訪問診療とは?訪問診療でできることやメリット・デメリット、費用について解説
訪問診療は、通院が困難になり自宅での療養を望む患者さんに対して訪問による診療を行うサービスです。
この記事では、訪問診療の概要や対象者のほか、おもな診療内容や訪問診療のメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
訪問診療について知りたい方や、身近な方が訪問診療の利用を検討している方もぜひ参考にしてください。
監修医師:
浅利 博基(あさり内科クリニック)
大分大学医学部卒業
浜松医科大学附属病院
静岡市立清水病院 内科 神経内科
目次 -INDEX-
訪問診療について
最初に、訪問診療とはどのような医療的サービスで、具体的にどのような患者さんを対象としているのかを解説します。主な診療内容や対象者について紹介しますが、細かい内容や対象者の規定は医療機関ごとに異なる場合があります。
訪問診療とは?
訪問診療は、通院が困難な患者さんを医師または歯科医師が訪問して診察や治療を行う医療サービスです。この診療は、患者さんの病状に応じて定期的に行われるもので、訪問先は自宅だけでなく介護施設や老人ホームの場合もあります。
なお、訪問診療は往診と混同されることもありますが、訪問診療は事前に決めた計画に則って定期的に行うものをいいます。一方の往診とは、患者さんや家族からの求めに応じて医師や看護師が訪問することです。具体的な内容は、健康状態のチェックや病状の評価を目的とした診察に加え、必要に応じた治療や薬の処方などです。
また、患者さんやその家族に対する療養生活のアドバイスも行われます。必要な処置・指導の内容により、医師だけでなく看護師や薬剤師が同行する場合もあります。
訪問診療の対象者
訪問診療の対象となるのは、通院が困難な患者さんです。
通院が困難な理由については法的な細かい規定はなく、加齢・重度の障害などにより通院が難しい方や、頻繁に医療行為が必要になるものの自宅での療養を望んでいる患者さんが対象となることが多いでしょう。
医師が訪問診療を行うためには、患者さん自身の希望に加えて、病状が訪問診療を必要とするものであると医師が判断する必要があります。また、医療機関が訪問診療を行える範囲には法的な決まりがあるため、居住している地域が訪問診療を行っている医療機関の訪問対象であることも重要です。
具体的な疾患
前述のとおり、訪問診療の対象になる条件として具体的な疾患は規定されていません。しかし、体力面や体調・安全面から通院が困難になりやすく、訪問診療が必要になりやすい患者さんの例として、下記が挙げられます。
- 認知症
- 神経疾患
- 悪性腫瘍
- 寝たきり
認知症になると、一人での通院が困難になったり、受診の必要性を理解しにくくなり通院の習慣を保てなかったりする場合があります。また、脳血管疾患の後遺症やパーキンソン病といった神経系の疾患を抱える患者さんは、運動障害が現れることも多く通院が負担になりやすいでしょう。そのため、神経疾患は訪問診療の対象となりやすい疾患といえます。
そのほか、がんが進行すると体力が落ちて通院が難しくなったり、必要に応じて疼痛に対するケアを行ったりする必要があります。このような場面が予測されるケースでは、訪問診療の利用を検討することも一つの選択肢です。
なお、上記以外でも傷病や身体機能の衰えにより寝たきりになった場合訪問診療の対象になる可能性があります。
訪問診療でできること
通院診療とは設備面での差が出やすい訪問診療ですが、診療では具体的にどのようなことができるのでしょうか。ここからは、訪問診療で行われる主な処置や治療について紹介します。
なお、訪問診療のなかでも医療機関ごとに設備の差や診療の特徴があるため、できることが異なる場合もあります。
診察・血圧測定・体温測定
患者さんの健康状態を把握するために、定期的な診察が行われます。訪問診療では、訪問のたびに血圧や体温の測定を行うことが多いでしょう。こうした基本的なデータを定期的に観察することは、病状の変化を早期にとらえるうえで重要です。医師が診察を行い、体調の大きな変化がないか確認していきます。
注射・点滴・投薬などの治療
上記のような測定や診察の結果により、必要に応じて、薬の処方や注射・点滴などの処置を行います。特に慢性的な疾患や感染症の治療のほか、がんによる痛みのコントロールなどにおいてはこのような対応が必要になることが多いでしょう。
採血・検尿などの検査
