クラミジアの検査はいつから受けられる?検査キットや治療方法まで解説
性感染症の中でも感染率が高いと言われている「クラミジア」ですが、いつから検査を受けられるか、どのタイミングで検査を受けるべきか皆さんは知っていますか?「クラミジアの検査をしたいがいつ受ければ良いのだろう」「どのような検査方法があるの?」とわからないことが多くて検査に踏み切れていない方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、クラミジアの特徴を紹介したうえで、おすすめの検査時期や検査方法、治療方法などについて解説していきます。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
クラミジアについて
まず、クラミジアの基礎知識として、原因や種類、感染経路などについて解説していきます。
クラミジアとは
クラミジアは正確には「性器クラミジア感染症」と言い、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)という病原菌に感染することで発症する疾患です。淋菌、性器ヘルペス、梅毒、HIVといったほかの性感染症よりも感染者数が多く、症状がほとんど現れないのが特徴です。
クラミジアの感染症の種類
クラミジアがどこに感染するかによって、疾患の名称や引き起こす症状などは異なります。例えば男性の場合、尿道に感染して「クラミジア尿道炎」を発症するケースがあります。この疾患は、排尿時に違和感や痛みが生じたり、性器から透明または濁った分泌物が出たりします。女性の場合は、子宮頸管に菌が感染して「クラミジア子宮頸管炎」を引き起こします。性交時の痛みや腟から黄色い粘液が出ることがありますが、気づかないケースがほとんどです。さらに、喉に感染する「咽頭クラミジア」や肛門に感染する「肛門クラミジア」といった種類が存在します。
クラミジアの感染経路
クラミジアは性感染症で、その名の通り性行為の際に感染します。感染者の精液や腟分泌物が粘膜に触れることで感染するため、温泉やプール、家族間のタオルの共有といった間接的な接触によって感染することはありません。近年では、フェラチオやクンニリングスといったオーラルセックスを行うことが一般的になってきるため、喉への感染も広がっています。また、感染者の女性が治療を受けずに出産することで、乳児に感染してしまうケースもあります。
日本のクラミジアの患者数
厚生労働省のデータによると、2017年のクラミジアの患者数は2万4825人でした。しかしこれは988院の定点医療機関で調査した場合の数値であり、全国には約18万の医療機関がありますので、実際の患者数は20倍の50万人ほどと考えて良いでしょう。また、クラミジアは症状が現れにくく、感染していても気づいていない方が多いことから、感染者数はこの数値よりもさらに多いことが予測されます。
クラミジアの検査はいつから受けるべきか
続いて、クラミジアの検査についてご紹介していきます。検査を受けようか迷っている方はぜひ参考にしてください。
クラミジアの検査の種類
クラミジアの検査には主に三つの種類があります。一つは、PCR検査などの核酸増幅検査です。この検査では、クラミジアの核酸(DNA)が体内に存在しているかどうかを調べ、リアルタイムで感染の有無を確認します。精度が良くクラミジアを見逃すことが少ない方法です。二つ目は抗原検査です。こちらは、クラミジアを構成しているタンパク質の有無を調べるため、核酸増幅検査と同様、今感染しているかどうかをはっきりさせることができます。核酸増幅法よりも少し精度は劣りますが、短時間で結果がわかるのが大きなメリットです。三つ目は抗体検査です。クラミジアに対する抗体が血液中にあるかどうかを調べる検査のため、過去の感染によって陽性という結果が出ることもあり、今感染しているかどうかを判断するのには向いていません。また、血液を採取して行う検査のため、感染部位を特定することはできません。
男女別の検査の方法の違い
男女の性器の形が違うように、感染部位も異なります。そのため、調べる検体も男女によって異なります。例えば、男性に対しては尿検査を行います。健康診断などでは「出始めの尿は捨てるように」といった指示があるかと思いますが、クラミジアなどの菌は初尿に含まれていることが多いため出始めの尿を採取する必要があります。一方で女性の場合は、おりものなどの腟分泌液を採取したり、腟の内側を綿棒で拭ったりして検査を行います。基本的には医師や看護師が検体採取を行いますが、医療機関によっては自分で採取できることもあるため、「恥ずかしい」という方は事前に確認しておくことをおすすめします。なお、喉や肛門の感染の有無を調べる場合は男女によって違いはありません。
クラミジアの検査はいつから受けていいのか
男性の尿や女性の腟分泌液などを用いてクラミジアそのものの有無を確認する場合は、「避妊具無しで性行為をした」「オーラルセックスをした」という感染機会から24時間以上経過した場合に受けることができます。症状が出ていなくてもパートナーに感染させてしまったり体内感染が広がったりしてしまうリスクがあるため、陽性であれば早めに治療を開始することが大切です。また、抗体検査は感染機会の4週間後から受けられます。
