医療脱毛と美容脱毛の違いを医師が解説! 知っておくべきレーザー機器の種類と特徴
全身脱毛に関心がある人が増えてきました。しかし、ひと口に脱毛といっても「医療脱毛」と「美容脱毛」があり、実際のところどんな違いがあるのでしょうか? また同じ「医療脱毛」でも、クリニックによって使用するレーザー機器はさまざまです。 機器にはどのような特徴があるのでしょうか?松井クリニックの松井潔先生に、詳しく話を聞きました。
監修医師:
松井 潔(松井クリニック 院長)
北里大学医学部卒業。横浜市立市民病院、北里大学病院救命救急・災害医療センター、湘南鎌倉総合病院などへの勤務を経た2000年、横浜市都筑区に「松井クリニック」を開院。同時に医療法人松井会松井クリニックの理事長へ就任。現在、プライマリ・ケアから高度難治医療まで幅広い地域医療に努めている。日本形成外科学会専門医。その他、各種関連医学会の会員。
「医療脱毛」とは?
編集部
そもそも「医療脱毛」とはなんですか?
松井先生
医療脱毛とは、医療用レーザー機器を使って、医師や看護師などの資格を所持した施術者が行う脱毛のことです。そのためエステサロンでは行うことができず、病院でしか施術を受けることができません。
編集部
医療脱毛は、どのように行われるのですか?
松井先生
医療レーザー脱毛には、黒い色素(メラニン)に反応する波長のレーザーが用いられています。このレーザーは黒い色に当たると、光エネルギーが熱に変わります。そのため、レーザーを肌の表面に照射すると、ピンポイントで毛に反応し、熱を発します。この熱が毛根にある「毛を生やす細胞」を破壊することで、新しい毛が生えてくるのを抑えられるのです。これが、「医療脱毛は永久脱毛」と言われる根拠です。
編集部
「永久脱毛」ということは、二度と発毛しないということですか?
松井先生
永久脱毛というと、「皮膚から1本の細い毛も生えていない状態」とイメージする方も多いでしょう。しかし、欧米での定義をみると、「施術後に終毛(=太い毛)の数が著明に減少すること」とされています。つまり永久脱毛をしても、終毛ではない、細くて柔らかなうぶ毛は残ってしまうということです。ただし、一般的な毛については、確実に生えてくる量を減らすことができるので、施術後のお手入れの負担は、確実に減少するでしょう。
医療脱毛と美容脱毛の違いとは?
編集部
医療脱毛のほか、「美容脱毛」という言葉も聞きますが、これはどういうものですか?
松井先生
美容脱毛とは医療脱毛と異なり、照射レベルの低いエステサロン用の光脱毛機器などを使い、エステティシャンが行う脱毛のことを指します。脱毛に関する資格を所持している必要はなく、医師による診察も行われません。その点が、医療脱毛との大きな違いです。また、光脱毛機器では毛根細胞の周辺組織に刺激を与えることなく、体毛の成長を遅らせます。
編集部
美容脱毛で使う光脱毛機器と、医療脱毛で使うレーザー脱毛機器では、どのような違いがあるのですか?
松井先生
光脱毛機器のメリットは、痛みが少なく、脱毛方法によっては美肌効果も得られるということです。また医療脱毛よりも照射レベルが低いため、肌トラブルを引き起こす可能性も低くなります。その反面、医療脱毛は「永久脱毛」であるのに比べ、美容脱毛はいってみれば「除毛」や「減毛」。毛根を破壊するのではなく、細胞組織にダメージを与える脱毛方法のため、一時的な減毛・除毛効果しかありません。
編集部
医療脱毛と美容脱毛では、効果が現れるまでの期間も異なるのですか?
