性病検査はどこで受けられる?近くの検査・相談施設を探す方法
性病は、性交によって唾液や体液などの分泌物、血液を介して感染する感染症のひとつです。目で見てわかるもの、自覚症状がないまま進行するもの、悪化すると生命に関わるものまで、その種類はさまざま。性病が疑われる場合はできるだけ早く検査を行い、進行やパートナーへの感染を防ぐことが大切です。性病の検査の方法はたくさんありますので、近くの施設や希望の方法を選ぶことができます。自分やパートナーを守るためにも、少しでも違和感がある場合は、早めに性病検査を受けましょう。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
主な性病の種類
性病にはさまざまな種類があり、それぞれ症状や特徴が異なります。自覚症状がない性病も少なくないため、自分が感染していることに気付かないままパートナーにうつしたり、症状を進行させてしまったりすることもあります。主な性病の種類やその症状をご紹介しますので、心あたりがある方は一度検査を受けましょう。
クラミジア
クラミジアは日本において感染者が少なくない性病だと言われています。細菌感染による性感染症で、感染後1~3週間で症状が出ることが一般的です。
男性の初期症状としては、排尿時の痛みや尿道のかゆみ、尿道からの膿、分泌液が出るなど。女性の場合は、おりものの増加、下腹部の痛み、不正出血といった症状が出ますが、感染していても無症状の場合が少なくないのが特徴です。
淋病(淋菌)
淋病は淋菌による性感染症です。初期症状は感染後2~7日で現れることが一般的。淋病は感染しやすいため、クラミジアに次いで感染者の少なくない性病です。
症状としては、男性では尿道からの膿性分泌物、排尿時の痛みが現れます。女性の場合は無症状の場合が少なくない病気ですが、おりものの増加や不正出血、排尿時の痛みが見られることがあります。
咽頭クラミジア
咽頭クラミジアは、クラミジアという細菌が咽頭に感染するもの。特にオーラルセックスを介して感染することが少なくない性病です。感染しても無症状であることが少なくないため、感染に気付かずに生活している人も少なくありません。症状が出る場合は、咽頭の痛み、発熱、扁桃腺の腫れ、咳が現れることなどがあります。
梅毒
梅毒は、感染初期の症状として感染後2~3週間後に感染部位に硬くて円形の潰瘍ができることが特徴です。症状は進行段階によって4ステージに分けられます。初期では潰瘍やリンパ節の腫れが見られますが、進行していくと発疹や全身症状が現れ、数年から数十年かけて心臓や血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、死に至ることもある病気です。
ヘルペス
性器ヘルペスは、性器付近にかゆみや痛みを伴う赤み、小さな水ぶくれ、水ぶくれが破れて潰瘍ができるのが初期症状です。初期症状は感染後3~7日程で出現することがあり、これらの症状のほかにリンパ節の腫れや発熱、全身倦怠感が見られることもあります。治療をすれば1週間程度で症状はよくなりますが、再発を繰り返すこともあります。
カンジダ
性器カンジダ症とは、常在菌のカンジダ菌が性器に感染し炎症を生じる病気です。女性の膣に炎症が生じるため膣カンジダ症とも呼ばれ、男性の性器にも炎症が生じることもあります。症状としては、粘度の高い白いおりもの、外陰部のかゆみや赤みがあり、性交痛などが起きることも。カンジダは性行為によって感染することもありますが、風邪や疲労、ストレスによる免疫機能の低下、生理前後のホルモンの変化が主な原因です。
HPV・尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、HPV(ヒトパピローマウイルス)が原因となる性感染症で、性器や肛門周辺にイボ状の発疹ができるのが特徴です。初期症状は感染後1~6ヵ月程度で現れることがあり、イボのほかにもかさぶたを伴うかゆみや痛み、おりものの増加、性交痛の症状が出ることもあります。治療としては、外科的切除や電気焼灼、凍結療法、レーザー治療に加え薬物療法が採用されます。
HIV・エイズ
HIV感染症とは体内の免疫細胞が壊され免疫力が低下していく病気です。日和見感染症にかかるような全身免疫不全状態になることをエイズと言い、これにより死に至ることもある病気です。
症状の経過は、感染初期、無症候期、エイズ発症期と移り、無症候期は数年から10年以上続くケースもあります。エイズ発症前に治療を行うことで、健常な人と変わらない生活を送ることができますので、早期発見・早期治療が重要です。
性病検査を受けるべきタイミング
性病は気になるけれど、いつ性病検査をすればよいのか悩んでいる人や、性病検査を受けるべきなのかわからないという人も少なくないのでしょうか。性病検査を受けるべきタイミングについて解説します。
自分に性病の症状が現れたとき
性器にかゆみや痛みがある場合、性器分泌物の様子がいつもと違う場合、性器にできものができたときなどは、性病への感染が疑われます。自分の身体にこのような違和感がある場合など、性病が疑われる症状が見られた場合には、一度性病検査を受けることをおすすめします。
