性病検査キットのおすすめは?信頼性・選び方も紹介
近年、性感染症に悩む人が増えてきています。
性感染症は性病とも呼ばれ、罹患すると痛みや痒みなどを伴うほか、家族や親しい人になかなか打ち明けづらいため1人で悩みを抱えている方も少なくありません。
近年では医療が進歩し、どのような性病にかかっているのかを検査できるキットが簡単に入手できます。
ピンポイントに一種類の病気の検査ができるものや、複数の検査項目を検査できるタイプのものまで登場しており、ご自身の状況によって選ぶことができます。
本稿ではおすすめの検査キットについて詳しく紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
性病検査キットのおすすめは?
そもそも性病とは、性行為によって感染する性器クラミジア感染症・淋菌感染症・HIV感染症・梅毒などの性感染症のことを指します。
パートナーが感染しており知らず知らずのうちに自身にも感染し、そのまま感染が広まってしまうケースなどがあります。
性病検査キットは性病にかかっているかどうかを検査するためのキットです。
同じ感染経路から同時に複数の病原菌に罹患することがあるため、複数項目の検査を受けられる検査キットがおすすめです。
その他、部位に応じて喉のセットや陰部・尿道のセットなど、用途に合わせてさまざまなタイプの検査キットがあります。
性病検査キットの信頼性
医療機関が発達した日本のメーカーの製造した性病検査キットは、基本的に信頼性が高いといえるでしょう。
比較されるものとして院内検査がありますが、基本的に精度の違いに大きな違いはないとされています。
これは院内検査においても検査キットと同じ検査内容のものを使用するケースが少なくないためです。
ただし、院内検査の場合は医師による診断をその場で聞くことができるため、診断時に質疑などを行い知見を広めることができるかもしれません。
この点は対人による検査のメリットといえるでしょう。
対して検査キットによる診断は、プライバシーが保たれやすく、人に知られたくない性病の欠点を補いやすい診断方法といえます。
ただし、検査キットの場合は検査を行うのが自分自身であるため、検査の手順や用法・容量などを間違えた場合は正確な診断ができない可能性もあります。
そういうリスクも踏まえて、匿名性が担保できる検査キットに魅力を感じる場合は検査キットがおすすめでしょう。
性病検査キットで調べられる主な性感染症
性病検査キットで調べられる主な性感染症は、梅毒やクラミジアなど複数あります。
商品にもよるため一概にはいえませんが、複数の病気を検査できる商品もあります。各病気の概要も併せて、詳しくみていきましょう。
梅毒
梅毒は近年特に急増している性病の一つであり、2023年は感染者数が13,000人以上となりました。
特に20代の若齢女性の感染率が高く、都市部である東京始め、大阪などで大流行しています。
梅毒は梅毒トレポネーマという細菌による感染症です。妊婦さんが梅毒に感染すると胎盤を通じて胎児にも感染が広がる恐れがあり、早産や流産、先天性梅毒に罹患することがあるそうです。
元々戦前に世界的に流行していましたが、ペニシリンの普及によって第二次世界大戦後に激減しています。
国内でも罹患者数は減少していましたが、2011年頃より増加傾向が見られ、特に性風俗産業を利用・従事している男女における感染者が全体の4割程度との報告もあります。
感染経路は保菌者との性行為や性行為に類する行為であり、粘膜の接触に伴う感染が少なくありません。
治療薬はペニシリンですが、ペニシリン内服薬や筋肉注射薬を使用します。
ペニシリンは梅毒トレポネーマを死滅させる効果があり、有効な治療方法とされているそうです。
また妊婦さんが使用すれば、胎盤や血管を通じて胎児にも有効成分が届きます。梅毒は性病検査キットによって調べられる性病の一つです。
自分や大切な人の健康を守るため、気になる方は検査キットを使用することをおすすめします。
性器クラミジア感染症
性器クラミジア感染症は主に性器に感染する病気であり、その原因菌はクラミジア・トラコマチスです。
これが性器や直腸・咽に感染することによって発症します。
日本におけるすべての性病のなかで罹患者の少なくない感染症といわれており、厚生労働省が発表した令和元年の性感染症報告書からも、ほかの性感染症と比べて報告数が多いようです。
特に性活動の活発な若年層の罹患が多く、また5人中4人が自覚症状に乏しい病気として知られています。
罹患者のうち、成人は性行為による感染が少なくないですが、母親からの産道感染による新生児の感染も報告されています。
症状として、男性では尿道炎が多く、排尿痛や尿道不快感が挙げられるそうです。淋菌性尿道炎と比較すると潜伏期間が2〜3週間と長いため注意が必要です。
女性の場合は子宮頸管炎などがあるものの、先述したとおり自覚症状に乏しく、早期発見が困難な場合も少なくありません。
また新生児が感染した場合は新生児肺炎や結膜炎にかかることがあり、注意が必要です。
治療薬として、テトラサイクリン系の薬やマクロライド系の薬が有効です。
性器クラミジア感染症の場合、男女のうちどちらかが罹患するともう一方に感染してしまうピンポン感染が起きやすいといわれます。
そのため、男女ともに治療を受けることが望ましいでしょう。
淋菌感染症
淋菌に感染することにより疾患する病気が淋菌感染症です。淋菌自体の毒性はとても弱く、消毒剤や日光などで簡単に死滅させることができます。
また人の粘膜から離れると数時間で感染性を失うこともあり、性行為や性行為に類する行動以外で感染することは稀です。
それでも毎年感染者数は一定数報告されており、特に20代の男女における罹患が顕著なようです。
