健康診断前日のNG行動を紹介「直前の悪あがきは正しい結果が出ないので控えて」
ここで言う「してはいけないこと」には、2つの意味が考えられます。1点目は、正確な診断を妨げてしまう不適切な行為。2点目は、バレたくない不都合をごまかすための隠ぺい行為です。その人にとっての「本当の姿」を映し出すためにも、改めて健康診断前日のタブー行為を知っておくべきでしょう。「健康館鈴木クリニック」の鈴木先生に伺いました。
監修医師:
鈴木 和郎(健康館鈴木クリニック 院長)
久留米大学医学部卒業。昭和大学病院第二内科入局、血液学専攻。昭和大学病院血液内科専任講師を経て1995年、東京都大田区に「健康館鈴木クリニック」開院。医院全体で「よりよいライフスタイル」を提言できるよう心がけている。医学博士。日本内科学会認定内科医、日本血液学会認定血液専門医・指導医、日本人間ドック健診専門医・指導医、日本臨床内科医会専門医・指導医。
健康診断前日の悪あがきがNGの訳は?
編集部
健康診断の前日の注意点というと、まずは食事制限が挙げられますか?
鈴木先生
食事は、検査時間の「10時間前」から控えてください。検査が午前中なら、前日に早め夕食をとって、当日の朝食は抜きです。検査が夕方近くで10時間以上空けられるなら、当日の朝食をとっても大丈夫です。なお当院は、消化器系の検査を含まない場合に限り、食事制限をしていません。そのような方針を掲げている医院もありますので、ご注意ください。
編集部
水分はどうでしょうか?
鈴木先生
胃のバリウム検査を含む場合は、食事と一緒で、「10時間前」から飲めません。口をうるおす程度なら構いませんが、ゴクゴク飲むと、きちんとした検査ができなくなります。暑い夏などは、検査日程を外すべきでしょう。また、飲み物の種類も「水」に限定されます。ジュースやお茶などは多くの胃液を出してしまうので、やはり、きちんとした検査ができなくなります。胃のバリウム検査をしない場合は、医院の指示に従ってください。
編集部
持病の薬や常用薬を飲んでいる人は?
鈴木先生
検査直前の服用は止めていただきます。おそらく、予約時の用紙などに記載があるはずです。もちろん内服薬に限られ、塗り薬や点眼薬なら問題ありません。
編集部
健康診断前日に、慌ててダイエットなどの悪あがきをする人っていますよね?
鈴木先生
正しい結果が出ない可能性があるので、直前のダイエットなどの悪あがきはやめましょう。仮によい結果が出たとしても、かえって疾患リスクを隠してしまいかねません。普段の生活を「採点」してもらうような意識で受診しましょう。頑張ってダイエットして、健診後のご褒美に「ドカ食い」するのは、最悪のパターンです。
行動面の注意点や喫煙の是非
編集部
食事のほかに、前日の制限項目はありますか?
鈴木先生
激しい運動は、肝機能の数値を高くすることがあります。筋肉を酷使するジム通いなどは、「1回お休み」していただきたいですね。
編集部
試合やウォーキングなどの運動も同様でしょうか?
鈴木先生
程度にもよるので難しいですね。一般的に考えるなら、試合は「ダメそう」で、ウォーキングは「大丈夫そう」です。総じて、前日の激しい運動を控えてください。また、当日朝のウォーキングなどは、水分補給が絡んできますから、できれば見送るべきでしょう。
編集部
仕事はどうなのでしょう? 残業するとストレスが溜まりそうです。
鈴木先生
ストレスの問題というより、無意識に食事や軽食をしてしまう可能性が怖いですね。帰宅後の食事時間まで考慮に入れて、うまくスケジュールを組み立てましょう。定時に帰れれば好ましいですが、そのまま徹夜でゲームなどをしてしまったら、意味がありません。おそらく、それが原因で血圧が上がるでしょうね。
編集部
タバコは確実に血圧を高めますよね?
鈴木先生
医師としての回答は、「ぜひ、禁煙をしてください」です。しかし、個人的には、「検査前に吸う数本のタバコが何かしらの影響を与えることは少ない」と考えています。検査結果には、日頃の積み重ねが反映されるからです。
体重計と血圧計が健康をリードする
編集部
今度は、健診の結果を上げる方法について教えてください。
鈴木先生
原則として、「短期間の取り組み」は意味がありません。かかりつけ医から言われている注意事項があったら、それを順守しましょう。また、生活習慣を根本から見直すとしたら、いわゆる「生活習慣病対策」が効果的です。
編集部
具体的には、どのような内容でしょうか?
鈴木先生
適度な運動、栄養バランスのよい食事、目安として7時間以上の十分な睡眠、喫煙を控えることなどが該当します。
編集部
でも、どうしたって「言うは簡単、やるは困難」の面がありますよね?
鈴木先生
体重計で毎日の体重を量ることと、血圧計で朝・昼・晩の数値を測定することは、案外、モチベーションの維持につながりますよ。数字の「見える化」が功を奏すのだと思います。目標値を置かずとも、日々、数字を見ているだけで「どうにかしよう」となるはずです。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
鈴木先生
医師から特段の注意を受けていることがあったら、きちんと守ってください。前回の健診に限らず、今度の健診についても同じです。どうしても忘れてしまう人は、目の付くところにメモしていただきたいですね。「明日の健診結果は気にしないでおこう」と思うことこそ、最もしてはいけないことでしょう。
編集部まとめ
食事や水分摂取の制限は、医療機関や検査内容によって異なるとのことでした。「健康診断を受け、医師から注意点をもらい、その注意点を守れたかどうか次回の健康診断で評価する」。この流れが、理想的な健康管理の要となりそうです。検査直前ですることの多くに、意味はありません。ぜひ、健康診断と日々の生活をリンクさせてみてください。
医院情報
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