乳がん検診のマンモグラフィ検査とエコー検査はどう違うの?
女性なら年齢を重ねるにつれ、心配になる乳がんのリスク。きちんと検査をしておきたいと思うものの、マンモグラフィやエコーなど耳にするいくつかの検査方法。一体どの方法を選ぶのが正解? なにが違うの? と思っている人も多いはず。今回はそれぞれの検査の内容について、緑が丘ウイメンズクリニックの松浦菜穂子先生に話を聞いてきました。
監修医師:
松浦 菜穂子(緑が丘ウイメンズクリニック 院長)
国立群馬大学医学部卒業後、慶応大学病院産婦人科に入局。国際医療福祉大学三田病院麻酔科や順和会山王病院麻酔科を経て、現在の緑が丘ウイメンズクリニックの院長となる。日本産婦人科学会認定専門医・日本麻酔科学会認定指導医・母体保護法指定医・検診マンモグラフィ読影認定医などの資格を持つ。
乳腺密度の濃い若いうちはエコーがおすすめ
編集部
マンモグラフィ検査やエコー検査はどのような疑いがあるときに行う検査ですか?
松浦先生
健康診断の一環として行うのはもちろん、触診で胸にしこりがある場合などに、どのような病気なのかを調べるために行います。
編集部
診察に来て、しこりに気が付くのですか?
松浦先生
その場合もありますし、自分で乳房を触ってしこりに気づき、相談に来る方も多くいらっしゃいますよ。
編集部
それぞれどのような検査なのですか?
松浦先生
まずエコーによる超音波検査ですが、上半身裸になりベッドに寝てもらいます。触診をした後に乳房に超音波をあて動かしながら、乳房全体を調べていきます。検査時間は10分ほどで、痛みもなく結果もすぐにわかります。
編集部
痛みがないのはよいですね。それ以外のエコーのメリットを教えてください
松浦先生
他には被ばくの心配がないこと、20代や30代の乳腺密度の濃い人でも影響を受けずにしっかりとしこりの有無がわかることです。
編集部
30代までは乳腺密度が濃いのですか?
松浦先生
そうですね。基本的に若いうちは乳腺密度が濃いのが特徴です。乳腺密度が濃いとマンモグラフィでは病変を見つけるのが難しいのですが、超音波検査は乳腺の濃さに関係なく乳房の状態を調べることができるのです。小さなしこりも見つけることができ易く、しこりの有無を内部構造までしっかりと調べることができます。
編集部
ではエコーのデメリットはなんですか?
松浦先生
カルシウムの小さなかたまりである石灰化を見つけるのが不得意です。石灰化=乳がんではありませんが、乳がんになるとあらわれることがあるため、乳がんの初期サインとなります。
初期の乳がん発見が得意なマンモグラフィ
編集部
マンモグラフィはどのように行う検査ですか?
松浦先生
こちらも上半身裸になってもらったら、レントゲン室に入室してもらいます。機械に胸をあて、専用の装置で圧迫して平らにしていきます。そこまで強い痛みはないですが、エコーに比べると痛みのある検査です。こちらも所要時間は10分ほどで、結果はすぐにわかります。
編集部
マンモグラフィのメリットはなんですか?
松浦先生
エコーが不得意としている、石灰化を見つけるのが得意なことです。先ほども述べたように、石灰化は乳がんになるとあらわれることが多いため、初期の乳がんの発見には非常に優れています。またレントゲンとして記録を残すことができるので、経過を観察するのに適しています。
編集部
マンモグラフィのデメリットはなんですか?
松浦先生
エコーより痛みがあること、腫瘤の内部構造までわかりづらいこと、30代までの乳腺密度が濃い人はしこりが映らない可能性があることです。40歳を超えると乳房の脂肪が増えてきて乳腺密度が低くなるため、マンモグラフィがおすすめです。また検査の頻度が高くなければ体への影響はほとんどありませんが、放射線による被ばくがあることです。
編集部
両方の検査を行うこともあるのですか?
松浦先生
疑わしいことがある場合は、併用すると見落としがなくて安心だと思います。乳房にしこりがあるといった場合は、乳がんのサインかもしれないので、先生と相談して両方検査を行ってもいいかもしれないですね。
編集部まとめ
乳腺密度の濃い30代まではエコーによる超音波検査、40代以降はマンモグラフィ検査がおすすめ。
エコー検査
・乳腺密度の濃い人でも、しこりの有無がわかる
・痛みが少ない
マンモグラフィ検査
・初期乳がんのサインの石灰化を見つけるのが得意
・記録が残るため経過観察に適している
というそれぞれのメリットがあります。
年齢や症状に応じた検査方法を、先生と相談しながら決めて受けましょう。
医院情報
所在地 | 〒276-0049 千葉県八千代緑が丘2-2-10 秋葉緑が丘ビル301 |
アクセス | 東葉高速線「八千代緑が丘駅」から徒歩3分 |
診療科目 | 婦人科 |