。また、「治ったの?」「早く治ると良いね」などと言われた時も困ります。「治らない病気なんだよ」とわざわざ説明されても、相手は困るだろうなと考えてしまい、気持ちがモヤっとすることが何度かありました。
自分の声をたくさん聞いてあげて下さい
編集部
今までを振り返ってみて、何か思うことはありますか?
NiKo☆彡さん
今回の病気以前にも手術と抗がん剤治療が必要な病気になったことがありました。その際も、ストレスと疲労からの発症でした。いつも病気にならないと自分の疲れや過度のストレスに気付かないので、もっともっと自分の心の声を聞くべきだったと後悔しています。無理をしすぎてしまいました。
編集部
現在の体調や生活はどうですか?
NiKo☆彡さん
体調は安定している日が多いです。採血結果はとても良好とは言えませんが、症状は安定してきています。仕事を休んで1年経ったので、そろそろ復帰したいと思っているものの、体調が不安定なことやすぐに疲れてしまうこと、手先が震えることなどから少し自信を無くしています。
編集部
医療機関や医療従事者に望むことはありますか?
NiKo☆彡さん
まず、この病気を見つけてくれたことに、とても感謝しています。また、入院した際の主治医チームにはかなりお世話になりました。些細な質問にも面倒な質問にも丁寧に答えていただき、かなり不安が軽減しました。関わってくださったすべての方々にとても感謝しています。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
NiKo☆彡さん
どうか無理をしすぎないで、自分の心の声をたくさん聞いてあげてください。元気だとつい頑張りすぎてしまうし、頑張りすぎていることや無理をしていることに気が付かないことが多いと思います。私のように、病気になってからでは遅いのです。病気にならないように、薬を飲まなくても良いように、その副作用に悩まなくて良いように。大切な人たちのそばで、穏やかにずっと過ごせるように。病気になってから色々なことを知って学び、自分を見つめ直すきっかけにもなりましたが、病気になって良かったなどと思うことは少しもありません。どうかみなさんが、穏やかに幸せに過ごすことができますように。
編集部まとめ
診断がつくまでにたくさんの検査をして、確定診断まで1カ月もかかったというNiKo☆彡さん。ご自身も大変な思いをされたと思いますが、それ以上に「子ども達にとても寂しい思いをさせてしまった」という思いが強かったといいます。そして、「大切な人たちのそばで、穏やかにずっと過ごせるように」、自分の心の声をたくさん聞いてあげてほしいというメッセージを伝えてくれました。無理をせず休んだり、病院で見てもらったり、自分自身をいたわることは、周りの大切な人たちのためでもあるのですね。NiKo☆彡さん、ありがとうございました。