パートナーに性病の症状が現れたとき
パートナーに性病の症状が現れたときは、自分に症状が出ていなくても性病検査を受けましょう。性病は自覚症状がないことも少なくないため、知らないうちに感染しているケースもあります。相手と一緒に受けることで問題解決にもつながりますので、ぜひおふたりで性病検査を受けてください。
不特定多数の人と性行為をしたとき
不特定多数の人と性行為を行えば、さまざまな病原体をもらう機会が増加し、性病感染リスクは上がります。不特定の人と性行為をした場合には、相手や自分に自覚症状がなくても感染が起きている可能性があります。心あたりがある場合には、一度性病検査を受けるとよいでしょう。
性病検査を受けられる診療科
性病検査は、病院の性感染症内科のほか、泌尿器科や婦人科などでも検査が可能です。保険適用されるかどうかと合わせて、性病検査を受けられる診療科をご紹介します。
性感染症内科
性感染症内科では、すべての性病の検査や治療ができる診療科です。クラミジアや淋病などの性病はもちろん、トリコモナスやマイコプラズマ、一般細菌の検査もできますので、さまざまな種類の性病検査をセットで行うことも可能です。なお、性感染症内科は、自由診療の病院やクリニックが増加しています。
泌尿器科・皮膚科・耳鼻咽喉科・婦人科・メンズクリニック
男性の性器に症状がある場合は泌尿器科、女性であれば婦人科など、症状が出ている部位に対応した診療科で性病検査を受けることができます。性感染症に特化していない病院の場合は検査や治療が受けられないこともありますので、事前に性病検査が可能かどうか調べたうえで受診しましょう。なお、医師による診察の結果、性病の症状があると判断された場合は、保険診療が適応されます。
医療機関以外で性病検査を受ける方法
性病検査は医療機関以外にも、保健所や性病検査キットを利用することができます。それぞれの検査のメリットとデメリットをご紹介します。
保健所での性病検査
保健所でも性病検査が可能です。HIVや梅毒をはじめ、さまざまな性病の検査をすることができます。
・保健所で性病検査を受けるメリット
保健所では検査を受けられることが大きなメリットです。医療機関での検査には費用がかかるので、費用を気にせず検査をしたい場合には保健所での検査がおすすめです。ただし受けられる検査と受けられない検査があります。検査は匿名で受けられるので、周りの人に知られたくない場合にもよいでしょう。
・保健所で性病検査を受けるデメリット
保健所の性病検査は、HIV、梅毒、淋菌、クラミジアが基本であり、その他の性病は検査できない場合が少なくないようです。また、検査日時や定員が定められているので、希望日に検査を受けられない可能性もあります。なお、もし検査で陽性だったとしても、保健所では治療はできません。治療するにはあらためて医療機関を受診する必要があります。
性病検査キットの利用
性病検査キットとは、尿や血液などの検体を採取して検査を行うもの。自宅に郵送されたキットを使って採取し、送り返すことで性病検査ができます。
・性病検査キットを利用するメリット
性病検査キットは自宅に郵送されるため、誰にも知られずに検査ができるのがメリットです。医療機関に行く時間がない人や人に知られたくない場合にはおすすめの検査方法です。検査結果がわかる時間も短く、翌日から数日程度で結果がわかるのも特徴。インターネットで結果を知ることもできます。
・性病検査キットを利用するデメリット
性病検査キットでは検査をする項目を自分で選ぶことができる反面、検査項目に含まれていない性病を発見することはできません。また、検査結果を知るだけのツールであるため、陽性が出た場合には、医療機関を受診する必要があります。
近くの性病検査・相談所を調べられるWebサイト
性病検査が受けられる施設や相談所が近くにあるか、Webサイトを利用して探すのもひとつの手です。特にHIV検査を行いたい人におすすめの情報サイトをご紹介します。
HIV検査相談マップ
全国にあるHIVや性感染症の検査や相談ができる施設を検索できるサイトです。都道府県、現在地、キーワードから、近くの検査・相談施設が見つかります。施設の種別以外にも、検査項目、土日対応、費用など条件を設定して検索できるので、希望に合った施設が見つけやすいでしょう。
東京都HIV検査情報Web
東京都にあるHIV検査や相談ができる施設を検索できるサイトです。区や市町村から施設を検索でき、実施曜日、検査形式、予約有無といった条件で絞ることも可能です。HIVに関する関連情報も掲載されているので、HIVや検査についてわかりやすく学ぶことができます。
まとめ
性病は自覚症状がないことも少なくないため、自分でも気が付かないうちにパートナーに感染させたり、症状が進行してしまったりするリスクがあります。性病には早期発見と早期治療が大切です。気になる症状がある場合、パートナーの感染が疑われる場合、性病に感染するリスクの高い行為をした場合には、一度性病検査を受けましょう。検査方法は医療機関のほか、検査できる保健所や自宅で簡単に調べられる検査キットがあります。自分に合った検査方法を選びましょう。