【闘病】なんで私が? 2度の「膵がん」で全摘出を経験して…(2/2ページ)

今を全力で生きること、身体のサインを見落とさないこと

編集部
現在の体調や生活の様子はどのようなものですか?
ともこさん
以前に比べるとどうしても疲れやすさは感じますし、身体の至るところがつりやすくなっています。定期的に受診はしていますが、予期せず胆管炎を発症することもあって、安定しているとは言えません。特に夕方以降は体調不良と疲労の蓄積で動くのが辛いです。
編集部
インスリンポンプの管理もしながらの生活はいかがでしょうか?
ともこさん
今でも仕事をしているので、低血糖を起こしたり、消化不良で腹痛を起こしたりすることもあって、対応は大変です。膵臓がないので、本来分泌されるはずのインスリン、グルカゴン、リパーゼなどの消化酵素が出ず、その管理もとても大変です。
編集部
闘病生活を送る中で、ご自身の考え方などに変化はありましたか?
ともこさん
私と同じく膵がんで、一緒に闘病していた父は「与えられた命を笑顔で生きていくしかない」と、私に死を受け入れ、恐怖を乗り越える瞬間を見せてくれました。そこで、「今を全力で生きる」と考えるようになりました。また、親友からは「乗り越えられない壁はない、というけど乗り越えるだけが手段じゃない。壁の向こう側に行くチャンスを見逃さないことが大事」と言われ、私の中で大事にしている言葉です。
編集部
最後に読者へのメッセージをお願いします。
ともこさん
月並みな言葉になってしまいますが、膵臓は沈黙の臓器と言われます。でも、私が体験したように、必ず体からのサインはあります。それを見落とさないようにしてほしいです。そして「頼れる人がいるなら頼っていいよ」と、差し出された手をためらわずに掴んでください。私は「がんになって良かった」とは今でも思えませんし、失ったものの大きさは表現できません。ですが、小さくても多くのものを得たと思っています。病気にならないことが一番ですが、サインを見落とさないように気を付けてください。
編集部まとめ
2度にわたる膵がんを乗り越え、娘や家族とともに今を全力で生きているともこさん。病気の発症があっても新たなことへ挑戦し、立ち向かっていく姿は多くの人に力を与えてくれるはずです。膵がんで亡くなった方は2019年のデータでは3万6356人。早期発見が難しく、診断が遅れれば命にも関わる病です。定期的なエコー検査やCT検査を行えば、異変の早期発見にも繋がります。日頃から健康を意識し、定期的な検査を受けてみてください。