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夏場に肌のレーザー治療はしないほうがいいってホント?

 更新日:2023/03/27
夏場に肌のレーザー治療はしないほうがいいってホント?

シミの除去や脱毛治療で多用される「レーザー治療」。日焼けした肌がレーザーに反応してしまう恐れから、「夏に使用するのは避けるべき」という意見が散見されます。はたして、本当にあり得る話なのでしょうか。また、夏休みの機会を有効活用できるチャンスはないのでしょうか。「松井クリニック」の松井先生に、真偽を確かめてみました。

松井 潔

監修医師
松井 潔(松井クリニック 院長)

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北里大学医学部卒業。横浜市立市民病院、北里大学病院救命救急・災害医療センター、湘南鎌倉総合病院などへの勤務を経た2000年、横浜市都筑区に「松井クリニック」を開院。同時に医療法人松井会松井クリニックの理事長へ就任。現在、プライマリ・ケアから高度難治医療まで幅広い地域医療に努めている。日本形成外科学会専門医。その他、各種関連医学会の会員。

ただでさえ、夏は刺激に満ちている

ただでさえ、夏は刺激に満ちている

編集部編集部

肌のレーザー治療に、季節的な有利・不利ってあるのでしょうか?

松井先生松井潔先生

結論としては、施術前後のスキンケアがきちんとできる人なら、「いつ治療をはじめても大丈夫」です。ですが、一般に春先から夏にかけては、花粉や強い紫外線、寒暖差による肌ストレスなどによって「皮膚が敏感」になっています。

編集部編集部

そんな時期に、あえてレーザーによる刺激を加える必要はないと?

松井先生松井潔先生

はい。シミの原因である「メラノサイト」の活性化により、「別のシミ」などができやすくなります。しかし、適切なスキンケアが可能なら、活性化を防ぐことも可能です。加えて昨今、マスクの着用により、施術後に貼る「ばんそうこう」を隠せるようになってきました。さらに、テレワークの拡大など、あまり他人に顔を見せなくなってきたことも、夏場のレーザー治療の追い風になっていたようです。

編集部編集部

施術前後のスキンケアについて、詳しく教えてください。

松井先生松井潔先生

術前なら、日焼け止めクリームの塗布や、花粉症も含めた肌アレルギーの抑制などで、肌ストレスを抑えてください。術後は、レーザーの種類により「ばんそうこう」の使用をお願いすることがあります。傷跡の回復や自ら引っ掻く動作も防げるので、医師の指示を厳守しましょう。

編集部編集部

家にいる機会が多いと、かえって肌ケアをルーズにしがちです。

松井先生松井潔先生

そういった人は、仮に秋冬から始めたとしても、治療の効果が得にくいでしょう。ちなみに、強いエネルギーをピンポイントで照射するレーザー治療より、弱くて広範囲に照射する「光治療(IPL)」のほうが、肌に与える刺激は少ないのです。場合によっては、そうした肌ストレスの低い治療方法も検討していきます。

広範囲に及ぶ場合は、長期的な視野も必要

広範囲に及ぶ場合は、長期的な視野も必要

編集部編集部

シミや脱毛の治療は「年単位」と聞いています。どうしたって、夏を通過しますよね?

松井先生松井潔先生

シミの治療期間は施術箇所の範囲によりますが、重要なのは術後のセルフケアです。短期治療が不可能なわけではありません。仮に年単位だとすると、「これから頑張って続けていこう」というモチベーションが問われますよね。そうであれば、レーザー治療の効果を実感しやすい「秋冬が有利」という側面があるかもしれません。

編集部編集部

先生が推奨する症例別のスケジュールを教えてください。

松井先生松井潔先生

ピンポイントの短期治療は除きます。広範囲のシミ除去や脱毛が前提で、あくまで一般的な例を挙げれば、以下のような流れでしょうか。なお、スケジュールに関しては、シミも脱毛も同じと考えてください。
[9月] 初回のカウンセリング
[10月] 施術1回目、必要によって投薬療法の併用開始
シミ除去なら月に1回、脱毛なら2カ月に1回程度のレーザー治療を継続
[初春] 治療箇所が多い症例でも、春先には終了
[夏前] 万が一の肌トラブルがあった場合に、リカバリー対応

編集部編集部

スケジュール通りだとしても、始めた年内の効果は期待しないほうがよさそうですか?

松井先生松井潔先生

例えば、10円サイズのシミだけの治療、ワキだけの脱毛などなら、短期で効果が出る場合があります。繰り返すようですが、大切なのは術後約3カ月のセルフケアです。医師の注意が守れないようでしたら、季節・期間を問わなくなるでしょう。

大切なセルフケアの観点

大切なセルフケアの観点

編集部編集部

先ほどセルフケアに関して、ばんそうこうの話が出ていましたが?

松井先生松井潔先生

強いレーザーを当てると、肌にかさぶたができます。ばんそうこうはその治りをよくする目的なのですが、引っ掻くようなこともなく、紫外線ケアができる方なら、使わなくても大丈夫です。医師としては「貼ってください」とお願いしますけどね。他方、日焼け止めなどを塗る習慣のない方は、別のシミができるかもしれません。結果として、治療の効果を得にくいと思います。

編集部編集部

そもそもですが、紫外線が問題なのでしょうか。それとも肌の露出なのですか?

松井先生松井潔先生

紫外線ですね。紫外線のピークは4~9月なので、暑くて肌を露出しがちな夏場は当然ケアしましょう。6月は梅雨で曇ることも多々あり油断しがちですが、同様に注意が必要な時期といえるでしょう。

編集部編集部

あせもや発汗による肌トラブルも気になります。

松井先生松井潔先生

汗の影響は、あまり心配しなくてもいいでしょう。脱毛に関して言うと、毛穴に皮脂汚れがたまりやすい時期ですが、治療成績を左右するほどのことはありません。どちらかというと、肌質のような「個人差による影響」のほうが大きいです。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

松井先生松井潔先生

極論すると、「一元的なセオリーはない」ということになるでしょうか。紫外線ケアができるのか、レーザーを当てていいシミなのか、光治療が向いているシミなのか、施術したい範囲はどれくらいなのか、費用をどれくらいで見積もっているのか、これら複数の要素によって時期的な目安は変わってきます。まずは、気軽にご相談ください。その際、秋頃に受診していただければ、おおむね「どのようなケースであっても」、好ましい予後が期待できるでしょう。

編集部まとめ

カウンセリングで決まったことが最終決定、普遍的にいえる時期的な目安は“特にない”という結論でした。また、新型コロナウイルス感染症が、従来のセオリーを成り立たなくさせている側面もあるようです。このようなときこそ、インターネットの情報だけを頼らず、医師とじかに向き合うべきなのかもしれません。

医院情報

松井クリニック

松井クリニック
所在地 〒224-0034 神奈川県横浜市都筑区勝田町324-3
アクセス 横浜市営地下鉄「仲町台駅」 徒歩10分
診療科目 内科、小児科、皮膚科、形成外科、整形外科、美容外科

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