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若い女性は要注意?甲状腺の働きが鍵を握るバセドウ病とは

 更新日:2023/03/27

体が疲れやすく、汗っかき。そんな誰にでも経験のありそうな症状が、重い全身障害を引き起こすきかっけとなることもあります。

今回は、特に20代から30代にかけての女性に多く発症すると言われる「バセドウ病」を取り上げ、この病気の原因となる甲状腺との関わりなどについてMedical DOC編集部がお届けします。

この記事の監修医師
森口 誠 (森口耳鼻咽喉科 院長)

バセドウ病とは

ヒトの体には、外からの細菌やウイルスなどから身を守るための免疫機能が備わっていますが、このシステムに何らかの異常がみられた場合にその機能が乱れ、自ら体内に障害を与える抗体を作り出してしまうことがわかっています。

バセドウ病は、免疫システムの異常によって作られた特異な抗体が「甲状腺」という器官を刺激し、そこから分泌される甲状腺ホルモンの量を大幅に増やしてしまう「甲状腺機能亢進症」を代表する病気です。

200~500人に1人が罹患する中で女性患者の比率が男性より5倍も多いと言われ、さまざまな不快症状の中には女性に特有のものもみられるなど、仕事や出産など多くの経験が重なる年代との関連が否定できない病気でもあります。

甲状腺の仕組みと働き

甲状腺ホルモンを分泌させているのが甲状腺で、喉ぼとけの下あたりにある骨に沿うようにして広がっている臓器のことを指します。

甲状腺とは細胞の新陳代謝を司る器官であり、食べ物から得たヨウ素をもとにして作られた甲状腺ホルモンの量が一定に保たれることで、体の健康の維持ができるという重要な役割を担っています。

一方で、甲状腺ホルモンが増えすぎるとバセドウ病などの「甲状腺機能亢進症」を発症させ、逆に極端な低下では「甲状腺機能低下症」や「橋本病」といった病気の原因となるなど、いずれの場合にも体にはさまざまな異変が起こります。

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こるバセドウ病は、新陳代謝を通常よりもはるかに活発にするため、次のような症状がみられます。

バセドウ病の主な症状

【全身的な症状】

・倦怠感

・微熱

・異常な量の発汗がみられる

・動悸、息切れ

・骨量やコレステロール値の低下

・血圧、血糖値の上昇

・筋力の低下

【部分的な症状】

・甲状腺の腫れ

・眼球が突出する

・手足の震え、しびれが起こる

・のどの渇き

・下肢のむくみ

【内臓系の症状】

・食欲の極端な増加や減少

・生理不順

・下痢気味になる

【皮膚の症状】

・かゆみ

・脱毛

・色素沈着

【精神的な症状】

・イライラ感

・不眠

・早口になる

バセドウ病は意外にも見つかりやすい?

甲状腺の異常によるバセドウ病の症状は多岐に及び心にも体にも影響を及ぼす特徴を持ちますが、それぞれの症状の現れ方には個人差がある上に更年期障害特有の症状とも似ているなど自己判断が付きにくい場合もあります。

しかし特殊な抗体によって発症するこの病気は、簡単な血液検査によってその存在を容易に見つけることができるものでもあるため、適切な医療機関を受診すれば早期発見・治療も可能です。

一般的な甲状腺検査によっては、甲状腺ホルモン量の測定や機能検査、自己抗体検査の結果がワンセットで判定でき、その後の治療もスムーズに開始することができると考えられます。

総合病院の場合は事前に予約や紹介が必要な場合もありますので、個人病院でも特に内分泌系の病気を扱う病院や甲状腺の専門外来を開設している医療機関で検査を受けられるといいでしょう。

では、実際にバセドウ病と診断された後の治療とはどういったものなのでしょうか?

バセドウ病の治療法とそのメリット・デメリット

バセドウ病の治療は主に3つの治療法によってすでに確立されていますが、ここではそれぞれの治療法におけるメリット・デメリットとあわせてご紹介します。

薬物療法

バセドウ病の薬物治療では「抗甲状腺薬」の内服で甲状腺ホルモンの合成を抑制し、血中の甲状腺ホルモン濃度を正常にさせる治療である。

【メリット】

 ・薬の内服だけで済むので治療が簡単

 ・副作用がなければ甲状腺の機能が回復する

 ・妊娠中や授乳中でも治療が可能

【デメリット】

 ・発疹や白血球減少・肝障害などの副作用が出やすい

 ・1~2年で約半数の人が寛解にはいるが、再発もある

アイソトープ治療(放射性ヨウ素内用療法)

アイソトープ治療は、抗甲状腺薬を使用できない場合で、甲状腺腫が小さくて比較的甲状腺機能亢進の程度が強くない人に甲状腺の大きさに合わせた量の放射性ヨード(ヨウ素-131)の服用によって甲状腺の機能そのものを低下させたり正常に導いたりする方法であり、現在国内では10%程度の実施率でこの治療が活用されています。

