下肢静脈瘤の症状とは?静脈瘤の原因・治療・予防方法について解説
近頃、脚のむくみが気になったり、こむら返りを起こしたりといった症状を感じることはありませんか。
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は脚の静脈に血液が溜まってしまい、瘤(こぶ)になって浮き出る状態を指します。
普段症状はありませんが、時よりむくみやこむら返りなどを発症するのが特徴です。
下肢静脈瘤に罹患しても命に関わるような状況になるのは稀であり、通常は症状を緩和させるために治療を行うのがほとんどです。
しかし、日常生活で支障を感じられたり、滞留した血液に血栓ができて感染・炎症を起こしたりすると治療が必要になるでしょう。
本記事では、下肢静脈瘤の症状・原因・治療・予防方法について解説します。下肢静脈瘤の症状がある方や下肢静脈瘤の予防方法を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
監修医師:
河瀬 勇(千葉静脈瘤・循環器クリニック)
目次 -INDEX-
下肢静脈瘤とは?
下肢静脈瘤とは、脚の静脈を流れる血液が心臓へ戻れずに静脈内で滞ってしまうために瘤状になって浮き出てしまう病気です。
通常はふくらはぎの筋肉がポンプの役割を果たし、静脈を通じて心臓へ送り出します。また、血管にある弁によって血液が逆流しないように機能しています。
しかし、脚の筋力が衰えたり、弁の機能が低下したりすると下肢静脈瘤を引き起こしやすくなります。下肢は心臓から遠い位置にあり、かつ低い位置から血液を心臓へ送り出さなければならないため、静脈瘤ができやすい部位ともいえます。下肢静脈瘤は脚の付け根にある静脈や膝の裏側にある静脈にできやすく、検査の際はどこに瘤ができているかを調べ、治療へ進んでいきます。
下肢静脈瘤の症状
下肢静脈瘤は通常症状がありませんが、血液が滞る状態が続くと次第に下記のような症状が現れることもあります。
- 血管が浮き出る
- 脚がむくむ、つる
- 脚の傷が治りにくい
- ふくらはぎに湿疹ができやすい
それぞれの症状について詳しくみていきましょう。
血管が浮き出る
下肢静脈瘤になると脚の静脈に血液が滞るため、脚の血管が浮き出やすくなります。膝の裏側や脚の甲などの血管でよく見られるでしょう。
正常な血流の場合、静脈の血管に血液が溜まることなく心臓に向かって進んでいくため、血管の太さが変わったり浮き出たりはしません。しかし静脈の血液が流れにくくなると、瘤ができて血管が浮き出やすくなります。
最近、脚の血管が浮き出るようになったと感じる方は、下肢静脈瘤の可能性があるかもしれません。
脚がむくむ、つる
下肢静脈瘤は脚の血流が悪くなるため、脚がむくみやすくなったり、つりやすくなったりします。脚の血流が悪くなるとうっ血した状態になり、脚のだるさやむくみが生じます。また、水分が不足するため、脚がつりやすい状態に陥ります。
普段長時間の立ち仕事やデスクワークが多い方は脚のむくみやつるといった症状が現れやすくなります。血液が流れにくいため、血行を良くする対策を普段から取り入れると良いでしょう。
脚の傷が治りにくい
下肢静脈瘤になると血流が悪くなるため、脚の傷が治りにくくなります。
下肢の静脈に滞った血液は老廃物を含んでいるため、傷を治すための酸素が欠乏した状態です。その状態で傷を負うと治りにくいだけでなく、感染・炎症を起こす可能性もあり、潰瘍にまで進行する場合もあります。
そのため、下肢静脈瘤に罹患した場合に治療するのはもちろんですが、脚に傷を負った際は傷口を清潔に保ち、感染・炎症の発症を防ぎましょう。
ふくらはぎに湿疹ができやすい
下肢静脈瘤は脚の血流が悪くなるため、湿疹などの皮膚炎も発症しやすくなります。特に静脈が流れているふくらはぎに湿疹ができやすいです。
血液が滞ると水分が不足し、周辺の皮膚が乾燥しやすくなります。湿疹ができるとかゆみを伴うため、引っ掻いたことによる傷には注意が必要です。
傷に対し消毒などで衛生的な状態を保てると問題はありませんが、気付かずにそのままにしていると炎症を起こし、ひどいと潰瘍になってしまうこともあります。湿疹ができたら保湿剤を塗るなどして引っ掻かないよう工夫しましょう。
下肢静脈瘤の原因
下肢静脈瘤は突然発症するものではなく、長年の生活習慣や体の変化によって引き起こされる病気です。また症状が現れないケースも多く、発症してすぐには下肢静脈瘤に罹患したと気付かない場合がほとんどです。では下肢静脈瘤の原因とはどのようなことが挙げられるのでしょうか。
長時間の立ち仕事
長時間の立ち仕事が多いと、下肢静脈瘤を発症する可能性が高くなります。
