性病検査は喉の症状でも実施できる?検査可能な性病や詳しい検査方法も解説
喉に違和感や痛みがあって、性病の症状かもしれない……と不安に感じている人はいませんか? 性病は性行為だけでなくオーラルセックスでも感染し、喉に症状が現れることもあります。この記事では、喉の性病検査方法について詳しく解説し、自宅で手軽に検査できるキットの使い方、検査可能な性病、検査できない性病についても説明します。適切な検査を受けることで、早期発見と治療につなげることが重要です。ぜひ参考にしてくださいね。
監修医師:
澤田 樹佳(富山県のさわだクリニック)
20022金沢大学卒 / 2014年金沢大学大学院卒 / 現在は、富山県のさわだクリニック院長 / 専門は泌尿器科、在宅、緩和医療、東洋医学
保有免許・資格
泌尿器科専門医、指導医
医師へのコミュニケーションスキルトレーナー
目次 -INDEX-
喉の性病検査をする方法
喉に性病の疑いがある場合、まず検査を受けることが大切です。ここでは、喉の性病検査を行うための2つの方法を紹介します。
受診による検査
性病検査を受ける一般的な方法は、医療機関を受診することです。性病の検査は耳鼻咽喉科や泌尿器科、婦人科、皮膚科、性病科で受けられますが、喉の性病検査は耳鼻咽喉科と性病科がおすすめです。特に性病専門のクリニックは診察範囲が広く、さまざまな症状に対応できます。
クリニックでは医師が問診や視診を行い、喉のぬぐい液や、うがいをして吐き出した液を検査します。医療機関での検査は、精度が高く、迅速に結果が得られるのが特徴です。
検査キットを使った検査
喉の性病検査をするもう一つの方法は、自宅でできる郵送の検査キットを使用することです。自宅でできる喉の性病検査キットは、簡単に使用でき、プライバシーを守りながら検査を行えます。
喉の性病検査キットの使い方
自宅でできる喉の性病検査キットは、忙しくて受診できない人には魅力的ですよね。では、どのような手順で行えばよいのでしょうか? ここでは、自宅で行う検査の方法について詳しく説明します。
検査キットの購入
まず、オンラインショップや薬局で検査キットを購入します。購入する際には、信頼性のあるメーカーの製品を選ぶことが重要です。また、購入前に検査内容や対象となる性病をしっかり確認しておきましょう。
検体の採取
検査キットは、対象となる性病の検査方法によって、同封されているものが異なります。検体の採取は正確に行う必要があり、無菌状態を保つために手洗いや消毒をしっかり行ってから採取しましょう。
喉のぬぐい液で検査する場合、採取の30分前からは飲食や歯磨きを避けるようにしてください。採取するための綿棒やスポンジが入っているため、綿棒の先の部分に手などが触れないように注意し、手順に従って喉の奥にある口蓋扁桃の粘膜をぬぐい取ります。最後に、使用した綿棒やスポンジは同封されている容器に入れて、しっかりと蓋をしめましょう。
うがい液で検査を行う場合も、食事やうがい、歯磨きから2時間以上経過してから検体を採取してください。同封されているうがい用ボトルの水で、ガラガラうがいをし、採取用コップに吐き出します。それをうがい液スピッツに移し替え、うがい液が漏れないようしっかりと蓋をしめてください。
検体の返送
採取した検体は、同封されている返送用の封筒に入れて郵送します。返送先は検査機関の指示に従ってください。匿名でできる検査機関の場合は、名前や住所、メールの記入も必要なく、自分で決めたIDとパスワードを検査申込書に記入します。
結果の確認
検体が検査機関に到着すると、一定期間内にオンラインや郵送で結果を確認できます。結果が陽性だった場合は、速やかに医療機関を受診して治療を開始しましょう。
喉の性病検査キットで検査可能な性病
