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尖圭コンジローマは発症までどれくらいの期間がかかるの?原因などの基礎知識や関連する病気についても解説

 公開日:2024/05/10
コンジローマ 発症まで

性感染症は、性的接触を介して感染する可能性がある病気の総称で、ウイルス、細菌、原虫などが、性器や口腔などに接触することで感染します。症状が軽かったり、なかったりすることもあり、気がつかない間に感染していることもあります。そんな性感染症の一つに、尖圭コンジローマがあります。
本記事では、性感染症の一つである尖圭コンジローマについてや、尖圭コンジローマは発症までどれくらいの期間がかかるのかについて以下の点を中心にご紹介します!

・尖圭コンジローマの原因と感染経路
・尖圭コンジローマの発症までの期間(潜伏期間)
・尖圭コンジローマの診断

尖圭コンジローマは発症までどれくらいの期間がかかるのかについて理解するためにもご参考いただけると幸いです。ぜひ最後までお読みください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)6型や11型などによって引き起こされるウイルス性の性感染症で、主に生殖器やその周囲に出現します。
時折、皮膚型のHPVによる疣贅が外陰部に見られることもあります。
尖圭コンジローマは、淡紅色から褐色の特徴的な形状の病変を示し、視診によって診断が可能といわれています。
良性の病変であり、自然に治癒することが多いようですが、ウイルスの種類によっては、悪性化するリスクも存在するため、注意深く観察する必要があります。
また、尖圭コンジローマの感染者の大部分は性的に活動的な年齢層に見られますが、稀に親や医療従事者の手指を介して幼児に感染することもあります。
また、出産時に母親から乳児へ感染する可能性もあり、その結果、乳児が喉頭乳頭腫を発症することがあります。

尖圭コンジローマの原因と感染経路

尖圭コンジローマの原因と感染経路
少し前述しましたが、以下で尖圭コンジローマの原因と感染経路についてより詳しく解説します。
まずは尖圭コンジローマの原因についてです。

尖圭コンジローマの原因

繰り返しになりますが、尖圭コンジローマの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスで、尖圭コンジローマには6型と11型のローリスク型が関与しているとされています。
HPVは200種類以上存在し、その中でも40種類以上が性感染症に関連しています。
HPVは皮膚や粘膜に感染し、小さな傷口から侵入して繁殖します。感染したHPVの種類によっては、再感染の可能性もあります。
尖圭コンジローマの原因となるHPVの90%以上は低リスク型で、低リスク型は通常、がんを引き起こすことは少ないといわれています。
しかし、感染したままでいると、イボが大きくなり、数も増えてしまう可能性があるので、早期の診断と適切な治療が重要です。

尖圭コンジローマの感染経路

尖圭コンジローマは、主に性的接触を通じて広がります。
尖圭コンジローマの原因とされるヒトパピローマウイルス(HPV)は、多くの人々が生涯で少なくとも一度は感染するといわれています。
しかし、ほとんどの場合、症状は少なく、自分がウイルスを保有していることに気づかないことが多いようです。
したがって、新たに尖圭コンジローマが発見された場合でも、最近のパートナーからの感染を意味するわけではありません。
尖圭コンジローマの感染は、性行為だけでなく、出産時の母子感染も含めて、さまざまな形で発生します。
これらの事実を理解することで、感染の予防と早期発見につながります。

尖圭コンジローマの発症までの期間(潜伏期間)

尖圭コンジローマの発症までの期間(潜伏期間)
尖圭コンジローマの感染後、症状が現れるまでの期間は約3週間~8ヶ月とされています。
平均的には2〜3ヶ月程度で、半年以上経過した後に症状が現れるケースも存在します。
自覚症状が少なく潜伏期間が長いため、感染源の特定も困難で、自分が感染していることにも気付きにくいとされています。
現在、このウイルスを体内から完全に排除する方法はなく、治療してもウイルスが体内に残ることがあります。
イボを外科的に切除しても、ウイルスは体内に潜伏したままで、治療後も再発のリスクがあります。
特に3カ月以内の再発リスクは25%とされています。放置すると重症化し不妊の原因になることもあるため、異変を感じたらすぐに治療を受けることが重要です。

尖圭コンジローマの症状

尖圭コンジローマの症状
尖圭コンジローマは、自覚症状が少ないとされている性感染症です。
しかし、初期の兆候として、外陰部の腫れや触れたときの違和感、帯下の増加、かゆみ、痛みなどが見られることがあります。
見た目は、表面がザラザラとした角質化した突起のような特徴があり、色は淡紅色から褐色で、時には巨大化することもあり、鶏冠状、乳頭状、またはカリフラワー状と表現されます。
男性では、冠状溝、陰茎の亀頭部、包皮、陰嚢などに、女性では、膣、膣前庭、大小陰唇、子宮口などに好発します。
また、男女ともに、肛門やその周辺部、尿道口にも発症します。子宮頸部や膣に発症した場合、外陰部と同様にいぼ状を呈することもありますが、扁平な見た目を形成することが多いようです。