立ち仕事が多い場合、ポンプの役割を果たすふくらはぎの筋肉が衰えやすく、血液を送り返しにくくなります。加えて脚が長時間心臓よりも低い位置にある状態が続くため、血液を送り返す力も弱まっていると、より血液が滞りやすい条件が整ってしまいます。
デスクワーク
デスクワークが多い状態も下肢静脈瘤が発症しやすい習慣になります。
長時間の立ち仕事と同様、同じ体勢が続くデスクワークも血流が滞りやすく、筋力の衰えや静脈内の圧力が高まるために溜まった血液を送り返しにくい状態が続きます。むくみや脚のだるさを感じる場合は下肢静脈瘤の可能性も考えましょう。
妊娠
妊娠中はホルモンバランスの変化やお腹が大きくなるなどで、下肢静脈瘤になりやすいです。
妊娠するとホルモンの影響で血流が増え、血管の平滑筋が弛緩しやすくなります。すると静脈を通じて心臓へ戻す血液量も増えるため、よりうっ血しやすい状態になり、下肢静脈瘤を引き起こしやすくなります。
また妊娠中期以降は胎児の成長に伴い、お腹も大きくなるので腹圧がかかり、血液が押し戻されやすくなります。
下肢静脈瘤の治療方法
下肢静脈瘤の症状がない場合は特段治療を要しませんが、症状が進むとかゆみや湿疹といった皮膚炎を起こし、重度の場合は潰瘍ができ治療に時間がかかるケースもあります。そのため、軽度の症状の段階で治療することをおすすめします。では、下肢静脈瘤で行われる治療方法について詳しくみていきましょう。
ストリッピング手術
ストリッピング手術とは脚の付け根から、くるぶしまでワイヤーを通して、静脈を抜き去る手術です。静脈内で機能不全を起こしている弁がある場合は、ストリッピング手術により静脈を取り除くことで根本的に治療できます。
ストリッピング手術は麻酔を使用して行われるため入院が必要な手術でしたが、近年では日帰りや短い入院期間で対応する病院が増えています。
下肢静脈瘤の手術では長年ストリッピング手術が主流でしたが、治療方法の進化によって患者さんの体への負担を減らした低侵襲な治療方法が増えてきました。しかし、ストリッピング手術は静脈自体を取り除くため、再発率が低いメリットがあります。治療期間は約1〜2ヶ月程度です。
血管内焼灼術
血管内焼灼(しょうしゃく)術とは、カテーテルを静脈内に挿入してレーザーや高周波で焼灼し、静脈の逆流を止める治療法です。
カテーテルを使用しているので手術の跡がほぼ残らない点や、すぐに歩行できる点から低侵襲性の高い治療と評価されています。2011年に保険適用の治療になってからは下肢静脈瘤の主要な治療法へ発展してきました。
焼灼した静脈の断片にできた血栓は通常1ヶ月ほどで消失しますが、ごく稀に心臓や肺に到達し、肺動脈血栓塞栓症を引き起こす場合があります。そのため、術後血栓の状態を確認するなどの経過観察も行われる場合もあります。治療期間は術後の経過に問題がなければ1日です。
下肢静脈瘤血管内塞栓術(グルー治療)
下肢静脈瘤血管内塞栓術(グルー治療)とは伏在静脈にカテーテルを挿入し、圧迫しながら接着剤を注入して伏在静脈を塞ぐことで逆流を止める治療法です。
血管内焼灼術のように熱を伴わないため、局所麻酔での治療が可能です。そのため、術後に疼痛や神経障害などが発生しにくいのがメリットといえます。
2020年からは保険適用の治療となっていますが、まだ症例が少ない点や接着剤のアレルギー反応がみられる点なども挙げられているので、グルー治療を検討している方は医師へ相談してみると良いでしょう。治療期間は術後の経過に問題がなければ1日です。
高位結紮術
高位結紮術(こういけっさつじゅつ)とは脚の付け根を切開して、静脈をしばって切り離すことで静脈の逆流を止める治療法です。
脚の付け根の静脈で下肢静脈瘤が発生している場合は高位結紮術が効果的ですが、高位結紮術単体では不十分な場合も多く、再発率も高いため、他の治療法と併用して行われるケースがほとんどです。
併用される治療方法としては、硬化療法やレーザー治療との組み合わせが多くみられます。治療期間は術後の経過に問題がなければ約1〜2日です。
硬化療法
硬化療法は静脈に硬化剤を投与して静脈の逆流を止める治療法です。
手術を要さないため、下肢静脈瘤によって見た目が気になる方に行われるケースが多いです。硬化療法は硬化剤を注入する注射で済むため、傷や麻酔の心配がありません。そして硬化剤によって硬くなった血管は次第に身体に吸収されるため、治療後の合併症は少ないといえるでしょう。しかし、他の治療法と比較すると再発性が高いデメリットもある点について注意が必要です。治療期間は約1ヶ月程度で、硬化剤投与後は弾圧ストッキングを装着して治療します。
下肢静脈瘤の予防方法とは?
