FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. デスクワークをしている人は要注意! ずっと同じ姿勢でめまいを起こす「良性発作性頭位めまい症」とは

デスクワークをしている人は要注意! ずっと同じ姿勢でめまいを起こす「良性発作性頭位めまい症」とは

 更新日:2023/03/27

安静な状態が多いデスクワークでも、めまいを起こすことがあります。「ふくろうクリニック自由が丘」の伊澤先生によると、安静だからこそ起きやすいめまいがあるのだとか。今回は、めまいについての詳しい話を伺いました。

伊澤 真理子医師

監修医師
伊澤 真理子(ふくろうクリニック自由が丘 副院長)

プロフィールをもっと見る

東邦大学医学部卒業。東邦大学医療センター大橋病院勤務後の2021年、東京都世田谷区に位置する「ふくろうクリニック自由が丘」の副院長就任。脳を中心とした疾患にチーム医療で対応している。日本脳神経外科学会専門医、日本認知症学会専門医・指導医、日本プライマリ・ケア連合学会認定医。

めまいの正体とは

めまいの正体とは

編集部編集部

めまいのような症状って、病気なのでしょうか?

伊澤 真理子医師伊澤先生

一言にめまいと言っても、「立ちくらみのようなフラッとする感覚」や「周りがぐるぐる回転しているような感覚」もめまいと表現されることが多く、原因も様々です。一般的な外来でめまいを訴える患者さんの6~7割は、「良性発作性頭位めまい症」と診断されています。良性発作性頭位めまい症は、寝返りをうったときや、物を拾ったときなど、特定の頭の位置になったときに短時間のめまい発作を繰り返します。また、「耳石」という炭酸カルシウムの小さな粒が本来の位置から転がり出て、誤って平衡器官を司る三半規管に入りこむことで生じます。

編集部編集部

耳石が転がるということは、運動をしている人に起きやすそうですね。

伊澤 真理子医師伊澤先生

いいえ。むしろ逆で、「長時間、頭を動かさない人」に起きやすいです。そして予防には、耳石を三半規管に溜め込まないよう、長時間の同じ姿勢を避けることが有効です。

編集部編集部

昨今、自宅のデスクでリモートワークする機会が増えてきましたよね。

伊澤 真理子医師伊澤先生

そうですね。良性発作性頭位めまい症と診断される人の約50%は「デスクワーク従事者」と言われています。もし、デスクワークが長時間続くときは、定期的に姿勢を変えたり身体を動かしたりしてリフレッシュしましょう。

編集部編集部

三半規管に入った耳石は、どのようにして元の位置に戻すのでしょうか?

伊澤 真理子医師伊澤先生

特殊なメガネを使って目の動きを観察しながら頭を動かすことで、左右3つずつある三半規管のどこに耳石が迷い込んだか診断します。そのうえで、特定の向きに頭を動かして三半規管から耳石を出していきます。

めまいと併発することがある難聴

めまいと併発することがある難聴

編集部編集部

同じ耳の失調でも、「聞こえにくさ」は別の観点でしょうか?

伊澤 真理子医師伊澤先生

通常なら、良性発作性頭位めまい症は、聞こえにくさを伴いません。めまいに加えて聞こえにくさを感じるとしたら、「メニエール病」や「突発性難聴」などのほかの病気が疑われます。メニエール病は、耳の器官の中にある内リンパ液が増えすぎることで起こります。平衡を司る三半規管の異常はめまい感として、聞こえを司る蝸牛の異常は耳閉感や難聴として症状が出現します。メニエール病を繰り返すと難聴は悪化します。ストレスや疲労、睡眠不足などが引き金になることがあるので、早期の診断と生活環境を整えることが望ましいです。

編集部編集部

耳石によるめまいと違って、聴覚障害は元に戻りにくいのでしょうか?

伊澤 真理子医師伊澤先生

「メニエール病による難聴」は、増えすぎた内リンパ液が音の感覚細胞を圧迫することによって起こります。長時間、あるいは繰り返し圧迫されることによって、感覚細胞自体がダメージを受け、戻りにくくなると考えられます。

編集部編集部

めまいと聞こえづらさについて、ほかにも怖い病気が考えられそうですが?

伊澤 真理子医師伊澤先生

はい。「脳の病気」の可能性もあり得ます。「生活習慣病をおもちの場合」や「体の痺れ・呂律が回らないなどのめまい以外にも症状がある場合」、「安静にしてもずっと持続するめまいの場合」は、危険なめまいの恐れがあります。

編集部編集部

代表的な病気はなんですか?

伊澤 真理子医師伊澤先生

脳卒中と脳腫瘍です。また、突発性難聴のように、早期に治療しないと回復が難しくなる病気もあります。総じて、「歩けないほどのめまい」と「聞こえづらさを伴うめまい」は早めの受診をおすすめします。

「老化」と決めつけないで受診を

「老化」と決めつけないで受診を

編集部編集部

一方で、目や耳の不調と老化との関係はどうでしょうか?

伊澤 真理子医師伊澤先生

老眼や加齢性難聴は、程度により誰にでも起こり得ます。とくに加齢性難聴は、耳の感覚細胞の減少や変性によって起こります。また、長期にわたる騒音や薬剤が影響している可能性も考えられます。

編集部編集部

そして、必要に応じて適切な治療を受けるべきだということですか?

伊澤 真理子医師伊澤先生

はい。日常生活の質にも大きな影響を及ぼしますので、ぜひ相談してみてください。めまいに関しては耳鼻咽喉科や脳神経内科・外科、聞こえに関しては耳鼻咽喉科に受診するのがいいと思います。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

伊澤 真理子医師伊澤先生

めまいは比較的多くの人が経験されたことのある症状かと思います。なかには危険なものや、早期診断が重要となるものがあるため、早期の受診をおすすめします。また、運動やストレス解消はめまい予防に効果がありますので、デスクワークの合間にも身体を動かす習慣ができるといいと思います。

編集部まとめ

めまいの多くには、耳の中の石が関係しているのとのことでした。この石は、「急な動作の変化」によって動く可能性があるとのことです。事務作業やパソコン操作が多い人は、良性発作性頭位めまい症の仕組みを知っておきたいですね。また、良性発作性頭位めまい症は、元に戻せる症状です。一方、聴覚神経のダメージは取り戻せません。単なる「聞こえづらさ」でも、立派な受診動機となることを覚えておきましょう。

医院情報

ふくろうクリニック自由が丘

ふくろうクリニック自由が丘
所在地 〒158-0083 東京都世田谷区奥沢6−20−23 フォーラム自由が丘1F-A・2F-A
アクセス 東急東横線「自由が丘駅」 徒歩7分
東急大井町線「九品仏駅」 徒歩7分
東急目黒線「奥沢駅」 徒歩7分
診療科目 脳神経外科、脳神経内科、整形外科、リハビリテーション科

この記事の監修医師