ナイロンタオルで体をゴシゴシ洗うのは肌に悪影響! 正しい洗い方を皮膚科専門医が解説
みなさんは体を洗うときに、なにを使っていますか? タオル、スポンジ、そしてナイロンタオルの人も多いのではないでしょうか。しかし、ナイロンタオルで強くこすることがあまりよくないという話も。強くこすれば汚れが落ちるのにどうしてダメなの? 正しい体の洗い方は? しらゆり皮膚科クリニック瑞江本院の竹田先生、教えてください!
監修医師:
竹田 潮(しらゆり皮膚科クリニック瑞江本院 院長)
国立浜松医科大学医学部卒業、千葉大学大学院医学研究科修了。千葉大学医学部附属病院皮膚科入局後、君津中央病院、小見川総合病院、県立東金病院、千葉社会保険病院などに勤務。2003年、東京都江戸川区に「しらゆり皮膚科クリニック」を開院。「保険診療の延長線上に美容皮膚科がある」との考えから、保険診療では治癒が難しい症状の場合は、適正な価格で自費診療を提供している。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本アレルギー学会、日本美容皮膚科学会、日本臨床皮膚科学会の各会員。
こすりすぎは肌のバリア機能を破壊する
編集部
ナイロンタオルで体を洗うのは肌によくないと聞きました。
竹田先生
そうですね。私もナイロンタオルは使うことは推奨しません。たしかに洗ったときに汚れが落ちたような気がして気持ちがいいため、使う人が多いですが、ナイロンタオルで体を摩擦することは、肌に大きなダメージを与えます。
編集部
ダメージを与えるというのは、ナイロンタオルの刺激が強いということですか?
竹田先生
そうですね。本来、肌の表面にはバリア機能が備わっており、皮膚を乾燥や刺激から守ってくれています。しかし、ナイロンタオルなどの摩擦で刺激をしすぎると、このバリア機能が壊れてしまいます。
編集部
バリア機能が壊れると、どうなってしまうのでしょうか?
竹田先生
バリア機能が壊れてしまうと、痒みやかぶれ、細菌感染、背中のニキビなどを起こすリスクが高まります。また、メラニン色素などが真皮に落ち、色素沈着しやすくなります。これにより肌が黒ずんでしまうこともあるのです。
編集部
でもしっかり洗わないと、汚れって落ちなくないですか?
竹田先生
皮膚はターンオーバーにより、28日の一定の周期で自然と剥がれ落ちる構造になっています。そのため強い刺激を与えなくても、いらないものは勝手に剥がれ落ちて新しい皮膚に生まれ変わっていくのです。ナイロンタオルでゴシゴシすることは、汚れだけでなくバリア機能も破壊するのでオススメできません。
肌を泡でなでるように洗う
編集部
では体を洗うときは、どうやって洗うのがいいのですか?
竹田先生
まずはボディソープや石鹸を、しっかり泡立ててください。そして、泡を皮膚に乗せてなでるくらいでOKです。肌を傷つけないようにやさしく洗うのがポイントです。
編集部
なでるだけですか? ナイロンタオルではなく、ふつうのタオルやスポンジも必要ないのですか?
竹田先生
タオルやスポンジでこすると、ナイロンタオルほどじゃなくても摩擦で肌に刺激を与えます。そのためあまりオススメはしないですね。日本人は毎日入浴する習慣があるので、湯船にきちんと浸かっているのであれば、体を洗わなくてもいいくらい汚れは落ちているのです。
編集部
人の肌は、自然とキレイになるようにできているんですね。
竹田先生
その通りです。本来はシャワーのみで済ませる人が気になる部分を泡で洗うくらいでいいんですよ。肌は一定周期で生まれ変わってキレイになるので、強く洗いすぎるとかえって逆効果になりかねません。なので、泡でやさしくなでる程度で十分なのです。その際、石鹸やボディソープ成分が肌に残ると刺激を与えてしまうので、しっかりと洗い流してくださいね。
頭皮も肌の一部なのでやさしく
編集部
では、頭を洗うときもやさしく洗うのが好ましいのでしょうか?
竹田先生
もちろんです。髪の毛を洗うときに頭皮もゴシゴシしがちです。しかし、頭皮も皮膚の一部です。髪の毛を洗うときにはゴシゴシしすぎることなく、頭皮も体と同様にやさしく洗ってあげてください。
編集部
頭皮を強く洗いすぎると、どんなリスクがありますか?
竹田先生
爪を立ててゴシゴシと強く洗ってしまうと、頭皮を傷つけてしまう危険性があります。それが原因で細菌感染や湿疹反応をおこして頭皮の痒み、ただれ、抜け毛が増えたりするリスクがあります。頭皮の汚れはお湯でしっかり流せばほとんど落ちるので、やさしく洗うようにしましょうね。
編集部
他に気をつけたほうがいいことはありますか?
竹田先生
体を洗ったときに肌が赤くなる肌が弱い人や、もともと乾燥肌の人は、ボディタオルなどは使わずに泡だけで洗うことをオススメします。強く洗えば洗うほどバリア機能が壊れて、肌がダメージを受けやすくなります。冬は特に乾燥するので、注意が必要です。
編集部
もちろんですが、先生も体をゴシゴシと洗っていないですよね?
竹田先生
そうですね。泡だけで体の汚れを落とすようにしています。そうするようになってから、肌が昔よりもキレイになったと思います。肌荒れで悩んでいて心当たりのある人は、一度習慣を見直してみてください。
編集部まとめ
体や頭皮をゴシゴシ洗うことは、肌のバリア機能を壊してしまいます。それが元で細菌感染のリスクが上昇し、色素沈着の原因になってしまうことも。肌はターンオーバーにより、自然に汚れが剥がれ落ちます。やさしく泡でなでるように洗ってあげてください。
医院情報
所在地 | 〒132-0014 東京都江東区東瑞江1-27-6 小島ビル3F |
アクセス | 都営新宿線「瑞江」駅 徒歩1分 |
診療科目 | 皮膚科/美容皮膚科 |