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【漫画付き】冬の「ヒートショック」を予防する方法はありますか?

 更新日:2023/03/27
【漫画付き】冬の「ヒートショック」を予防する方法はありますか?

寒い時期になると注目されるキーワードが、死亡事故につながることもあるという「ヒートショック」だ。何が原因で、どのような症状が起き、どうすれば防げるのだろう。そこで、「厚木胃腸科医院」の寒河江先生に、詳しい解説をお願いした。誰にでも起こりえる身近な事故を、正しい知識で防いでいこう。

寒河江 三太郎

監修医師
寒河江 三太郎(厚木胃腸科医院 院長)

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北里大学医学部卒業後、国際親善総合病院での研修を経て慶應義塾大学一般・消化器外科教室に入室。その後、稲城市立病院、平塚市民病院、慶應義塾大学病院で消化器疾患を中心に幅広くキャリアを積み、2015年に父が院長を務める「厚木胃腸科医院」を継承。地域のかかりつけとして一般外来をおこないながら、「厚木から胃や腸のがん患者をゼロにしたい」という思いのもと、専門分野である内視鏡による胃がんや大腸がんの早期発見・早期治療に尽力している。日本消化器内視鏡学会専門医、日本外科学会専門医、日本医師会認定産業医、日本禁煙学会認定指導医。

急激な温度の変化は、暑さと寒さの双方で起こる

急激な温度の変化は、暑さと寒さの双方で起こる

編集部編集部

昨今で話題のヒートショックとは何なのでしょう?

寒河江 三太郎寒河江先生

急激な温度変化がもたらす身体への悪影響のことです。温度が急に上下すると、それに伴って血圧も上下し、意識消失や不整脈などの症状を引き起こすリスクが高まります。入浴時に発生しやすく、溺死につながるケースが多いようです。場合によっては、心筋梗塞脳梗塞を発症し、そのまま死に至る恐れもあります。ある公的機関の調査によると、2011年は交通事故による死亡者数の約4倍、1万7000人がヒートショックにより亡くなったとされています。

編集部編集部

「ヒート」というからには、熱いお湯に入った瞬間が問題なのですよね?

寒河江 三太郎寒河江先生

もちろんそうですが、逆のケースでも起こりえます。つまり、温かいリビングルームから寒いトイレなどへ移動した場合などです。浴室は溺死に直結しているため注目されやすいものの、実はさまざまな場所にリスクが隠れています。

編集部編集部

ヒートショックをどのように防げばいいのですか?

寒河江 三太郎寒河江先生

家の中の温度差をなるべくなくすことですね。冬であれば、脱衣室やトイレに専用の暖房器具を置いておくといいでしょう。ただし、タオルなどへの延焼には十分気をつけ、タイマーや転倒事故防止機能の付いたものを選んでみてはいかがでしょうか。

意外と知られていない、ヒートショックの実態

意外と知られていない、ヒートショックの実態

編集部編集部

ヒートショックが死亡につながることもあるのですか?

寒河江 三太郎寒河江先生

年間約5000人が入浴関連の事故で死亡しているようです。やはり、入浴時のヒートショックに最も注意すべきでしょう。バスタブの中で発症すると、そのまま意識を失ったり、身動きが取れなくなったりします。

編集部編集部

あまり、熱いお風呂に入らないほうが良さそうですね?

寒河江 三太郎寒河江先生

動脈疾患を抱えている方は、ぜひ、そうしてください。健常で、どうしても熱いお風呂がお好きな方は、事前のかけ湯といった一工夫をしてみましょう。問題なのは「急激」な変化ですから、体を徐々に慣らすのが効果的です。

編集部編集部

浴室のほか、「ヒートショック」が考えられる場面は?

寒河江 三太郎寒河江先生

寒い季節に宅配便を玄関先で受け取るときなど、さまざまに考えられますよね。夏でも、空調の効いた涼しい室内と暑い屋外の往復には注意しましょう。「急な温度変化は体に良くない」という点に着目してください。

工夫一つで防げる、家庭内での事故

工夫一つで防げる、家庭内での事故

編集部編集部

まとめとして、予防法をお願いします

寒河江 三太郎寒河江先生

・冬場に寒くなる部屋は、暖房器具などを利用して暖める
・高血圧や動脈硬化を指摘されている方は、お風呂の温度をぬるめに設定する。そして、入浴前に家族へ一言かける
・温度差の大きい場所を出入りするときは、衣服などで調節する
そんなところでしょうか。

編集部編集部

温度差以外で、気をつけるべきポイントがあれば?

寒河江 三太郎寒河江先生

水分を小まめに摂取するといいでしょう。血液がサラサラになって、血管の詰まるリスクを低減できます。また、アルコールには血管を広げる働きがありますので、飲酒後の入浴は控えてください。より温度変化による影響を受けやすくなります。

編集部編集部

ほか、何かアドバイスがございましたら?

寒河江 三太郎寒河江先生

「ヒートショック」というと温度に目が向いてしまうものの、実は、「血圧の変化」が問題なのです。したがって、トイレでいきむような動作も、心筋梗塞や脳出血などを起こしかねません。体と血管に優しい生活を心がけてください。

編集部まとめ

ヒートショックは、熱さだけでなく、寒さによっても引き起こされるのですね。「お風呂」という特定の場所だけに注意するのではなく、「温度の変化」そのものを意識してみましょう。冬なら空調のない物置や倉庫、夏なら日中に放置していた車内など、気をつけるべき場所は少なくありません。着物を1枚はおっていったり、風を通してから車に乗ったり、できることは何かしらあるはずです。

医院情報

厚木胃腸科医院

厚木胃腸科医院
所在地 〒243-0814 神奈川県厚木市妻田南 1-16-36
アクセス 本厚木駅北口1番乗り場から約7分「木売場(きうりば)」下車すぐ
診療科目 内科・消化器科・胃腸科・歯科

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