松井先生
美容脱毛で使用する光脱毛機器に比べ、医療レーザー脱毛機器は照射の出力が高いため、確実により少ない回数で終了できます。一人ひとりの毛の濃さや発毛具合にもよりますが、確実に早く永久脱毛を完了させたい方には、医療レーザー脱毛がおすすめです。
自分に合った医療脱毛機器の選び方
編集部
「医療脱毛は痛い」と聞いたことがあります。実際はどうでしょうか?
松井先生
確かに医療脱毛で使用するレーザー脱毛器は、レーザーのパワーが強いため、脱毛部位によっては痛みを感じることがあります。しかしレーザー脱毛器にもさまざまな種類があり、痛みを起こしにくいものもあります。また通常、医療脱毛は医師や医師の指導のもと、国家資格を持った看護師が施術しますし、万が一のときは、院内に常駐している医師が適切に必要な処置を行います。どうぞご安心ください。
編集部
レーザー脱毛器には、どのような種類があるのですか?
松井先生
日本で医療脱毛に使われるレーザーは、主に「アレキサンドライトレーザー」「ダイオードレーザー」「Nd YAGレーザー」の3種類です。ダイオードレーザーは波長が800ナノメートル(以下nm)で、黄色人種の毛質や肌質に最適。皮膚面を接触冷却しながら照射するタイプで、うぶ毛や色素の薄い毛にも対応できます。また、アレキサンドライトレーザーの特徴は、日本人の黒色メラニンとの相性が良いということです。波長は755nmで、3つのレーザーのうち最も短く、エネルギーが高いので一気に細胞を破壊することができます。Nd YAGレーザーは、波長が1064nmと長いので表皮深くにある毛根に有効です。またメラニンへの吸収率が低いので比較的肌が黒い方も施術が可能です。
編集部
このなかで今、一番のトレンドはどれですか?
松井先生
この3つのレーザーは、照射の仕方に蓄熱式と単発照射式の2種類があります。「ダイオードレーザー」は蓄熱式と単発照射式が存在しますが、あとの2つは単発照射式です。蓄熱式の方が低出力で高速照射させるため、脱毛効果が優れているとして、最近は人気があるようですね。当院でも「ソプラノアイス」という蓄熱式のレーザー脱毛機器を導入しており、より短時間で永久脱毛が可能として、多くの患者様にご利用いただいています。そのほかにも5つの機器をご用意し、患者様の肌の色や、毛の太さ・色・密度に応じてレーザー脱毛器を使い分けています。
編集部
医療脱毛を行うクリニックを選ぶ際には、どんなところに注意したら良いでしょうか?
松井先生
機器によっては、痛みが少ないものや、敏感肌でも負担が軽いもの、日焼け肌やVIOなど色素沈着のある部位でも照射可能なものなどがあります。また、脱毛する部位やその方の発毛状態によっても適応する機器が異なります。クリニックを選ぶ際には、どの機器を備えているのかを調べ、カウンセリングを受けて納得いくまで相談すると良いでしょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
松井先生
医療レーザー脱毛の場合、一般的な毛周期に合わせて1~2か月に一度施術を受けていただくと、大体5回前後で永久脱毛が可能です。部位やその方の発毛具合にもよりますが、きちんと効果が表れますので、興味のある方は一度、医療レーザー脱毛を行っているクリニックに相談すると良いと思います。特に、医療レーザー脱毛を始めるなら、日焼けの影響を受けにくい秋から冬がおすすめ。機器によっても痛みや効果が違うので、迷ったら医師にご相談ください。
編集部まとめ
最近では女性だけでなく、男性も永久脱毛を行う人が増えています。少ない回数で確実に効果が出る医療レーザー脱毛。使用している機器や金額などはクリニックによって大きく異なるので、カウンセリングでしっかり確認しましょう。
医院情報
所在地 | 〒224-0034 神奈川県横浜市都筑区勝田町324-3 |
アクセス | 横浜市営地下鉄「仲町台駅」 徒歩10分 |
診療科目 | 内科、小児科、皮膚科、形成外科、整形外科、美容外科 |