黄ニキビの治し方は?ニキビの種類・対処方法・治療に使用される薬について解説します
膿を持っていて、黄色く変色したニキビを黄ニキビと呼びます。黄ニキビがあると非常に目立ちやすく、また痛みが強いことが特徴です。
適切な対処をしないと、ニキビ跡の凹み・あかみ・色素沈着といった後遺症になることもあります。
黄ニキビはニキビの最終形態といわれており、黄ニキビに発展する前の処置が望ましいです。
しかし、適切に治療すればニキビ跡をできるだけ目立たせないように回復させることも可能ですので、諦めずに対応していきましょう。
今回は、黄ニキビの治し方について解説します。
監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
黄ニキビの治し方は?
黄ニキビとは「尋常性ざ瘡」と呼ばれる皮膚疾患の1つで、表面の膿が黄色く見える様子からその名で呼ばれています
ニキビは過剰に分泌されてしまった皮脂が毛穴に詰まることで発生し、白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビ・黄ニキビの順に進行します。
黄ニキビはセルフケアで治すのは難しいため、基本的には皮膚科への受診がおすすめです。
それまでに悪化を抑える方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 洗顔:黄ニキビを治すためには、毎日の洗顔で肌を清潔に保つことが重要です。毛穴を開放し、毛穴に溜まった皮脂を流し出しましょう。黄ニキビの部分は強く触らないようにすることがポイントです。
- 保湿:皮膚の乾燥は肌の免疫機能を低下させてしまうので、洗顔後はしっかり保湿してください。低刺激のスキンケアを使用することがおすすめです。
- 塗り薬:黄ニキビの治療は、基本的には塗り薬で行います。アダパレン外用薬や過酸化ベンゾイルなどを用いて、炎症を止めましょう。
- 抗生物質:黄ニキビの重症度が高い場合は、内服薬として抗生剤を服用することがあります。内服することでアクネ菌による炎症を沈静化可能です。
これらの治療法を試せば、ある程度は黄ニキビの炎症を抑えられるかもしれません。
ただし、黄ニキビ治療は適切な処置ができていないと後遺症につながることがあります。自己判断で放置せず、医療機関を受診しましょう。
ニキビの種類
ニキビには様々なタイプがあり、進行するにつれて大きさや痛みが増していくことが特徴です。
ニキビは放置していると悪化することが多いため、見つけた時点で治療していくようにしましょう。
ここでは、ニキビの種類をご紹介します。
白ニキビ
白ニキビは、肌の突起の中に小さな白い点がある状態のニキビです。
まだ炎症を起こしている状態ではありませんが、皮脂が毛穴の中に詰まっている状態のため、そのまま放置していると徐々に進行します。
白ニキビができてしまう原因は、肌のターンオーバーの乱れや皮脂の過剰分泌などです。
白ニキビができないようにできる日常的なケアとしては、
- お化粧をしたまま寝ない
- 1日1回は洗顔する
- 保湿する
- バランスの良い生活習慣を送る
- ストレスをためない
といった方法が挙げられます。それでも特に生理前には白ニキビができやすくなってしまうので、黄ニキビに何度も発展する時は速やかに医療機関を受診しましょう。
黒ニキビ
黒ニキビは通常のニキビとは異なり、毛穴内に詰まった皮脂と細菌が酸化したり、炎症を引き起こしたりすることで色が変わっていることが特徴です。
このように毛穴内に形成される角栓(黒い点)が、ニキビのもととなります。
黒ニキビは毛穴が詰まっている部位で発生しやすいため、顔・首・背中などの油分が多い部位に出現しやすいです。
ニキビの初期段階ではありますが、放置していると赤ニキビへとつながるので注意しておかなければなりません。
毛穴に溜まった酸化した皮脂は、押し出すことでケアが可能です。ただしそれは、クリニックで行った場合にのみいえることであり、セルフで行うこととは違います。
セルフで行うと皮膚を傷つけ、さらにニキビの炎症をひどくしてしまうのでやめましょう。
赤ニキビ
赤ニキビは、炎症を引き起こした結果、赤く腫れ上がっているニキビのことを指します。皮脂が毛穴に詰まり、細菌が繁殖して炎症を引き起こしている状況です。
一度赤ニキビができるとその周囲で再発しやすいため、可能ならば赤ニキビができる前に治療できていることが望ましいです。
赤ニキビができてしまった時は、基本的には黄ニキビの時と同じように塗り薬で対応します。
ただ、赤ニキビの時でもお肌の凹み・色素沈着といった後遺症につながりやすいため、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
黄ニキビ
黄ニキビは通常のニキビとは異なり、毛穴内に詰まった皮脂と細菌が酸化したり炎症を引き起こしたりすることで、色が黄色に変化します。
黄ニキビの周囲にも炎症を引き起こしてしまうため、ニキビ跡・色素沈着などの後遺症につながりやすいです。
黄ニキビの段階まで来てしまうとセルフケアが、難しくなってきます。ご自身で解決しようとせずに、皮膚科を受診して治療しましょう。
黄ニキビの対処方法は?