下肢静脈瘤は普段の生活習慣や同じ姿勢が続くことによって引き起こしやすくなります。そのため、あらかじめ予防策を講じることで下肢静脈瘤になるリスクを低減できます。では、下肢静脈瘤の予防にはどのような方法があるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
弾性ストッキングを履く
下肢静脈瘤は弾性ストッキングを履くことで予防に効果があります。
弾性ストッキングとは着圧ストッキングとは異なり、脚を強く圧迫することで血流が押し上げられます。医療用の弾圧ストッキングは下から上へ圧力がかかるように編み上げられているので、表在静脈をしっかり圧迫でき、心臓へ血液が戻りやすくなります。
ただし、弾圧ストッキングだけでは下肢静脈瘤を予防できるわけではありません。他の治療法や予防法も併用しながら行うことで効果が現れます。
脚のストレッチやマッサージをする
下肢静脈瘤は長時間同じ姿勢が続くことで引き起こされるため、脚のストレッチやマッサージを行って血流を良くすると予防効果があります。脚の上げ下げや足首を回すなど、ふくらはぎの筋肉が収縮するようなストレッチが効果的です。
また、ふくらはぎや足首をマッサージするのも良いでしょう。脚を心臓よりも高い位置に上げることも血液が心臓へ向かって流れやすくなるため、適宜行いましょう。
合間に少しでも歩く
下肢静脈瘤を予防するには、合間に少しでも歩くことも効果があります。
長時間、立ち仕事やデスクワークが続く場合は仕事の合間をみて歩くことで血液が溜まる状態を防げます。また、階段の上り下りも効果的です。長い時間歩くのは脚に負荷がかかりすぎる可能性がありますので、適度に行うことがポイントです。
下肢静脈瘤の予防・治療なら千葉静脈瘤・循環器クリニックへ
下肢静脈瘤の相談・治療は多くの手術法を実施し、術前から術後まで手厚くケアしてくれる病院を選ぶことをおすすめします。
下肢静脈瘤は緊急で治療を要する病気ではありませんが、血管が浮き出てくるので見た目が気になったり、症状によって生活の質が低下したりします。
症状に応じた治療方法の提示や説明があり、患者さん自身が治療法を選択できると安心して診察を受けられるでしょう。
千葉静脈瘤・循環器クリニックは患者さんとの対話を大切にし、患者さん一人ひとりに合った診療を行っています。
千葉静脈瘤・循環器クリニックの血管内焼灼術(両側)は保険3割負担の方で約70,000円(税込)です。おおよそ2回ほどの通院になりますが、状態によっては術後にも通院していただくことがあります。
患者さんとの対話を大切にし、一人ひとりに適したテーラーメイドの診療を行う
下肢静脈瘤といっても症状や状態は人によってさまざまです。また、治療もどのレベルまで行うかは患者さんの意向で異なりますので、患者さん一人ひとりに合った治療法の提案が大切です。
千葉静脈瘤・循環器クリニックでは、初診時にヒアリングする時間を十分に確保したうえで実施しています。
症状の他にも普段の生活習慣について聞き取りすることで、下肢静脈瘤になりやすい生活習慣の改善のアドバイスもしてもらえます。
そのうえで患者さんとともに納得できる治療方針を考えてくれるのは、千葉静脈瘤・循環器クリニックの良さといえるでしょう。
通院が困難な患者さんのために在宅・訪問診療を実施
体調が悪いなどで通院が困難な患者さんのために、在宅・訪問診療を実施してくれる病院であれば、下肢静脈瘤を自宅にいながら治療できます。
下肢静脈瘤は膝が悪い高齢者の方にもみられることが多いですが、通院が難しい状態だとなかなか診察・治療が行えないでしょう。
千葉静脈瘤・循環器クリニックでは月に2回を基本として在宅・訪問診療を実施しており、院内と変わらない治療を受けられます。
通院が難しいと考えている方は千葉静脈瘤・循環器クリニックへ在宅・訪問診療の相談をしてみてはいかがでしょうか。
患者さん自身の生活の質を守る治療を行う
下肢静脈瘤の治療は、患者さん自身の生活の質を守る治療を行う病院を選びましょう。
下肢静脈瘤は、症状が進んで皮膚が黒ずんでくると生活の質を下げてしまう可能性があります。また、症状が悪化していると複数の治療法を併用する必要があり、手術による傷が残ってしまう可能性が高いです。
多彩な治療方法を取り入れていて患者さんに合った方法を選べる千葉静脈瘤・循環器クリニックであれば、生活の質も守りながら治療を行ってくれます。
下肢静脈瘤について相談したいと考えている方は、ぜひ千葉静脈瘤・循環器クリニックへご相談してみてください。
千葉静脈瘤・循環器クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
JR千葉駅 西口 徒歩1分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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手術治療は13:00~16:00 まで
第1~第4木曜日の午後(13:00~19:00)、第1・第3火曜日の午後(13:00~19:00)は訪問診療
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