無痛分娩に対応している施設は全国で3割! 24時間365日対応可能な施設はどのくらい…? 費用は?
副編集長の佐藤あやが、20~30代女性の気になる医療情報を専門医に聞く対談企画。産婦人科専門医・陣内理子先生に無痛分娩の費用相場や施設選びについて徹底解説してもらいました。
監修医師:
陣内 理子(はぐくみ母子クリニック 医師)
久留米大学医学部、順天堂大学大学院修了。大学病院及び関連施設に勤務。2016年より2年間ヨーテボリ大学留学。2020年よりはぐくみ母子クリニック勤務。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、医学博士。
佐藤あや(「Medical DOC」副編集長)
モデル。最新医療に関心が高く、2021年8月から「Medical DOC」副編集長に。YouTubeチャンネル『教えてドクター・Medical DOC』でMCとして活動。一児の母としての目線にも注目。
無痛分娩ができる施設の割合と費用相場について
佐藤あや
無痛分娩を希望する妊婦さんで、帝王切開になるパターンはあるのですか?
陣内先生
普通分娩でも無痛分娩でも、帝王切開になる確率は変わらないと言われています。無痛分娩のせいではなく、いつ何が起こるかわからないということですね。ただ、無痛分娩の場合は、器械分娩といって、赤ちゃんが出てくるのを助ける吸引や鉗子分娩をする確率は、無痛分娩でないケースより上がります。
佐藤あや
無痛分娩ができる施設の割合ってどれぐらいでしょうか?
陣内先生
おそらく全分娩施設のうち3割ぐらいです。
佐藤あや
自分で病院を選ぶとき、絶対に無痛分娩で出産したくて、24時間365日対応してくれる施設を探したのですが、意外と都内は少ないと思いました。
陣内先生
欧米のようなバースセンターであれば、産婦人科医も麻酔科医も揃っていて、お産する人が集まるのであれば対応できますが、日本だと大きな病院や施設でも同じように設備が揃っているとは限らないのです。最大限の提供をされていると思いますが、海外と同じようにはいかないですね。
佐藤あや
無痛分娩ってどうしても費用が高くなると思うのですが、相場ってどれぐらいでしょうか?
陣内先生
10~15万円くらいで、高いと25万円くらいする施設もあります。
佐藤あや
「完全に無痛分娩に対応します」と謳う施設だと、設備やご飯も豪華で分娩費用以外も含めトータルですごい金額になりますよね。
陣内先生
妊婦さんのニーズに応えていくと、費用は大事ですよね。
佐藤あや
無痛分娩を不安に思う方で、赤ちゃんに影響があるのではないかという方もいらっしゃると思いますが、どうでしょうか?
陣内先生
基本的にはありません。お薬が赤ちゃんに移行することを心配されていると思いますが、硬膜外麻酔も局所麻酔もお母さんの体の中に入る量はわずかですし、さらにお母さんから胎盤を通じて赤ちゃんに伝わるというのは、本当にごくわずかです。お薬の量がトータルで多かった場合は麻薬を使っているので、麻薬が赤ちゃんに影響してしまって、一時的に赤ちゃんの呼吸が弱くなることはありますけど、それは一時的なものです。産まれた後の反射など赤ちゃんの反応を見ても、その後の子どものIQを調べて無痛分娩の有無で差はなかったと言われているので、その影響は心配しなくていいと思います。
佐藤あや
初めての出産は時間がかかると聞きますが、それは無痛分娩でも同じことですか?
陣内先生
若干延びると言われています。お産は陣痛がきてから、赤ちゃんが出るまで2つに分けます。陣痛が始まってから、子宮口が10cmまで全開に開くといいますが、それまでを分娩第一期、子宮口全開から赤ちゃんが出るまでを分娩第二期と言っています。分娩第一期については、初産では10時間~12時間ぐらいといわれていますが、無痛分娩をしてもしなくても差はないですね。しかし、分娩第二期は延長しやすい傾向にあります。+1時間は許容できるといわれていて、さらに長くなると器械分娩の選択が考えられます。初産が無痛分娩でも概ね変わらないです。
佐藤あや
無痛分娩を選択する割合ってどれくらいですか?
陣内先生
2016年の調査だと6.1%です。
佐藤あや
少ないですね!
陣内先生
フランスだと8割、アメリカも7割程です。施設のシステムが違うこともあり、国によって多くの妊婦さんに適応できているところもありますが、日本は10%ぐらいといわれています。