クラミジアの検査にかかる時間
核酸増幅検査は専門の検査機関に委託するケースがほとんどで、結果がわかるまでに2~7日ほどの時間を要します。一方で、抗原検査など10分ほどで結果がわかるものもあれば、30分ほどで結果が出る即日簡易検査などがあります。
クラミジアの検査を受ける場所と費用
クラミジアの検査は、保健所やクリニックなどで受けることができます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、状況や事情に合わせて選ぶようにしましょう。
保健所での検査とメリット・デメリット
まず、保健所で検査を受けるメリットとしては、性病にかかったかもしれないという場合に無料で受けることができる点が挙げられます。また、自分の名前を申告する必要がないため、検査を受けたことを誰かに知られるという心配もありません。一方で、クラミジア・淋菌・梅毒・HIVの4種類の性感染症にしか対応していない、検査日時が限られておりスケジュールを組みにくいというデメリットがあります。さらに、定員が設けられていて予約が難しいというケースもあります。
クリニックでの検査とメリット・デメリット
泌尿器科や婦人科など、医療機関で検査を受けるメリットとしては、さまざまな性感染症の検査を受けることができるという点です。また、保健所で治療を受けることはできませんが、医療機関であれば陽性という結果が出たらすぐにスケジュールをたてて治療に取り組むことができます。さらに、性感染症に特化した医療機関であれば、性器・肛門・喉をまとめて調べることが可能となります。一方でデメリットとしては、検査費用がかかること、匿名では検査できないことが挙げられます。
そのほかの検査方法
保健所やクリニックでの検査のほかに、専用のキットを用いて行う検査方法があります。ここからは、検査キットの特徴や信頼性、入手方法についてご紹介します。
検査キット
検査キットは、検査を受けたいと考えている方が自宅などで自分で検体を採取し、検査機関や医療機関に送ることでクラミジアの有無を確認できる検査方法です。医療機関などに出向く必要がないため匿名性が最も高く、好きなタイミングで行えるというのがメリットです。また、パソコンやスマートフォンから検査結果を確認できるのも、検査キットの特徴です。
検査キットの信頼性
検査キットの精度は年々上がっており、医療機関で行う検査との精度は大差がないと言われています。ただし、郵送先の機関に、性感染症学会認定士や臨床検査技師といった性感染症に特化した人物がいるかどうかはチェックしておくようにしましょう。これらの情報は公式サイトなどに情報が掲載されているケースが多いです。また、検査キットのデメリットとして、ご自身で検体を採取するため、手技や手順を間違えてしまった場合に正しく判定できないことがあります。キットには取扱説明書が同封されていることがほとんどですが、「正しく進められるか不安」という方は医療機関を受診して検査を受けることをおすすめします。
クラミジアの検査キットの入手方法
クラミジアの検査キットはドラッグストアなどでは購入できません。検査を行っている業者のホームページなどから購入可能です。サイトごとに、クレジットカード・コンビニ支払い・代金引換など支払い方法が異なりますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
クラミジアの治療方法
最後に、クラミジアの治療方法についてご紹介します。
クラミジアの治療方法
治療は主に、抗生物質を含む飲み薬によって行われます。飲み薬には、マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の三つがあります。例えば、マクロライド系は妊娠中の方でも使用できる飲み薬です。悪心や下痢・吐き気といった副作用が出ることがありますが、菌の増殖抑制・殺菌の効果が期待できます。テトラサイクリン系・ニューキノロン系の飲み薬は抗菌作用がありますが、妊娠中の女性は服用することはできません。このように、それぞれ特徴や副作用が異なるため、患者さんの感染部位や症状によって使い分けられています。
クラミジア治療にかかる費用
治療にかかる費用は保険診療か自由診療かによって異なります。医療機関や保健所・キットでの検査結果が陽性であれば保険適用になるケースが多く、その場合の飲み薬代の相場は1週間分で2000円前後です。一方で、自由診療で治療を行っている場合は1万円前後となります。また、クラミジア尿道炎・クラミジア子宮頸管炎・咽頭クラミジアと症状によっても費用は変動します。医療機関によってさまざまな価格設定がされているため、事前に確認することをおすすめします。
まとめ
クラミジアの特徴や検査方法、治療方法、適切な検査時期などについて理解を深めることはできたでしょうか。クラミジアの感染を放置すると、排尿痛や性交痛といった症状が出るだけでなく、感染拡大や不妊につながる危険性がありますので、心当たりのある方は早めに検査を受けることをご検討ください。