出産の流れについて教えて! 病院に行くタイミングはいつ?
はじめての妊娠だと、「出産の流れがよくわからない」ということもあるかもしれません。今回は、いつ病院に行けばいいのか、その後はどんな流れで出産が進むのかなどについて、「ローズマタニティクリニック」の前先生に詳しく教えていただきました。
監修医師:
前 和幸(ローズマタニティクリニック 院長)
東京大学医学部医学科卒業。その後、各地の病院で産婦人科部長などを歴任。2021年、埼玉県さいたま市に「ローズマタニティクリニック」を開院。「かけがえのない命の誕生を、できる限り自然な状態で迎えて頂きたい」という思いを大切に、医師や看護師が一丸となって母子の健康を温かく見守っている。日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本医師会認定産業医。
ほとんどの人がおこなう経腟分娩で出産する
編集部
出産には、どのような方法があるのですか?
前先生
出産は、「経腟分娩」と「帝王切開」に分けることができます。経腟分娩は、赤ちゃんが産道を通って出てくる出産です。もう一方、帝王切開はお腹と子宮を切開して赤ちゃんを取り出す出産方法です。
編集部
どちらの方法で出産する人が多いのですか?
前先生
経腟分娩が主流です。一般的には経腟分娩で出産し、「逆子である」、「双子以上の多胎妊娠である」、「以前も帝王切開で出産した」というような場合には帝王切開がおこなわれます。
編集部
帝王切開なら出産の予定日を事前に決めることができると思いますが、経腟分娩の場合はどのタイミングで入院するのでしょうか?
前先生
経腟分娩でも、出産日をあらかじめ設定して、その日に陣痛を起こすといった計画的に出産することもできます。家庭の事情で出産日を事前に決めたいという場合や、確実に立ち合い出産をおこないたいという場合に、そのような方法を選択する人もいます。ただし、陣痛促進剤を使うことに抵抗がある、あるいは自然のリズムで出産をしたいという人は、自然分娩を選択することが多い傾向にあります。
編集部
自然分娩の場合、どのタイミングで入院すればいいのですか?
前先生
初産の場合は、10分ごとに陣痛が起きるタイミングで病院に連絡をしてもらうのが一般的です。出産を経験したことがある場合は、10〜15分間隔で陣痛が起きたときに連絡をお願いしています。ただし、破水したときや多量の出血がある場合、下腹部の痛みがある場合はすぐに連絡をしてください。
分娩は第1期から第3期まで分けられる
編集部
陣痛が入院するタイミングの目安になるのですね。そもそも、陣痛はなぜ起こるのですか?
前先生
陣痛は、赤ちゃんを体外へ押し出すために、子宮が収縮を繰り返す運動のことを指します。つまり、陣痛が始まったら、お産が近いということです。
編集部
陣痛はどのように起こるのですか?
前先生
出産の予定日が近づくと、1日に何回かお腹が痛くなったり、硬くなったりすることが不規則に続きます。これは「前駆陣痛」といい、いわば出産のためのウォーミングアップのようなものです。前駆陣痛が起こって数日〜1カ月ほどすると、本格的な陣痛が始まる傾向にあります。
編集部
だんだん陣痛の間隔が短くなってきて、入院のタイミングがわかるのですね。
前先生
そうです。陣痛は、子宮が収縮して痛みを発する「陣痛発作」と、収縮が止まって痛みがなくなる「陣痛間欠」を繰り返します。通常、陣痛発作と陣痛間欠は規則的に繰り返し、はじめのうちは陣痛発作が短く陣痛間欠は長くなります。しかし、だんだん陣痛発作が長くなって、陣痛間欠が短くなります。初産の場合、陣痛が10分おきに起こったら病院へ連絡しましょう。
編集部
病院に連絡して入院したら、その後はどのように進めるのですか?
前先生
分娩は、第1期から第3期まで分けられます。まず第1期は「開口期」と呼ばれ、文字通り陣痛が始まってから子宮口が完全に開くまでの時期のことを意味します。分娩が近くなると、子宮口は10cm程度開いて出産に備えます。
編集部
開口するまで、どれくらいの時間がかかるのですか?
前先生
一般的に、初産の場合は10〜12時間、妊娠経験がある場合は4〜6時間です。ただし、なかには30時間以上かかる人もいらっしゃるので、実際は個人差が大きいですね。そのため、焦らずに自分のペースでゆっくりと深呼吸を続けることが大切です。
出産前に頭の中でイメージトレーニングを
編集部
分娩の第2期は、どのように進むのですか?
前先生
第2期は、いよいよ赤ちゃんが誕生する時期です。まずは、看護師の指示で分娩室へ移動します。子宮口が完全に開いて破水すると、「頭→肩→両手→お尻→足」の順番で赤ちゃんが出てきます。出産時間の目安はだいたい30分〜1時間ですが、個人差があるのであくまで目安として考えてください。
編集部
その後、第3期はどのように進むのですか?
前先生
赤ちゃんが生まれた後、体内から5~20分かけて胎盤が出てくるのが第3期です。第3期をもって分娩は終了となります。
編集部
第1期から第3期まで、長い時間がかかるのですね。
前先生
そうですね。いざとなると焦ってしまったり、落ち着きをなくしてしまったりすることもあるかもしれません。出産前、医師にきっちり流れを聞いてわからないことがないようにしておいたり、ご家族と当日の流れや連絡方法を確認したりするなどをシミュレーションしておくといいでしょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
前先生
出産は女性の人生の中でも大きなイベントです。また、妊婦さんだけでなく、パートナーやご家族にとっても大事なことです。出産前は流れをイメージトレーニングしておくことがポイントとなります。とくに初産の場合は、予期せぬタイミングでお産が始まることもあります。いざというときに焦らないよう、入院に必要なものをひとまとめにして、玄関などわかりやすいところに置いておくといいでしょう。病院によってはお産に必要なものをセットとしてお渡ししているところもあります。何かあったとき、すぐに対処できるようにしておきましょう。
編集部まとめ
クリニックによって若干異なるところがあるかもしれませんが、基本的な出産の流れはどのクリニックでも同じです。赤ちゃんを迎える前に、こうした出産までの流れをしっかり把握しておきましょう。あらかじめ、こうした知識をもっておけば、焦りや不安も多少は和らぐと思います。
医院情報
所在地 | 〒336-0026 埼玉県さいたま市南区辻7丁目8-17 |
アクセス | JR埼京線「北戸田駅」 徒歩14分 |
診療科目 | 産科、婦人科 |