なかなか治らない膀胱炎、もしかしたら「マイコプラズマ・ウレアプラズマ」が原因かも?

公開日:2021/11/03  更新日:2021/11/02

今回は、膀胱炎(ぼうこうえん)の治りにくさにスポットを当ててみましょう。薬が合っていないのか、菌をため込みやすい体質なのか、はたまた性交渉のパートナーに原因があるのか。いろいろと原因が考えられる中、あらためて浮上してきたのが「想定していなかった菌」の存在です。「自由が丘わたなべ泌尿器科クリニック」の渡邊先生に、膀胱炎と菌の関係を解説していただきました。

渡邊晃秀

監修医師
渡邊 晃秀(自由が丘わたなべ泌尿器科クリニック 院長)

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杏林大学医学部卒業。泌尿器医として臨床を積んだ後の2020年、東京都目黒区に「自由が丘わたなべ泌尿器科クリニック」開院。生活スタイルに適した治療法の提案に努めている。日本泌尿器科学会専門医。日本癌治療学会、日本性機能学会、日本性感染症学会、日本排尿機能学会、日本尿路結石症学会の各会員。

菌と薬の追いかけっこが起きている

菌と薬の追いかけっこが起きている

編集部編集部

ずっと膀胱炎が完治しなくて困っています……。

渡邊晃秀渡邊先生

なかなか治らない理由は、「薬が合っていない」か「薬の飲み方や量が適正ではない」かの、どちらかだと思われます。痛みや腫れ物などの症状が治まった時点で、薬の服用をやめるなんてことに心当たりはありませんか。この段階では、いまだ原因菌が生き残っているかもしれません。まずは、薬を処方された分、最後まで飲みきるようにしてください。

編集部編集部

薬の用量・用法は守っていますし、最後まで飲みきっています。

渡邊晃秀渡邊先生

そうなると、原因菌を拾ってきやすい体質なのかもしれませんね。膀胱炎の半数以上は、ご自身の菌の感染によるものです。お尻を拭くときに菌が膀胱内に入り込んでしまったり、出し切れていない尿内で菌の繁殖を許したりすることで、炎症につながってしまいます。また、それ以外で顕著なのは、性交渉による感染でしょうか。こうした経路は、菌の種類を調べることで特定できます。

編集部編集部

性感染症でよく聞くのは「クラミジア」です。

渡邊晃秀渡邊先生

そうですね。有名なクラミジアや淋病のほかにも、「マイコプラズマ・ウレアプラズマ」という菌がいます。なお、これらには、一般細菌用の抗生剤がほぼ効きません。診断の段階できちんと菌の種類を鑑別しておかないと、意味のない処方・服用が繰り返されかねないのです。

編集部編集部

抗生剤って、1種類ではなかったのですか?

渡邊晃秀渡邊先生

1種類ではないですし、同じ抗生剤でも「感受性」という個人ごとの効き具合が異なります。それに加えて厄介なのは、菌が「遺伝子変性」を起こすことです。例えば、インフルエンザウイルスでも様々な“変異株”が登場していますよね。それと同様に、マイコプラズマも変異し、特定の抗生剤への耐性をもってしまうことがあるのです。

追いかけっこの連鎖を断ち切るためには

追いかけっこの連鎖を断ち切るためには

編集部編集部

菌が薬の耐性をもつって、厄介ですね。

渡邊晃秀渡邊先生

はい。ですから、マイコプラズマなどの菌に「変異する時間を与えないうち」に退治することが重要でしょう。すなわち「初診の段階で専門的検査をして、菌の判別をつけておくこと」と「服用薬の用量・用法を守って菌をやっつけきること」が、それぞれ求められます。さらにいえば、「菌に余計な情報を与えないこと」も重要です。言い換えると、菌が耐性をもつ可能性があるので、いろいろな薬に手を出さない方がいいということです。

編集部編集部

つまり、原因菌の特定とそれに特化した薬のみを服用することが大切だと?