黄ニキビは、皮脂の増加によって引き起こされる炎症です。毛穴の中に膿が溜まっている状態なので、潰して出したくなりますがやめましょう。
黄ニキビを潰してしまうと、その傷跡から雑菌が入り、さらに痛みがましたり悪化したりしてしまう可能性があります。
膿が出てきたり、潰してしまったりした時は、綺麗な水で洗い流してティッシュで拭き取ってください。
その後はあまり患部に触れないように気をつけ、タオルなどでゴシゴシすることも避けるようにしましょう。
すぐにできる対処法としては、市販薬のステロイドがおすすめです。ただ注意しておきたいのが、ステロイドの継続使用は免疫力の低下につながるという点です。
ウイルスや細菌が侵入した際にさらに悪化した炎症が起きてしまう可能性があるため、一時的な応急処置として扱うようにしましょう。
黄ニキビは、皮膚科を受診することが最もおすすめです。
黄ニキビの治療に使用される薬は?
黄ニキビの治療には、様々な薬剤が使用されます。それらの中でもよく使用されるものとして、抗生物質とステロイド配合の塗り薬をご紹介します。
抗生物質
抗生物質は、黄ニキビの治療によく使用されるものです。
黄ニキビは膿んでしまうほどに重症化している状態であるため、強めの抗生物質の内服薬を使用することがあります。
一般的には、エリスロマイシン・テトラサイクリン・ミノサイクリンなどが使用されることが多いです。
ただ副作用もあるので、医師の指示に従って使用し、適切な量を服用することが重要です。
ステロイド配合の塗り薬
ステロイド配合の塗り薬も、黄ニキビの治療によく使用されます。ステロイドには炎症を抑制する作用があり、黄ニキビの炎症を抑える効果が期待できます。
ステロイド配合の塗り薬は、ベンゾイルステロイド(ベンゾイル酸エステル系ステロイド)・グルカンステロイド(グルカン酸エステル系ステロイド)などが一般的です。
ステロイドの塗り薬は市販で売っているため、すぐに皮膚科を受診できない時に応急処置として活用してください。
しかし、ステロイドの塗り薬は継続使用によって免疫力が低下する恐れがあります。
ステロイドを塗ったからといって、皮膚科を受診するのをやめることは避けた方が賢明です。
黄ニキビにたまった膿はどうすればいい?
黄ニキビにたまった膿は、触らないようにしましょう。触ると逆に炎症を悪化させてしまいます。
ましてや、黄ニキビを潰して膿を出すのは言語道断です。傷口を広げ、さらに悪化させる原因にもなりますのでやめましょう。
しかし、触らずに放置していても膿が出てきてしまうことがあります。
そのような時は患部を水で洗い流し、ティッシュで優しく拭き取ってください。
タオルだと付着した雑菌が入り込んでしまう可能性があるため、可能ならばティッシュオフが望ましいです。
その後はなるべく触らないようにして、安静にさせましょう。
黄ニキビを予防する方法は?