検査そのものは医療機関や検査機関で行いますが、血液や尿など検体の採取は自宅で受けられます。また、結果が出たら次の往診の際に医師から結果説明があるため、患者さんは自宅に居ながら結果がわかります。
こうした検査により、治療や生活改善の効果を確認したり、病状の変化を早期に発見しやすくなるでしょう。
床ずれの処置
床ずれとは主に寝たきりの患者さんに起こるもので、同じ部位に体重がかかり続けることで血流が滞り、皮膚がただれたり傷ができることを指します。訪問診療では、床ずれの予防に必要な指導を行うとともに、すでにできた褥瘡に対して消毒や軟膏の塗布などを行い状態改善を目指します。
心臓病の管理
慢性的な心疾患を抱える患者さんには、心電図の検査や薬の調整を通じて症状の管理を行います。心臓の負担を減らすための生活改善や適切な管理により、症状の悪化を緩やかにできると考えられます。
尿路カテーテル管理
尿路カテーテルとは、病気や障害により排尿機能に問題が起こった場合に、主に尿が出なくなるのを防ぐ目的で尿路に管を留置することを指します。カテーテルを使用している患者さんには、定期的な交換や清潔な状態を保つための管理が必要です。
訪問診療でこうした管理を行うことは、尿路感染症を防ぐことにつながります。
疼痛のケア
がんが進行した場合など、患者さんが慢性的な痛みを抱えている場合には、痛みを軽減するために薬物療法を中心とした痛みに対するケアを行います。病気を治癒に向かわせるための治療ではありませんが、痛みをコントロールすることで日常生活の質を向上させたり、患者さん自身の心身の辛さを和らげることが疼痛ケアの主な目的です。
在宅酸素や人工呼吸器の管理
在宅酸素療法とは、高度な呼吸器疾患や心疾患の患者さんに対して空気よりも高濃度の酸素を投与する治療方法です。また、人工呼吸器とは呼吸器疾患や筋肉・神経の病気などにより低下した患者さん自身の呼吸機能を助ける機械です。
こうした在宅酸素療法・人工呼吸器の使用を始める際や、使用し始めた後の定期的な診察では、機器のチェックや調整のほか使用方法の指導も行います。
経管栄養の管理(胃瘻や経鼻胃管)
口腔や喉の機能障害や認知機能の問題などにより口から十分な食事を摂取することが困難な患者さんには、胃まで細い管を通して食品や栄養剤を注入する場合があります。これらを胃瘻や経鼻胃管と呼び、安全性高く、かつ清潔に使用するために訪問診療で管理や指導を行います。
訪問診療のメリット・デメリット
訪問診療と通院での診療を比べた場合に、訪問診療にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。ここからは、考えられる主なメリット・デメリットをいくつか紹介します。
訪問診療のメリット
体力が低下している患者さんにとっては、通院は大きな負担になるでしょう。また、身体機能や認知機能の低下により一人での移動が難しい患者さんの通院は、患者さん自身だけでなく支援する家族の負担にもなりかねません。そのため、外出が難しい患者さんが自宅で療養できることは、患者さんと家族の負担軽減や、住み慣れた自宅で療養することは安心感につながるでしょう。
また、医師が患者さんの生活環境を直接見ることで、患者さん一人ひとりの病状や生活状況に合った治療や指導ができる可能性が高まります。
訪問診療のデメリット
医療機関での診療と訪問診療を比較した場合、自宅に訪問して行うという特性から大型の医療機器を用いた処置や検査は難しい点はデメリットとなります。また、容態が急変したときには、訪問診療だけで対処できない場合があります。その際は救急搬送など、状況に応じた対応が必要になるでしょう。
なお、訪問診療を行っている医療機関の数や人口に対する充実度は地域によって異なります。そのため、必要なサービスが十分に整っていない地域では希望する条件で訪問診療を受けられない場合があったり、緊急時の対応が遅れてしまうこともあるでしょう。
クリニックを選ぶ際のポイントと費用
ここまで訪問診療の内容やメリット・デメリットについて解説してきました。では、実際に訪問診療を依頼するクリニックを探す場合には、どのようなポイントをみて選べばよいのでしょうか。また、訪問診療にかかる費用についても解説します。
クリニックの選び方
訪問診療を提供するクリニックを選ぶ際には、まず利用を検討している医療機関の訪問範囲に含まれていること、そして必要とする診療内容を提供している医療機関であることが大切です。また、急な状態の変化に備えて、訪問診療だけでなく往診も行っているかどうか、休日や夜間の往診にも対応できる体制が整っているかなども確認しておきましょう。
