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飲み薬には「錠剤」や「カプセル剤」などがあるけど、どんな違いがあるの?

 更新日:2023/03/27

薬には錠剤、カプセル剤、粉薬、液剤というように、様々な形状のものがあります。形状によって効果に違いはあるのでしょうか。また、形状別に服薬時に気をつけることはあるのでしょうか。今回は薬の形状の違いについて「薬剤師」の中山さんに詳しく伺いました。

中山 歩実

監修
中山 歩実(薬剤師)

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星薬科大学卒業後、大学病院や市立病院で研鑽を積んだのち、現在は神経疾患やリハビリ等をメインとする病院で薬剤師として勤務。「一人ひとりの人生に寄り添った薬物療法を提供すること」を目標に、薬剤師やライターとして活動中。日病薬病院薬学認定薬剤師、麻薬教育認定薬剤師。

飲みやすい形状を選択できる

①	飲みやすい形状を選択できる

編集部編集部

薬の形状で何が違うのでしょうか?

中山 歩実中山さん

基本的にはどの形状の薬も効果は同じですが、個々人の飲みやすさに対応するためにいろいろな形状が用意されています。一つのタイプの形状しかないという薬も中にはありますが、多くの薬は形状を選ぶことができます。ただし入院中は、その病院に用意されている形状しか選ぶことができない可能性はあります。

編集部編集部

形状によって、効果が出る早さに差はあるのでしょうか?

中山 歩実中山さん

錠剤、カプセル剤のどちらにも、早く効果が出るように工夫されたものや、逆にゆっくりと吸収され効果が長く続くように工夫されたものがあります。また、早く吸収され、かつ長く効果が続くようになっているものもあります。錠剤だから、またカプセル剤だから吸収される早さや効果に差があるということはありません。粉薬は体内で溶ける早さは他の形状の薬と比べると少し早いですが、体内で吸収され効果を発揮するまでの時間は錠剤やカプセル剤とさほど変わりはありません。

編集部編集部

錠剤を割ったり、カプセル剤を開けたりして飲んでも大丈夫でしょうか?

中山 歩実中山さん

効果が出る早さや持続時間の調節のために、錠剤やカプセル剤には工夫がされています。そのほかにも胃を傷つけないように、薬が溶けない状態で腸まで届くように工夫されているものなどもあります。これらの工夫は、効果が安全にしっかりと発揮されるためにとても重要なものなのです。錠剤を割ったり、カプセル剤を開けたりしてしまうと、この工夫が阻害されてしまい、さらには副作用が強く出るなどの危険も伴いますので自己判断では行わないようにしましょう。

服薬時の注意点

服薬時の注意点

編集部編集部

薬を飲む時の注意点はありますか?

中山 歩実中山さん

カプセル剤のカプセル部分はゼラチンでできており、喉や食道にくっつきやすい傾向にあります。水分が足りないと喉につかえてしまうので、たっぷりの水で飲んでください。内服前に少し水を飲んで、口の中を湿らせておくのもいいですね。粉薬は、むせて誤嚥の原因になりやすいので注意が必要です。むせやすい人や、飲み込む力が弱くなっていると医師に言われている人は、オブラートや服薬ゼリーを使うのがおすすめです。また、薬の形状に関わらず、長く口の中に含んでいると表面のコーティングが溶けて苦味の出る薬があります。薬を飲む前に水を用意して、なるべく早く飲み込むようにしてください。

編集部編集部

水なしで飲める薬は効果に差があるのでしょうか?

中山 歩実中山さん

水なしで飲める薬は「口腔内崩壊錠/OD錠」とも呼ばれ、名前の通り、唾液程度の少量の水分に触れるとサッと口の中で溶けてしまう薬のことです。サッと口の中でなくなってしまう特徴から、「早く効く」と思われている方も多いですが、実は効果の出るまでの時間は通常の薬と変わりありません。飲み込む力が弱くなってきている人や、水分量に制限がある人に向いている形状の一つです。便利な一方で、少し舌にざらつきが残るように感じたり、独特の味が苦手と感じたりする人もいるかもしれません。また、水なしで飲んでも、水で飲んでも、効果に差はありません。もちろん、水で飲まなくてはいけない薬と一緒に飲む場合には、しっかり水で飲みましょう。

編集部編集部

形状の変更をお願いすることはできるのでしょうか?

中山 歩実中山さん

調剤薬局で受付をする時に伝えていただければ可能です。形状変更が可能な薬かを確認し、変更できない場合は上手に服薬する方法のアドバイスなども受けられます。味が苦手、大きすぎて飲めないなどの理由をお伝えいただけるとスムーズな対応が可能です。

高齢者の服薬について

高齢者の服薬について

編集部編集部

高齢者が錠剤もカプセル剤も飲みにくいと感じる場合は、どうしたらいいのでしょうか?

中山 歩実中山さん

医師や薬剤師に相談し、粉薬に変更するのが一般的です。粉薬がない場合は、錠剤を潰して粉にする対応になります。そのため、準備に少し時間がかかることもありますので、事前に処方箋をファックスなどで調剤薬局に送っておくとすぐに受け取れます。

編集部編集部

錠剤を潰して粉にしてもらう場合、費用はかかりますか?

中山 歩実中山さん

潰して粉にする薬の数や日数にもよりますが、目安としては数百円程度です。保険を使って、さらにその1~3割負担になるので、実際には数十円~数百円に収まることが多いようです。

編集部編集部

錠剤やカプセル剤の形状のまま飲みやすくする方法はありますか?

中山 歩実中山さん

錠剤やカプセル剤の中には、溶かして内服できるものもあります。この方法を、簡易懸濁法(かんいけんだくほう)と言います。ぬるま湯に薬を入れて溶かすだけなので、ご自身で行うことができる方法です。色々な種類の薬を飲んでいる高齢者や飲み込む力が弱くなってきている人でも、簡単に服用することが可能になります。しかし、薬によっては一緒に溶かすと固まってしまい色がついてしまうものや、効果が弱まってしまうものもあります。簡易懸濁ができる薬なのかどうか、またどう溶かせばいいかは、必ず医師や薬剤師に確認してください。

編集部まとめ

形状による薬の効果には、ほとんど差がないことがわかりました。基本的には製薬会社が定めた用法用量をしっかり守って服用することが大切です。しかし、個々人の飲みやすさに合わせて薬の形状は変更することができるとのことなので、味や大きさなど、服用時に飲みにくさを感じている人は、医師や薬剤師に相談してみることをおすすめします。

この記事の監修薬剤師