黄ニキビは、一度できてしまうと治療が難しいものです。そのため、そもそも黄ニキビができないような肌環境を整えておくことがポイントとなります。
ここでは、黄ニキビを予防する方法を4つご紹介します。
ストレスを溜めない
ストレスは、黄ニキビを予防する上で重要な要素の1つです。
ストレスは身体や心に影響を与え、皮脂の分泌増加や免疫機能の低下を引き起こし、ニキビができやすい環境を整えてしまいます。
ストレスを溜めないためには、以下のようなことが有効です。
- 適度な運動: 運動はストレスを軽減し、免疫力を高める効果があります。
- 休養: 十分な睡眠をとることで、ストレスを軽減できます。ストレスを感じた時は特に、いつもより良質な睡眠を取りましょう。
- リラックスする:深呼吸や瞑想など、心身がリラックスできる方法を試してみてください。気持ちがリラックスするだけで自律神経が整います。
- 目的を持ち、計画を立てる: 目的を持つことで、ストレスを感じにくくなります。また、計画を立てることで目標に向かって進めるようになります。
- やりたいことをする: 趣味や興味など、やりたいことをやってストレスを発散しましょう。体を動かすことがおすすめです。
皆それぞれにとって、ストレスを軽減できる方法・発散できる方法は異なります。
これを機に、ご自身にとってのストレスとの向き合い方を考えてみると良いでしょう。
暴飲暴食を避ける
暴飲暴食は身体に不健康な影響を与え、消化不良を引き起こすことで皮脂の分泌を乱してニキビが発生しやすくなります。
暴飲暴食とまではいかなかったとしても、糖質や脂質の多い食事ばかりするのも良くありません。バランスの良い食事と水分を十分に摂ることが非常に大切です。
綺麗なお肌を保つためには、ビタミン類を摂ることを意識しましょう。
便秘の場合は食物繊維を意識して摂るなど、体調に合わせて食生活を見直すことが求められます。
メイク道具を清潔に保つ
メイク道具に限った話ではありませんが、肌に触れるものは全て清潔に保つことが望ましいです。
特にメイク道具は肌に触れる回数が多いため、特別に意識する必要があります。何年も洗っていないブラシやスポンジなどでメイクをしていませんか?
ブラシやスポンジなどの使用後は、専用の洗剤で洗浄して乾かすようにしましょう。
ファンデーションやアイライナーなどの液体タイプのメイクアイテムは、使用後は必ず蓋を閉めて保存します。
メイク道具は定期的に交換することがおすすめです。特にスポンジやブラシは使用頻度が高いため、1か月に1回は交換することをおすすめします。
メイクをする前には、必ずニキビになりやすい部分の手を洗って、汚れを取り除きましょう。
睡眠不足に気を付ける
黄ニキビの予防には、睡眠不足に注意することが重要です。睡眠不足はストレスや不健康な生活習慣の原因にもなり、肌のターンオーバーを遅らせます。
肌の免疫機能を下げることにもつながるため、十分な睡眠を取るように意識しましょう。
単に寝る時間が少ないのであれば、最低でも7時間は寝る時間を確保できるように調整してください。眠れないのであれば、環境改善が必要です。
黄ニキビの治療方法を知りたいなら
黄ニキビは、ご自身で治療することは難しいものです。一度できてしまったら周辺で再発することもあり、適切な対応が求められます。
応急処置としてステロイド剤を塗布しても良いですが、その後はすぐに医療機関を受診するようにしましょう。
黄ニキビまで症状が進行する前に、白ニキビの段階から予防することが大切です。
黄ニキビは、1つの原因によって起きるものではなく、様々な原因が絡み合うことで起きます。その原因に合った対処ができるのは、やはり専門医しかいません。
セルフで間違ったケアをしてしまうことを避けるためにも、速やかに医療機関を受診してください。
編集部まとめ
膿を持った黄ニキビは、大きくなりやすく、非常に痛みを伴います。気になって触ってしまいがちですが、悪化してしまう恐れがあるため控えましょう。
黄ニキビのケアは難しく、セルフケアでは治らないことがほとんどです。そればかりか跡が残ってしまったり、シミになってしまったりすることもあり得ます。
後遺症が残らないように綺麗な肌に直すためには、医療機関の受診が必須です。お一人で悩まずに医師に相談してください。
黄ニキビは、そもそも黄ニキビまで症状を進行させないことが大切です。白ニキビ・黒ニキビの段階から予防に努めましょう。
具体的には、
- お化粧をしたまま寝ない
- 1日1回は洗顔する
- 保湿する
- バランスの良い生活習慣を送る
- ストレスをためない
これら5つのことを心がけることが有効です。
黄ニキビに特徴的な膿は、潰さないようにしてください。潰してしまうとそこが傷口となり、さらに炎症を悪化させてしまいます。
もしも膿が自然と出てきてしまったのであれば、綺麗な水で洗い流してティッシュオフするようにしましょう。
黄ニキビができている間は、特に肌に触れる物の衛生に配慮する必要があります。
参考文献