野菜ジュースは飲んでも意味がないって聞くけど、実際どうなの?
監修管理栄養士:
端場 愛(管理栄養士)
安田女子大学家政学部管理栄養学科卒業。学生寮やクリニック、介護老人保健施設などで幅広い世代の栄養管理に従事。栄養と体の関係を多くの人に分かりやすく伝えるために、フリーランスのライターとして活動中。簡単かつ今よりちょっと健康になれるレシピ開発を得意とする。
目次 -INDEX-
野菜ジュースには栄養がある
編集部
野菜ジュースには栄養がないと聞きますが、本当でしょうか?
端場さん
そんなことはなく、野菜ジュースにはしっかり栄養素が含まれています。リコピンやβ-カロテンなどは、生野菜から摂るよりも野菜ジュースから摂る方が、逆に身体への吸収率がアップします。また、カリウムやマグネシウムなどのミネラル類も加工前とほとんど変わりません。
編集部
では、なぜ栄養がないという話が広まったのでしょうか?
端場さん
ビタミンCや食物繊維など、製造過程で減ってしまう栄養素もあるのが原因だと思われます。ビタミンCや葉酸、ビオチンなどの水溶性ビタミンは水に溶けやすく、熱に弱い性質があるので、加工による栄養素の損失率が高い傾向にあります。また、口あたりをよくするために不溶性食物繊維を取り除く場合が多いので、食物繊維も減ってしまっています。
編集部
野菜ジュースに期待できる健康効果はありますか?
端場さん
野菜ジュースは生野菜に比べ、吸収率がリコピンは約3.8倍、β-カロテンは約1.5倍アップします。これらの栄養素には、強い抗酸化作用があり、血管のしなやかさを保つ、メラニンを抑制する、肌のハリツヤをキープするなどの効果が期待できます。野菜ジュースはこれらの栄養素を効果的に摂取できるので、老化現象が気になる人などにおすすめです。
野菜ジュースの役割
編集部
野菜ジュースを飲めば、野菜は食べなくても大丈夫でしょうか?
端場さん
野菜ジュースは、加工前より減っている栄養素も多いので、野菜そのものを食べるときと同等の栄養素は摂取できないと考えた方がいいでしょう。そのため、野菜ジュースはあくまでも、食事の補助として取り入れることをおすすめします。
編集部
野菜ジュースはどのような人におすすめでしょうか?
端場さん
普段から野菜不足を感じている人におすすめです。忙しくて野菜が十分に摂れていない、外食ばかりで野菜のメニューが少ないと感じたときに、野菜ジュースを普段の食事にプラスするといいでしょう。すべての栄養素は補えませんが、飲まないよりは健康効果が期待できます。
編集部
野菜ジュースは毎日飲んでも大丈夫ですか?
端場さん
毎日飲んでも大丈夫ですが、1日1本(200ml)程度がいいでしょう。商品によっては果物などの糖分が多い食材を使用しているので、飲みすぎると糖分の摂りすぎになることもありますので注意が必要です。
野菜ジュースの活用方法
編集部
野菜ジュースはいつ飲むのが効果的でしょうか?
端場さん
基本的にはいつ飲んでも大丈夫ですが、朝に飲むほうが身体に吸収されやすいとされています。また、食事の30分前に飲むと、血糖値の上昇がおだやかになるという研究結果も報告されています。血糖値が気になる方は、朝食の30分前に野菜ジュースを飲むことを習慣にしてみてはいかがでしょうか。
編集部
野菜ジュースの健康効果をアップさせる飲み方はありますか?
端場さん
リコピンやβ-カロテンなどは、脂溶性ビタミンです。油に溶ける性質をもつので、油を使った料理と一緒に飲むと吸収率がさらにアップします。また、少量のオリーブオイルなどを野菜ジュースに混ぜて飲むのもおすすめです。
編集部
野菜ジュースのおすすめのアレンジ方法があれば教えてください。
端場さん
野菜ジュースを料理に使うアレンジ方法がおすすめです。例えば、野菜ジュースを使った炊き込みご飯やトマト風味のパスタは、初めての方でも簡単に美味しくいただけます。また、加熱調理してもリコピンやβ-カロテン、ビタミンEは減りにくいので、栄養価は野菜ジュースのときとあまり変わらず摂取できます。
編集部まとめ
野菜ジュースにはしっかり栄養素が含まれており、減ってしまう栄養素もありますが、逆にリコピンやβ-カロテンなどは生野菜を食べるより吸収率がアップすることがわかりました。野菜不足が気になるときなどには、野菜ジュースをいつもの食事にプラスすると栄養バランスが取れておすすめです。また、食前に飲むことで、血糖値の上昇を抑える効果があるのもうれしいですね。ただし、野菜ジュースだけに頼るのではなく、野菜が十分に摂れないときの補助食品として活用しましょう。