【メリット】

 ・カプセルを1回飲むだけの治療で完了する

 ・薬物療法よりも治療期間が短め

 ・副作用や合併症などの心配がない

 ・完治が望める

【デメリット】

 ・治療を受けられる施設が少ない

 ・甲状腺機能低下症の発生率が高い

手術療法

手術によるバセドウ病の治療は甲状腺の一部または全摘出を指しており、これにより甲状腺で作られるホルモンの分泌が圧倒的に減るという効果をもたらします。

甲状腺が大きく著しい腫れも認められる場合や、一日も早い完治を望む方、薬物療法やアイソトープ療法も向かない方向けの治療と言えるでしょう。

【メリット】

 ・確実に治療できる

【デメリット】

 ・手術跡が残る

 ・手術ができる医療機関が限られている

 ・約3割で甲状腺機能低下症になり甲状腺ホルモン薬を、約1割で抗甲状腺薬を必要とす  る

バセドウ病になったらどうする?日常生活におけるポイント

バセドウ病の治療法が確立されているとはいえ、いずれの治療法にもメリット・デメリットがあることがおわかりいただけたかと思います。

では、もしあなたがバセドウ病と診断された場合にはどうすればいいのか、その注意すべきポイントをピックアップします。

抗甲状腺薬を処方されたらきちんと服用する

このお薬は医師の処方どおりにきちんと服用することで効果を発揮します。くれぐれも自己判断で服用を中止したりしないように注意しましょう。

副作用の出方に注意する

抗甲状腺薬による副作用は、服用開始から3か月で現れ始めるものです。その程度は皮膚のかゆみや湿疹などの軽微なものから、急激なのどの痛みや高熱などまでさまざまあります。

まれに無顆粒球症という重篤な全身症状で細菌に対する抵抗力が落ちる可能性もありますので、薬剤の服用による体調の変化には注意が必要です。

規則正しい生活を心がける

バセドウ病の治療効果を高め、再発を防ぐには生活のリズムを整えて十分な睡眠時間を確保する努力も必要です。

体調が良い時も過度の運動は避けるようにし、必要以上に疲れをため込まないことも大切です。

ストレスの少ない日常を過ごす

バセドウ病と遺伝的な要素は決して無関係ではないと言われています。もともとその要素を備えている人がふとしたきっかけで発症するケースもありますので、治療中はできるだけリラックスするようにしたいものです。

特に抗甲状腺薬での治療ではストレスが治療効果を低下させる原因にもなるようですので、努めて心と体を休める工夫も必要でしょう。

タバコはできるだけ吸わない

嗜好品の中でもタバコとの因果関係が深いとされるのがバセドウ病です。

喫煙者はそうでない場合に比べ治療が長引く傾向にあり、症状の特徴である眼球の突出が顕著に現われるのも、タバコを吸う方に多いという研究結果が出ています。

同じくアルコールについてもほどほどを心がけ、病気の治療を優先させるようにしましょう。

海藻類の摂り方について

甲状腺ホルモンを作り出す材料になるのが、食べ物に含まれるヨウ素です。ヨウ素は海藻類に多く含まれることから、バセドウ病の患者がこれを摂取するには注意が必要とも言われています。

摂取制限があるかどうかは主治医のドクターに尋ねてください。

バセドウ病と本気で向き合い治療を試みる上では、これらの注意を守りつつ症状を悪化させる嗜好品はほどほどを心がけるのがおすすめです。

早期発見で快適な日常を取り戻しましょう

いかがでしたでしょうか?

今回は、のどの腫れや全身の不快症状を伴う甲状腺の病気、「バセドウ病」にスポットを当て解説しました。

バセドウ病は女性に多く、タイミングによっては仕事や妊娠・出産などをセーブせざるを得ない状況を招くものです。

いつもとは違う体の異変を早めに察知し、適切な検査を受けることで健康な日常生活が送れるよう心がけましょう。

森口 誠 医師 森口耳鼻咽喉科 院長監修ドクターのコメント

甲状腺疾患は比較的頻度の高い疾患です。様々な症状があり様々な診療科を受診する機会があります。どの診療科でも血液検査と超音波検査で見つけることができ治療に至ることは比較的容易と言えます。ただし何科でも治療可能というわけではなく、バセドウ病の薬物療法については副作用もあり薬物の選択と投与量の調節に専門的知識と経験を必要とします。最終的には甲状腺専門医を受診していただくのが望ましいと言えます。

 

監修ドクター:森口 誠 医師 森口耳鼻咽喉科 院長

バセドウ病でおすすめの甲状腺病院 近畿編

森口耳鼻咽喉科

出典:http://www.mm-ent.jp/

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