見た目にわからない｢下肢静脈瘤｣をご存じですか? 『かくれ静脈瘤』がむくみの正体!?【医師解説】

藤原先生

むくみは、血液やリンパ液の循環がうまくいかず、体内に余分な水分がたまることで起こります。心臓のポンプ機能が弱くなった場合や下肢静脈瘤、リンパ浮腫、ホルモンや薬物の影響などがあると血液がうまく流れず、足がむくみやすくなるのです。

藤原先生

下肢静脈瘤は、足の表面にある静脈の弁が壊れて血液が逆流し、血管がこぶのように膨らんでしまう病気です。見た目だけでなく、足のだるさやむくみ、つり（こむら返り）などの症状も起こします。進行すると皮膚の変色や潰瘍につながることもあります。

藤原先生

基本的にはそのような人が多いのですが、一部には血管が浮き出ないタイプの「かくれ静脈瘤」という下肢静脈瘤もあります。見た目に変化がないために気づかれにくいのですが、症状としてはむくみやだるさ、こむら返りなどがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。

藤原先生

遺伝的な要因が強く、両親ともに下肢静脈瘤を持っている場合、90％の確率で発症すると言われています。また、長時間の立ち仕事や妊娠・出産経験、加齢もリスク要因です。女性に多い病気でもあります。

藤原先生

命に関わる病気ではありませんが、自然に治ることはありません。進行すれば皮膚が硬くなったり、黒ずんできたり、最悪の場合は潰瘍になってしまうこともあります。生活の質を落とさないためにも、早めに対処することをお勧めします。

藤原先生

むくみや足のだるさ、夜間のこむら返りなどが頻繁にある場合は、下肢静脈瘤の可能性を疑ってもよいでしょう。なお、医療機関では超音波検査で簡単に診断できます。

藤原先生

かかりつけ医のいる方は、まずそちらに相談でもよいかもしれませんが、専門的な検査や治療をおこなうことを考えると、血管外科や下肢静脈瘤治療専門医のいる医療機関を受診するのがよいかと思います。

藤原先生

根本的な治療は手術になりますが、軽症の場合は弾性ストッキングの着用や生活指導で症状を軽減することも可能です。状況に応じて、症状を軽減するための薬物療法や外科的治療も検討します。どの治療が適しているかは、超音波検査などで正確に診断したうえで判断します。

藤原先生

そうですね。血液の逆流が強く、生活に支障が出ている場合は手術を選択することがあります。ただし、手術といっても入院不要のカテーテル治療など、身体への負担が少ない方法がありますので、身体的負担や時間的負担は比較的少ないと思います。

藤原先生

むくみの原因にはさまざまなものがあり、その一つに「下肢静脈瘤」があります。下肢静脈瘤は進行すると、足のだるさや重さ、見た目の変化だけでなく、日常生活にも影響を及ぼすことがあります。「ただのむくみ」と軽く考えず、気になる症状がある場合は、早めにお近くの血管外科や下肢静脈瘤の専門家に相談してみてください。