渡邊晃秀渡邊先生

はい。ところが、マイコプラズマの検査は自費で、しかも「マイコプラズマ・ウレアプラズマがいるかどうか」しかわかりません。例えばアレルギーのパッチテストのように、1回受ければ「原因であるアレルゲンが特定できる」というテストではないのです。

編集部編集部

耐性も踏まえると、我々はどう対処すべきでしょうか?

渡邊晃秀渡邊先生

受診するならできるだけ1院に限定し、その医療機関での治療歴を積み重ねることではないでしょうか。自費のテストを受けなかったにしても、「この抗生剤は効かなかった」という経験は得られます。もちろん、有効な抗生剤が見つかれば、再発した場合でも「また、同じ薬で様子を見ましょう」ということが可能です。なかなか治らないからといって転院ばかりしていると、逐一、最初からアプローチするはめになりかねません。

編集部編集部

そして、菌にも余計な情報を与えてしまうと?

渡邊晃秀渡邊先生

そういうことです。そもそも、厄介な菌は排泄しきりたいですよね。菌が体内にいるから「薬を学習してしまう」のであって、速やかに排泄できれば耐性は付きません。よって、「仕事柄なかなかオシッコへ行けない」、「水分を摂る量が少ない」、「疲れがたまっている」というような場合、仕事や生活環境にもアプローチしていくべきです。「薬との戦い」だけでは、問題が完結しないと思います。

パートナーと一緒に感染症を防ぐ

パートナーと一緒に感染症を防ぐ

編集部編集部

こうした膀胱炎に対する知識って、どうすれば得られますか?

渡邊晃秀渡邊先生

やはり、泌尿器科の中でも「より経験が豊富」な医療機関を頼った方がいいように思います。原因が様々なので、他人のブログなどを読んでも、ご自身に該当するとは限らないでしょう。前述のように一部の検査は自費で、なおかつ、「空振りに終わる」ということも考えられますよね。なおのこと、慎重なアプローチが求められるでしょう。これから新たに医療機関を探すとしたら「難治性膀胱炎」などのキーワードで検索してみてください。

編集部編集部

膀胱炎の完全な予防って、できるのでしょうか?

渡邊晃秀渡邊先生

正直なところ、観点が多彩で難しいと思います。お尻の拭き方や使用しているパットの衛生状態、菌の繁殖を許す残尿の有無、粘膜に付いた菌を洗い流す尿の頻度、性交渉の頻度、体の疲れやストレスなどの要因が関係してきます。ですから、新型コロナウイルス感染症対策と同様で、完全には防げないにしても、「新たな生活の流れ」をつくってみましょう。わからなかったら、泌尿器科の医師へご相談ください。

編集部編集部

マイコプラズマは性交渉でうつるのですよね?

渡邊晃秀渡邊先生

そうです。したがって、ご自身の治療ができたとしても、パートナーから再び“菌をもらってしまう”かもしれません。クラミジアやマイコプラズマなどの細菌感染が確認されたら、パートナーもクリニックに連れてきてください。菌のキャッチボールが続くとしたら、片方だけ除菌しても予防しきれません。なお、コンドームなどの避妊具を使用しても完全な防御はできませんが、十分な予防効果は認めると推察します。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

渡邊晃秀渡邊先生

膀胱炎の7~8割は、ご自身の腸内細菌によるものです。残りの原因はほぼ横並びという印象ですが、なかでもマイコプラズマが頭1つ分だけ突出しているように思います。検査は自費になりますが、必要に応じて「自分がマイコプラズマをもってはいなかった」ことを知っておく意義もあるはずです。泌尿器科の医師と相談しながら、真の原因を特定していってください。

編集部まとめ

難治性膀胱炎の原因として「マイコプラズマ・ウレアプラズマ」の存在が挙げられることは事実のようです。しかし、あくまでも一因にすぎず、ほかにも考えるべき対策があるということでした。膀胱炎は原因が多岐にわたるだけに、「一つひとつ消去法で除外していく」という進め方も要検討なのでしょう。特定のテストで陰性だったことも、考えようによっては一歩前進です。

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診療科目 泌尿器科