性病検査は女性も受けるべき?性病検査の重要性や注意点などについて解説!
「もしかしたら性病にかかったかもしれない……」と一人で悩んでいませんか?性病はは放置しておくと重篤な症状になってしまうこともあります。
とはいえ、「性病が気になるけど、検査を受けるのはちょっと抵抗がある」という方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、女性の性病検査について気になるポイントを解説していきます。性病検査を受けるかどうか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
女性が性病検査を受ける重要性
性感染症とは、性的接触(口腔性交や肛門性交を含む)により口や性器などの粘膜や皮膚から感染を起こす病気のことを指します。主な性感染症は、梅毒、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、HIVなどが挙げられます。検査方法は、膣や子宮の入り口のおりものを採取するもの、血液検査、視診、喉の検査、尿検査などがあり、性病の種類によって異なります。
性病かも?と思ったら性病検査を
性感染症はかゆみや痛みといった症状が出ることもありますが、無症状の場合もあり、自覚がないまま感染を広げてしまうこともあります。知らない間にパートナーに感染させてしまうことも多く、罹患したまま不特定多数の人と関係を持つと、病気が急拡大する原因となります。このため、「性病になったかもしれない」と少しでも不安に思うことがあれば、すぐに検査を受けることをおすすめします。
性病を放置してはいけない理由
性感染症は、自分は大丈夫だろうという認識の中で広がっていきます。知らない間に感染を広めていたり、自身の症状を悪化させていることも少なくありません。治療をしないで放置をすると、体に深刻なダメージを与える合併症や後遺症を残したり、最悪の場合、死に至るケースもあります。
また、男女ともに性感染症が原因で不妊症になることがあります。さらに、女性が感染したことを知らずに妊娠をすると、母子感染のリスクが高まります。自分や自分の大切な人を守るためにも、性感染症の早期発見、早期治療が非常に大切です。
生理・妊娠中でも性病検査は可能
では、生理中や妊娠中でも性感染症の検査は可能なのでしょうか? 結論からいうと、採血や喉の検査など、膣分泌液を採取しない検査であれば行うことができます。例えば、HIV、B型肝炎、C型肝炎、ヘルペス、梅毒、咽頭クラミジア、咽頭淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマ(咽頭)などの検査は可能です。ただし、膣からの分泌物を使う抗原検査などはできないことが多いので、事前に医療機関で相談をするようにしましょう。
性病検査でわかる主な性感染症
性感染症は細菌やウイルスによるものなどがあり、種類も数多く存在します。ここでは、検査でわかる主な性感染症について見ていきましょう。
梅毒
梅毒は一時期日本での感染はほとんどなくなっていましたが、近年になって感染者が急増している性感染症です。初期の症状は、手のひらや足の裏、体などに痛みやかゆみのない発疹が広がりますが、こうした症状が消えても感染力が残るのが特徴です。
治療をしないまま放置すると心臓や脳などの臓器に病変が生じ、悪化すると死に至ることもあります。また、妊娠中の女性が梅毒に罹患すると、早産・死産の原因になったり、胎盤を通じて胎児に感染したりすることもあるため、非常に危険です。
特に女性は初期症状が出にくく気づきにくいため、少しでも気になることがあればすぐに検査を受けるようにしてください。検査は医師による診察と血液検査で行われます。早期であれば抗生物質で治すことが可能な病気ですので、早めの受診が大切です。
クラミジア
性器クラミジア感染症は、感染者が最も多い性感染症の疾患です。症状がほとんど出ないのが特徴で、出てもおりものや軽い下腹部の痛み程度です。そのため、知らないうちにパートナーに感染させることが多く、これが急増の原因となっています。治療せずに持続感染すると、腹腔内に炎症が広がり、将来的には子宮外妊娠や不妊症にもつながります。尿やおりものを調べて検査を行い、治療には抗菌薬を用います。
淋菌
淋菌感染症は、黄色いおりものが増えたり、排尿時の痛みといった症状を引き起こします。また、喉の腫れや痛みなどの風邪に似た症状が出ることもあります。症状が軽いため、見過ごされやすく、治療をせずに放置をしていると強い下腹部痛や発熱を引き起こします。また、子宮内膜症や不妊症、喉頭炎などの原因ともなります。検査は尿や子宮頸部からの分泌物を調べ、治療には抗菌薬を使用します。
HIV
HIVはエイズ(AIDS)を発症する性感染症です。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染すると、ほとんどの人に発熱、リンパ節の腫れ、喉の痛み、皮疹、筋肉痛、頭痛、下痢など、なんらかの症状がみられます。ただし、無症状のこともありますので、注意が必要です。検査は採血によって行います。