症状としては男性の場合は淋菌性尿道炎、女性の場合は子宮頸管炎が挙げられます。男性の場合は2〜9日の潜伏期間を経て、通常膿性の分泌物が出現し、排尿時に痛みが生じます。
女性は男性ほど自覚症状が出てこない人が多く、気付かないうちに感染しているケースも少なくないでしょう。
治療薬としては、セフトリアキソンの点滴やスペクチノマイシンの筋肉注射が使用されることが多いです。
ほかにもセフィキシム・オフロキサシン・ビブラマイシンなどが用いられます。淋菌も性病検査キットで感染の有無が調べられます。
性器ヘルペスウイルス感染症
単純ヘルペスウイルスによる性感染症であり、性器などに水疱や腫瘍を形成します。性器ヘルペスウイルス感染症は根治が難しく、一度罹患すると再発を繰り返す傾向があります。
さらに感染しても発症せず、その間ほかの誰かに感染を広げる可能性も否定できません。そのうえ妊婦さんが罹患していた場合、新生児にも感染させてしまい新生児ヘルペスを発症することもあります。
罹患すると感染機会があってから2〜21日後に患部の不快感ののち、発熱・全身倦怠感・リンパ節の腫脹などが起き、多発性の浅い腫瘍や小水疱が発生します。
男性では包皮や亀頭、女性では外陰部や子宮頸部にみられるようです。
再発の場合はこれほど重症ではないものの、1週間程度治療の時間を要します。
症状は軽くとも、毎年〜毎月再発を繰り返す人もおり、繰り返す発症に心身ともにダウンしてしまうことも少なくないため厄介な病気です。
また風邪や発熱・ストレスが溜まっているときに再発することがあるようです。
治療にはアシクロビルを用いることがありますが、感染しないための行動をとることも大切であり、ヘルペスウイルスを保有する人との性交渉を避けることが必要でしょう。
膣トリコモナス
膣トリコモナス原虫による感染です。性行為により感染し、膣や子宮頸管に寄生します。
症状としては女性の場合、泡状の悪臭の強いおりものの増加・外陰部や膣の強い痒みや痛みを伴います。男性は症状が出にくいものの、一部尿道炎を起こすケースもあるようです。
自覚症状に乏しいことも多く、そのため炎症が卵管まで進むと不妊症や早産・流産を招くこともあるといわれています。
また、性行為以外にも下着やタオル・浴槽・便器から感染することもあり、必ずしも性行為をしていなくても感染する点に注意が必要です。
治療薬としては、5-ニトロイミダゾール系原虫薬の投与が一般的です。
HIV
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって罹患する病気をエイズといいます。
重篤な全身性免疫不全や悪性腫瘍を引き起こすとされており、治療薬の開発が進んだ現在でも注意すべき感染症の一つとされています。
早期に発見し服薬治療を受ければ免疫力を低下させることがなくなってきており、治療によりウイルスの増殖を抑制させることが可能です。
感染経路は性行為のほか、経胎盤や経産道などの母子感染・輸血や臓器移植などの血液感染が挙げられます。
症状としては発熱や頭痛・筋肉痛などインフルエンザ罹患と似た症状が起き、その後数年〜10数年は無症状の時期が続くようです。
その後に発熱・倦怠感・リンパ節の腫脹などが発生、食欲低下や低栄養・衰弱などを引き起こします。
現在、治療薬は開発されており、ウイルスの増殖を抑えることができます。ですが服用をやめると増殖し出すために、一生服用し続けなければなりません。
体内のウイルスを死滅させられるわけではないため、一刻も早い完治のための治療薬の開発が待たれています。
性器カンジダ
性器カンジダはカンジダ属によって引き起こされる感染症です。女性特有の疾患といわれており、男性の罹患者数は女性と比較すると少ないです。
症状としては膣や外陰部の炎症が挙げられ、痛みや排尿障害を引き起こします。男性の場合は亀頭炎があるようです。膣錠や軟膏・クリームなどを塗布して治療します。
性病検査キットの選び方
検査キットの選び方として代表的なものを取り上げます。
検査の精度が高いかどうかの一つの判断として、キットを郵送した後の検査機関に、性感染症学会の認定医や臨床検査技師がいるかどうかを確認してみるのをおすすめします。
またキット郵送先の機関が、日本臨床衛生検査技師会が主催している外部精度管理調査に参加しているかも確認しておくといいでしょう。
検査項目で選ぶ
ご自身が気になる病気にあわせた検査キットを選んでください。特定の病気に罹患しているかを知りたい場合はピンポイントのものを、さまざまな病気に罹患しているのかを複合的に知りたい場合はパッケージタイプのもので検査しましょう。
結果が出るまでの期間で選ぶ
短期間で結果を得たい方は、結果が出るまでの期間が短いものを選ぶこともおすすめです。
ただし、時間のかかる検査の方がより正確な診断結果を得られる可能性もあります。不明な点は検査キットのメーカーに問い合わせてみるといいでしょう。
価格で選ぶ
価格で選ぶことも一つの選び方です。検査キットには保険適用のものと、保険適用外のものがあります。
また発売しているメーカーによって価格も異なるため、いろいろ吟味してみるといいでしょう。
匿名性で選ぶ
性病はデリケートな病気でもあるため、しっかりと匿名性が担保できる機関で行える検査かどうかを確認することもおすすめです。
検査キットを申し込む際の個人情報がどう管理されるのか、事前に確認しておくといいでしょう。
編集部まとめ
とてもデリケートな病気である性病ですが、国内にはいくつもの性病検査キットがあります。
価格で選ぶものや検査に要する機関で選ぶものなど、選び方はたくさんあります。
さまざまあるためどれが一番適したキットなのかについて悩むかもしれませんが、判断の一助となれば幸いです。
参考文献