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処方された薬は飲み切るべき? 症状が改善したら飲むのをやめても大丈夫でしょうか?

公開日:2022/04/11  更新日:2022/08/24

薬の服用を自己判断でやめてしまった経験はないでしょうか? 単純に飲み忘れのケースもあると思いますが、治っただろうという自己判断でやめてしまったこともあるのではないでしょうか。あるいは、薬を飲んだ後に気分が悪くなったり、体調が悪化したりしたために、中止を余儀なくされたケースもあるでしょう。今回は、そのような判断の難しい「薬のやめ時」について「薬剤師」の小田桐さんに話を伺いました。

小田桐功武さん

監修
小田桐 功武(薬剤師)

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大学卒業後、都内の病院に薬剤師として就職。病棟や腫瘍センターなどを経験し「がん専門薬剤師」を取得。また、予防医療に関する正しい知見の収集・啓発・行動を推進している。

薬の正しい飲み方について

薬の正しい飲み方について

編集部編集部

自己判断で薬の服用を中止するのは、やはり問題なのでしょうか?

小田桐功武さん小田桐さん

薬を途中で中止した経験は、どなたにでもあるでしょう。問題は、中止に至った経緯と使用している薬とのバランスです。最後まで飲み切って欲しい薬ももちろんありますが、副作用があった場合などの自己判断には注意が必要です。ケース毎に考えていきましょう。

編集部編集部

ではまず、どのような場合は服用を中止してもいいのでしょうか?

小田桐功武さん小田桐さん

副作用の症状がある場合は、服用の中止を検討する必要があります。期待する効果と副作用とのバランスで、そのまま飲み続けるべきかどうかを判断します。そのためにも、かかりつけの薬局や主治医にすぐに相談できるよう体制を整えておくことが大切です。健康被害を発生させるような重い副作用であれば、すぐに服用の中止を検討してください。

編集部編集部

では、症状が改善した場合などはどうでしょうか?

小田桐功武さん小田桐さん

基本的に、症状が改善したからという理由で、服用を中止することは推奨できません。症状がおさまっているからといって、治っているとは限らないためです。医師は完治するための必要量を処方していますので、飲みきるようにしてください。

編集部編集部

どうして途中で飲むのを中止してはいけないのですか?

小田桐功武さん小田桐さん

薬を急にやめたことによって、それまで抑えられていた症状がかえって悪化する可能性があるためです。特に、慢性疾患の薬ではその傾向が多くみられます。薬によって治ったから症状がないのか、薬を飲んでいるから症状が出ていないだけなのか、その判断はとても難しいものなのです。

薬剤別、薬を飲み切った方が良い理由

薬剤別、薬を飲み切った方が良い理由

編集部編集部

まず、抗菌薬は飲み切った方が良いと聞いたことがありますが、どうしてでしょうか?

小田桐功武さん小田桐さん

抗菌薬は、薬剤耐性という観点から飲み切りを推奨しています。

編集部編集部

薬剤耐性とは、何ですか?

小田桐功武さん小田桐さん

抗菌薬を途中で中止したり中途半端に量を減らしたりしてしまうと、細菌が完全に死滅せずに、むしろその抗菌薬に慣れてしまう可能性があります。そのことで、耐性を獲得し抗菌薬の効かない細菌へと変異してしまう恐れがあるのです。これを「薬剤耐性」といい、耐性を獲得した菌を「薬剤耐性菌」と呼びます。将来的に、既存の抗菌薬の効かない菌が増えてしまわないように注意が必要です。

編集部編集部

次に、降圧薬などの慢性疾患薬についても詳しく教えてください。

小田桐功武さん小田桐さん

慢性疾患薬の場合は、薬を急にやめたことによってそれまで抑えられていた症状がかえって悪化する可能性があります。さらには、自覚症状がない場合などは安易にやめてしまいがちですが、やめることで脳梗塞などのより重大な疾患を発症してしまう可能性もありますので注意が必要です。

編集部編集部

ステロイド薬も、急に中止してはいけないと聞いたことがありますが、どうしてでしょうか?

小田桐功武さん小田桐さん

ステロイドは、もともとは副腎皮質ホルモンとして体内でも分泌されています。しかし、ステロイド薬を服用しているときは、副腎でつくられるステロイドの量が減少してしまいます。この状態で薬を急にやめてしまうと、ひどい炎症が再発することがあります。したがって、ステロイドの服用をやめる際には、徐々に量を減らしていく必要があるのです。

薬の効果を的確に発揮するために

薬の効果を的確に発揮するために

編集部編集部

ほかに、薬を飲むときの注意点があったら教えてください。

小田桐功武さん小田桐さん

用法・用量、服用期間の遵守などが挙げられます。基本的なことですが、指示された量、回数、時間を正しく守ることは、薬が適切な効果を発揮し、副作用を防ぐ上で最も重要なことです。薬の用法・用量は臨床試験で評価された方法ですので、しっかりと守るようにして下さい。

編集部編集部

では、飲み忘れた時はどうすればいいのでしょうか?

小田桐功武さん小田桐さん

基本的な対応として、次の服用時間までに時間があいているのであれば、気付いた時点で飲んでいただいて構いません。しかし、次の服用時間が迫っているのであれば、1回分をとばして次回分の薬を飲むようにして下さい。

編集部編集部

飲み忘れた分を一度にまとめて飲むのはいけないのでしょうか?

小田桐功武さん小田桐さん

一度に2回分をまとめて飲むことは、絶対に避けて下さい。薬の影響を過大に受けてしまい、副作用が出ることが考えられます。ただし、薬によって対応が異なる場合もありますので、不明な点は医師や薬剤師に確認をして下さい。

編集部まとめ

薬を自己判断で中止することの危険性を知ることができました。特に、自覚症状がない場合には、薬を飲むのを忘れがちですが、十分注意が必要です。一方で、重大な副作用が隠れている可能性もあります。服用中に体調に違和感があるときは、自己判断で継続しないで医師、薬剤師に相談した方が良さそうですね。