HIV感染の後、エイズが発症すると命を落とす病気として恐れられてきました。しかし現在では早期の治療開始により、エイズの発症を予防できるようになってきています。HIVは血液検査で判定ができるため、気になることがある人は早期に検査しましょう。治療は抗HIV薬によってウイルスの増殖を抑え、エイズの発症を防ぎます。
その他の性病
性感染症にはこのほかにも、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、トリコモナス膣炎、カンジダ膣炎などがあります。無症状や症状が軽い場合は自分でも気づかないことがありますので、複数のパートナーと関係があったり、パートナーが変わったりした場合は検査を受けてみることをおすすめします。
性病検査を受ける方法
性感染症の検査は、保健所や病院・クリニックのほか、性病検査キットを使用することでも可能です。それぞれの特徴について解説します。
保健所での検査
HIVや梅毒などの検査は保健所で受けることができます。保健所で検査を受けるメリットは、無料で受けられることです。また、自分の名前を申告する必要がなく、匿名で検査を受けられるのも大きな利点です。
ただし、保健所で受けられる性病検査は種類が限られていて、どんな性病の検査でも受けられるわけではないところが短所といえます。また、検査日時も限定されており、週に1〜2回、平日の日中に数時間だけ実施というところもあります。それだけでなく、予約が必要であったり、定員が設けられたりしている場合があるなど、計画性を持って臨む必要があります。思い立ったときにすぐ検査をできるとは限らない点がデメリットといえるでしょう。
病院・クリニックでの検査
すでになんらかの自覚症状がある場合は、病院やクリニックで検査を受けるほうがよいでしょう。保健所とは異なり、医療機関では検査できる性病の種類が多く、比較的新しい性病に対応しているところもあります。自分の都合に合わせて受診することも可能です。また、すでに性感染症にかかっていた場合、すぐに治療を開始できる点もメリットといえるでしょう。
デメリットは、保健所と違って費用がかかってしまうところ。また、匿名の検査ができない場合が多いところも短所といえるかもしれません。ただし、匿名の検査が行えるクリニックもありますので、事前に電話などで確認をしてみてください。
性病検査キットの使用
保健所や病院に行く時間がない、行きづらいという人、あるいは他人に絶対に知られたくないという場合は、性病検査キットを使うこともできます。多くの場合、専用のキットをネットなどで取り寄せて、自分で採尿や採血を行って返送すると、後で結果が確認できるようになっています。一回の検査で多くの種類を調べることのできるキットもあるため、手軽で便利な方法です。
検査キットのデメリットは医療機関と同じく、費用がかかるところ。検査キットそのものの費用に加え、送料がかかる場合もあります。安いキットは判定できる種類が少ないものもあるため、注意が必要です。また、キットを購入して自分で検体をとり、送付をして結果を確認するまでに多少の手間と時間がかかります。
性病検査で知っておきたいこと
では、実際に性感染症の検査を受ける場合、どのような点に注意をしたほうがよいでしょうか? また費用はどれくらいでしょうか? ここからは、性感染症の検査のために知っておきたいポイントについて見てみましょう。
性病検査を受ける前の注意点
ほとんどの性感染症は、症状がなくても検査すればわかります。進行すると命にかかわるような病気もあるため、早めの検査を心がけましょう。ただし、検査の結果は100%正確というわけではありません。検査では、陽性なのに陰性と出ること(偽陰性)や陰性なのに陽性と出ること(偽陽性)があります。
特に感染から時間が早すぎたり、反対に遅すぎたりすると結果が正確に出ないことがあるため、注意が必要です。また、生理中や妊娠中にはできない検査もありますので、事前に医療機関などに確認をするようにしましょう。
できればパートナーと一緒に検査する
性感染症は、罹患しているとパートナーにうつしている可能性も高いため、できれば一緒に検査を受けるようにしてください。一人だけ治療をしても、パートナーの感染が続いていれば、再感染のリスクがあります。ただし、病気によっては無症状の人は検査ができないこともありますので、あらかじめ医療機関などで確認してみてください。
性病検査の費用相場
性感染症の検査費用は1項目あたり、自由診療で3000円〜10000円程度のところが多いようです。複数の項目が検査できる場合は、その分高額になります。これは検査費用のみで、病院やクリニックではこのほかに診察代などがかかります。また、検査キットでは郵送費やオンライン使用料などが別途かかることもあります。なお、医療機関での検査は症状があれば保険適用が効く場合もあります。
編集部まとめ
性病は自覚がない場合も多く、感染が続いているにもかかわらず、途中で症状が消えてしまうものもあります。そのまま放置しておくと重篤な症状を招いたり、大切なパートナーや胎児に感染させてしまうリスクが高くなります。少しでも不安を感じたら、ためらわずに検査を受けるようにしてください。
現代では早期治療で快癒する性病も多くあります。今のあなたのほんの少しの勇気が、未来のあなたとあなたの大切な人を救うのです。