歯を欠損したときの治療法、それぞれの選び方を教えて!
歯を欠損し、人工歯を入れることになったときに、よく選択肢に挙がるインプラントとブリッジ。名前はよく聞くけれど、違いは何なの? どうやって選べばいいのかわからない! 貞光歯科医院の貞光先生、教えてください。
監修歯科医師:
貞光 謙一郎(貞光歯科医院 院長)
朝日大学歯学部卒業後、同大学院の補綴第二講座に入局。博士号を取得後、1997年に「貞光歯科医院」開院。学会活動をおこないながら、歯科専門誌へ学術の発表、講演会などを積極的におこなっている。常に技術の勉強に努めながら、地域の人の歯の健康を守っている。日本顎咬合学会副理事長、大阪SJCD会 会長を歴任。日本顎咬合学会指導医、日本歯科審美学会認定医などの資格を有する。
まずは歯を欠損した理由を突き止めるのが大切
編集部
歯を欠損した場合、インプラントやブリッジなどの治療法が挙げられると思いますが、どのように選べばいいのでしょう?
貞光先生
大切なのは、歯が欠損した原因を突き止めることです。例えば、大きな力がかかって歯を欠損した部分、インプラント治療をすると、口の中にさらに大きな力がかかってしまい、良くありません。人工歯を入れるときは、口の中全体を見ることが大切なのです。
編集部
では、原因を突き止めた上で、どの方法にするか先生が決めるのですね。
貞光先生
いえ、決めるのは患者様自身です。私たちは原因を突き止めた上で、それぞれの方法のメリット・デメリットを説明します。口の中にどのような歯を作るかは、患者様自身に決めて頂くのがいいと思います。
編集部
ちなみに、治療法は全部で何種類あるのでしょう?
貞光先生
患者様には、主に4つの選択肢があります。①インプラント、②ブリッジ、③入れ歯、④そのままにする、の4つですね。
外科的治療の有無が大きな違い
編集部
それぞれの治療法について教えてください。まずはインプラントから。
貞光先生
歯を欠損した部分の顎骨(がっこつ)に、人工の歯根を埋めこみ、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。その際、土台となる骨の硬さ、密度、量がしっかりしているか事前に調べることが大切となります。インプラントは噛む力が優れていて、まわりの健康な歯を削る必要がないのが最大のメリットです。デメリットは費用が高いこと、外科的処置のため体に負担がかかること、術後に膿や歯周病などが起こる可能性があること。また、術後もしっかりしたメンテナンスが必要となります。
編集部
ブリッジはどういうものですか?
貞光先生
欠損した箇所の両サイドの歯を支柱にして、橋を架けるように人工の歯を被せる治療法です。素材によっては、保険が適用されるためリーズナブルで、外科的治療もないので、治療後のトラブルが起きづらいのが特徴です。ただ、支柱となる2本の健康な歯を削る必要があります。また数年に一度、作り変えが必要です。
編集部
欠損した歯を補う方法であっても、まったく別ものなのですね。
貞光先生
そうですね。インプラントは人工歯根を埋めこむ外科的処置で、土台となる骨がしっかりしている必要があります。取り付けがうまくいけば、噛む力や審美性に優れており、メンテナンスをきちんとおこなえば長く使い続けることができます。ブリッジは手術の必要がないので体への負担が少なく、インプラントほどではないですが、噛む力も弱くはありません。ただ、まわりの健康な歯への負担がデメリット。どちらにも長短があり、患者様の口の中の状態に合ったものを選ぶことが大切です。
信頼できる歯科医を見極めて依頼しよう
編集部
ほかの選択肢もあるということでしたが、こちらについても教えてください。
貞光先生
まずは入れ歯ですね。部分入れ歯と総入れ歯があり、欠損した歯の本数によって選ぶことができます。そのため、広範囲の欠損に対応ができるのがメリットで、外科的治療も必要ありません。ただ、バネをかけるためまわりの歯に負担がかかる、インプラントやブリッジに比べて噛む力は劣るなどのデメリットもあります。いい歯科技工士さんに作ってもらうと、違和感を少なくすることができますよ。
編集部
そのままにするとはどういうことですか?
貞光先生
インプラントもブリッジも入れ歯も使わないということです。3つの方法はいずれも口の中に異物を入れておこなうものです。中にはそうしないほうがいいケースもあります。例えば、今まで治療した患者様の中で、前歯を欠損した方がいました。ブリッジも入れ歯も嫌ということで、両隣の歯に接着する形で、セラミックの歯をくっつけました。噛むなど歯の本来の力は発揮できませんが、審美としては成功したと思います。
編集部
歯の欠損補綴をする場合、一番大切なことは何だと思いますか?
貞光先生
歯は放っておいて勝手に治ることはありません。治療をおこなう際には、きちんとした経歴や経験を持つ先生に診てもらうことが重要です。欠損補綴の治療では初めに述べたように、口の中全体をきちんと見てもらうことが大切です。そして、治療をおこなう前に先生が説明や患者様の疑問を解決する時間をきちんととってくれているかどうか。患者様自身が信頼できる先生かどうか、きちんと調べて治療に訪れるといいと思いますよ。
編集部まとめ
欠損した歯を補うための方法は、インプラントとブリッジ以外にも方法がありました。治療を受ける場合、まずは口の中全体を診てもらい、原因を突き止めることが大切! インプラントもブリッジも長短があるので、原因により適切な治療を受けるべきでしょう。
医院情報
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アクセス | 近鉄奈良線「学園前」駅 徒歩3分 |
診療科目 | 歯科 |