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冬の介護で起こりやすい「ヒートショック」の仕組みや対策について教えて!

 更新日:2023/03/27

冬になると「ヒートショック」という言葉はよく耳にしますが、いったい何に気を付ければいいのでしょうか? 今回はヒートショックの具体的な対策方法を、「介護福祉士」の赤星さんに解説していただきました。

赤星 薫

監修
赤星 薫(介護福祉士)

プロフィールをもっと見る

植物や農業について高校・大学で学び、高齢者向けに園芸療法を実践したいと考え、介護現場へ就職。7年半の勤務後、2016年に園芸療法の普及をすべく、出張型のフラワーアレンジメント・園芸教室を行う「ハッピースマイル」を創業し、活動の幅を広める。介護福祉士・高校農業科目教員免許・フラワー装飾技能士・メディカルアロマで行うタッチケアなどの資格や経験も活かして、植物のチカラを使った心身のケア方法を伝えている。

ヒートショックとは?

ヒートショックとは?

編集部編集部

そもそも、ヒートショックとは何ですか?

赤星 薫赤星さん

ヒートショックとは、室温や体温の急激な変化によって、血圧が急激に変化したり、脈拍が変動したりする現象のことです。さらに、その変化や変動の影響によって起こる様々な症状のことをいいます。

編集部編集部

どのような時に起こりやすいのでしょうか?

赤星 薫赤星さん

ヒートショックは主に室内の温度差が原因で起こります。例えば、暖かい部屋から、お風呂やトイレなどの寒い場所に行くと急に体温が下がります。その時の温度差は、真冬では10℃以上になるといわれています。そして、脱衣所で服を脱ぐことで、さらに体温が下がります。急な体温の低下が起こることで、身体は体温を下げまいと血管を縮ませて血圧を上げます。その後、湯船に浸かると体温は上昇し、血管を広げることで血圧を下げます。このような、血圧の急な変動がヒートショックを引き起こす原因となるのです。

編集部編集部

どのような症状が出るのでしょうか?

赤星 薫赤星さん

動悸、顔面蒼白、ふらつき、脱力、めまい、吐き気、意識朦朧、身体に力が入らないといった症状があげられます。また、それが原因で頭や身体を床や壁にぶつけてしまい、衝撃で内出血や骨折といった二次的なけがを負うこともあり危険を伴います。

ヒートショックはどこで起きやすいの?

ヒートショックはどこで起きやすいの?

編集部編集部

どこで起きやすいものなのでしょうか?

赤星 薫赤星さん

特に、お風呂場で起こることが多い傾向にあります。実際、ヒートショックが原因で入浴中に亡くなられる方は、全国で年間約1万7000人とされています。高齢者に限ると、ヒートショックでの死亡者数は、室内における死因の4分の1程度を占めています。

編集部編集部

ヒートショックが起きやすい人、注意が必要な人はいますか?

赤星 薫赤星さん

年齢が65歳以上の人、その中でも特に75歳以上の人は注意が必要です。さらに、不整脈や高血圧、糖尿病を患っている方はさらにリスクが上がります。また、過去に、心臓の病気や脳梗塞などの脳血管疾患の既往歴がある方も注意が必要です。

編集部編集部

ヒートショックになりやすい状況の特徴を教えてください。

赤星 薫赤星さん

まず、家の構造上の問題があります。①浴室、脱衣所、トイレに暖房設備がなく、冬場は冷えている②暖かい居室と浴室やトイレが離れている③北の方角に浴室、脱衣所、トイレがあるなどです。また、「トイレ」も注意が必要です。トイレの際には、肌着・ズボン・スカートを脱ぐことで下半身が急に冷え、それに加えて冷たい便座に座ると、急に体温が下がります。それによってヒートショックを起こすことがあります。

ヒートショックの対策方法は?

ヒートショックの対策方法は?

編集部編集部

手軽にできる室内環境についての対策はありますか?

赤星 薫赤星さん

まず、お風呂やトイレでできることをご紹介します。①お風呂の脱衣所やトイレに、小型の温風機(ファンヒーターなど)をつけて温める②お風呂場の床がタイル製などで冷えている場合は、すのこやマットを敷いて、足元から冷えないようにする③湯船にお湯を貯める際には、蓋を開けておく④トイレの便座を温める機能を使ったり、便座カバーをつけたりする、といった対策が挙げられます。

編集部編集部

入浴方法での対策はありますか?

赤星 薫赤星さん

まず注意していただきたいのが湯船のお湯の温度です。40℃以上の熱めのお湯に、急に胸まで浸かって入ってしまうと、心臓が驚き、負担がかかります。まずは、「40℃未満のぬるめのお湯」に入り、体が慣れた頃、追い焚きなどをして、温度を調整しましょう。身体をしっかり温めたい場合は、一度に長く浸かるのではなく、2〜3回に分けて、休憩を挟みながら浸かることをおすすめします。

編集部編集部

そのほかに気をつけることはありますか?

赤星 薫赤星さん

はい。食事、飲酒直後の入浴は注意が必要です。飲食の直後は、食べ物を燃やそうとして体温が上がります。そのため、少し間を開けてから入浴するようにしましょう。

編集部まとめ

ヒートショックとは、急な温度の変化による体温や血圧の上下が原因で心臓や血管の疾患が起こる危険性の高いものだとわかりました。高齢者だけでなく誰でも起こる可能性もあります。ただし、きちんと対策を行えば避けることができるようです。11~2月までの時期がヒートショックの好発時期とのことなので、しっかりと今回の対策方法を取り入れてみてください。

この記事の監修介護福祉士