尖圭コンジローマと関連するがんのリスクが高い病気

尖圭コンジローマと関連するがんのリスクが高い病気
尖圭コンジローマの原因であるHPVは、子宮頸がんの原因でもあり、そのほかにもさまざまな病気の原因になり得ます。
次は、尖圭コンジローマと同様にHPVが原因のがんのリスクが高い病気について、いくつか解説します。

ボーエン様丘疹症

「ボーエン様丘疹症」は、尖圭コンジローマと同じく、ヒトパピローマウイルス(HPV)16型の感染により引き起こされる疾患で、特に免疫が抑制された状態の人、例を挙げるとエイズの患者さんや臓器移植を受けた人に多く見られます。
ボーエン様丘疹症は、外陰部に直径5㎜までの黒褐色の扁平な隆起を伴う小腫瘍が多数発生する特徴があります。
組織学的には、表皮細胞の異型性や異常角化が見られ、表皮内癌であるBowen病の組織像と酷似しているとされています。
しかし、ボーエン様丘疹症は生物学的には良性で、自然に治癒することもあります。
それでも、ボーエン様丘疹症の原因とされるHPV16型は子宮頸癌との関連が指摘されているため、適切な治療が必要とされています。
また、尖圭コンジローマも時折黒色を呈することがあり、尖圭コンジローマとボーエン様丘疹症を区別するためには生検が必要となることがあります。

性器Bowen病

「性器Bowen病」は、外陰部や肛囲に見られる疾患で、特徴的な紅色または褐色の局所的な隆起を伴います。
この病状は、紅色肥厚症とも呼ばれ、高リスク型のヒトパピローマウイルス(HPV)、特にHPV16型が関連しています。診断は生検により行われ、組織学的には表皮内癌とされます。
そのため、治療としては、手術による切除が必要とされています。

子宮頚部のHPV感染症

子宮頚部はHPVの標的臓器で、外陰部の尖圭コンジローマの約40%では子宮頚部にも病変を合併します。
これらの病変は一連の病変で、徐々に悪性度を増し、最終的には癌に至る前癌病変とされます。
その組織形態の異型や細胞の分化異常の程度によって異形成として分類されます。
そして高リスク型のHPVは、子宮頸癌の約90%以上、また、その前癌病変の約95%以上から検出されるといわれています。
しかし、HPVに感染しただけでは子宮頸癌にはならないとされ、ほかのいくつかの要素が組み合わさることで最終的に子宮頸癌に至ると考えられています。

尖圭コンジローマの診断

尖圭コンジローマの診断
尖圭コンジローマの診断は、感染の可能性の有無と特徴的ないぼの視診により行われます。
病巣の範囲を特定するためには、子宮頸部や膣では約3%、外陰部では約5%の酢酸溶液を使用して処理後、コルポスコピーまたは拡大鏡で観察します。こ
れにより、感染部位が白変化し、範囲が明らかになることがあります。
確定診断が必要な場合や、通常の治療にもかかわらず症状が悪化する場合、免疫不全の可能性がある患者さん、または硬結や潰瘍が見られる場合には、HIV検査や生検による組織診断、遺伝子診断などが必要となります。
遺伝子診断法には、Hybrid Capture(HC)法、PCR法、real time PCR法などがあります。
HC法は、HPVの低リスク型群または高リスク型群を一括して検出できますが、型別はできません。
現在、子宮頸癌の診断では、施設基準があるものの、高リスク型HPV遺伝子検査は保険適用されています。
繰り返しになりますが、尖圭コンジローマの原因のHPVの大部分は6型と11型によるもので、これらが悪性に変化することはありませんが、高リスク型のHPVが見つかった場合、進行を注意深く監視することが重要です。

尖圭コンジローマを調べられる検査キット

尖圭コンジローマを調べられる検査キット
尖圭コンジローマを調べられる検査キットは通販サイトなどで市販されており、自宅で手軽に使用でき、匿名で検査を受けられます。
キットの内容は、購入するサイトなどによって違いますが、検査案内書、返信用封筒、PW用紙、子宮頸がん採取キットなどが含まれているとされます。
検査は主に膣分泌物を対象としており、検査キットに従って綿棒で採取します。採取した検体は、キットに含まれる返送用の封筒を使用して返送します。
検査結果は、検体が到着後約1週間程度で確認できる場合が多いようです。
このように、自宅で手軽に尖圭コンジローマを調べられる検査キットは、プライバシーを保護しながら、自身の健康状態を確認するためのツールとして有効とされています。

まとめ

まとめ
ここまで尖圭コンジローマについてや尖圭コンジローマは発症までどれくらいの期間がかかるのかについてお伝えしてきました。
尖圭コンジローマは発症までどれくらいの期間がかかるのかの要点をまとめると以下のとおりです。
・尖圭コンジローマの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の6型と11型といわれており、性的接触が主な感染経路である
・尖圭コンジローマの発症までの期間は、3週間から8ヶ月とされており、平均的には2〜3ヶ月程度で、半年以上経過した後に症状が現れるケースも存在する
・尖圭コンジローマの診断は、感染の可能性の有無と特徴的ないぼの視診により行われ、確定診断が必要な場合などはHIV検査や生検による組織診断、遺伝子診断などが必要となる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師