なお、訪問診療を受ける場合でも、外来施設を併設しX線やCTなどの検査機器を置いているかどうかも確認するとよいでしょう。こうした設備がある医療機関であれば、自宅ではできない検査が必要になった場合も、普段から診療を行っている医師のもとで検査を受けられます。
訪問診療の費用
訪問診療には、通院での診療と同じく医療保険が適用されます。また、診療内容や患者さんの状態により、介護保険による訪問診療を行える場合もあります。診療内容や使用する薬剤などにもよりますが、患者さんの負担は自己負担割合2割の場合、1回あたり数千円程度が目安です。
なお、医療機関での診療と同じく費用は点数制のため、同じ内容の診療を行った場合は費用に大きな差はありません。ただし、各医療機関が訪問診療を行うために整えている体制などにより、加算が算定され費用に差が出る場合があります。
訪問診療のことならあさり内科クリニックにご相談を
訪問診療の概要や医療機関の選び方などについて解説してきました。最後に、訪問診療だけでなく往診にも対応可能で、X線やCTなどの検査設備がある外来施設も備えた医療機関であるあさり内科クリニックを紹介します。
患者さんの病状や環境に合わせた寄り添った診療
訪問診療を始める前には、訪問の可否や頻度・診療内容を決めていくために、現在の症状やこれまでの経過などを確認する面談を行います。
あさり内科クリニックで訪問診療を希望する場合もこうした面談を受ける必要がありますが、その際には、病気自体のことだけでなく療養や生活に関する希望なども併せてヒアリングを行っているそうです。
こうした内容も踏まえて診療内容を決定していくことで、患者さんの病状や生活環境に合う治療方針を提案したり、患者さんの気持ちや希望に合った診療を受けやすくなるでしょう。
ほかにも、24時間365日いつでも対応可能な電話サポート体制を整えるなど、患者さんとご家族に寄り添った診療を提供しています。
近隣の総合病院とも連携した地域のかかりつけ医
あさり内科クリニックは、院内の検査設備も充実しており、また緊急時の往診にも対応しています。しかし、患者さんの状態や抱えている疾患などによっては、緊急性が高く大きな医療機関での治療が必要と判断される場合もあります。
このような場合にも、あさり内科クリニックでは適切な医療機関へ紹介を行うほか、救急搬送の手配など、近隣の総合病院と連携しています。
総合内科専門医として地域の皆さんの健康を守るため、日常的な病気から専門性の高い病気まで内科疾患全般にわたる幅広い診療を行いながら、地域のかかりつけ医として患者さんをサポートされています。
総合内科や脳神経内科など幅広い診療に対応
あさり内科クリニックの院長である浅利先生は、日本内科学会 総合内科専門医や日本神経学会 脳神経内科専門医、日本認知症学会 認知症専門医などの資格をお持ちで、幅広い分野において専門性の高い診療を提供しています。
内科疾患全般と脳神経疾患の診療に携わってきた浅利先生は、一つの疾患だけでなく身体全体の状態を総合的に診ているそうです。そのため、認知症をはじめとする神経系疾患を抱える患者さんに対しても、専門的な知識と経験に基づいた診療を行われています。
医療を通じた地域社会への貢献のため、患者さんの立場に立って外来診療から訪問診療まで途切れのない医療の提供を目指しているそうです。
訪問診療を行っている医療機関をお探しの方や、内科疾患・神経系疾患について気になっている方は、あさり内科クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
あさり内科クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
JR東海道本線 清水駅より車で10分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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8:30~12:00 | ● | ● | - | ● | ● | ● | - | - |
15:30~18:00 | ● | ● | - | ● | ● | ★ | - | - |
★:15:30~17:00
※19:30~20:30はオンライン診療を実施
※水曜日は静岡市立清水病院で外来のため休診
参考文献