喉の性病検査キットでは、いくつかの性病を検査することが可能です。ここでは検査キットで検査が可能な性病の症状や検査可能な時期、治療方法を解説します。
咽頭クラミジア
咽頭クラミジアは、クラミジア・トラコマチスという細菌による性感染症の一種で、口腔や喉に感染します。症状は風邪に似ているため見過ごしやすく、無症状のこともあるため注意が必要です。
・症状
咽頭クラミジアの症状には、喉の痛み、耳の閉塞感、難聴、鼻づまり、扁桃腺やリンパ節の腫れがあります。症状がないことが大半で、痛みを伴っても通常は軽度から中等度です。これらの症状は、風邪やインフルエンザの初期症状や一般的な喉の炎症と間違えられやすいのが特徴です。
・検査可能な時期
咽頭クラミジアは潜伏期間があるため、感染後およそ1〜3週間で検査が可能です。感染した後、症状が現れた場合はすぐに検査を受けることが重要です。しかし、多くの感染者は無症状のため、感染に気付かないことが問題となっています。そのため、無症状の場合でも、リスクのある行動を取った後は早期の検査が推奨されています。
・治療方法
咽頭クラミジアの治療は、抗生物質の内服によって行われます。マクロライド系のアジスロマイシンと、テトラサイクリン系のドキシサイクリンが一般的に使用され、どちらの抗生物質を選ぶかは医師の判断です。アジスロマイシンは一度の服用で効果が期待できることが多く、ドキシサイクリンは7日間にわたって服用するという特徴があります。症状が激しい場合は点滴治療も行います。
治療開始から1ヶ月程度経過してから再検査を行い、問題がなければ治療終了です。治療が不十分だと感染が再発する可能性があるため、医師の指示に従って処方された薬を全て服用することが重要です。
咽頭淋病
咽頭淋病は、淋菌による性感染症の一種で、口腔や喉に感染します。
・症状
咽頭淋病の症状は、クラミジアよりも強い痛みが特徴で、持続的な痛みと発熱を伴うことが一般的です。また、症状を放置すると扁桃腺や喉全体が赤く腫れ、これにより飲み込みにくさが生じます。しかし無症状のこともあり、知らずに感染を広げるリスクがあるため注意が必要です。
・検査可能な時期
咽頭淋病は約2〜7日の潜伏期間があるため、検査は感染後1〜2週間で実施可能です。症状が現れた場合は、すぐに検査を受けることが重要です。咽頭クラミジアと同様に、無症状の場合でもリスクの高い行動があった後は検査を受けましょう。
・治療方法
咽頭淋病の治療は、セフトリアキソンというセフェム系の抗生物質が用いられます。合併症がない場合、30分程度の1回の点滴で治療が終了します。治療が完了した後は約1ヶ月後にフォローアップ検査を受け、感染が完全に治癒しているか確認しましょう。治療後は再感染を防ぐため、性行為の相手も検査・治療を受けることが重要です。
喉の性病検査キットでは検査できない性病
喉の性病検査キットは、簡単でプライバシーを守りながら検査できますが、一部の性病は検査ができません。ここでは、喉に症状があっても喉の検査キットでは検出できない性病を紹介します。
咽頭ヘルペス
咽頭ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)による感染症で、口腔や喉に水疱や潰瘍を形成します。強い痛みや発熱を伴うことが多く、放置すると重症化するリスクがあります。
・症状
咽頭ヘルペスの主な症状には、強い喉の痛みや口腔内の水疱、発熱などがあります。痛みによって食事や飲み物が摂取しにくく、特に水疱が破れると、痛みはさらに激しくなります。また、発熱や全身の倦怠感を伴うことが多く、リンパ節や扁桃が腫れることも特徴です。
・検査方法
咽頭ヘルペスの検査は、医療機関で喉のぬぐい液を採取し、ウイルス検査をするのが一般的です。また、血液検査を併用する場合は、過去の感染歴やウイルス抗体の有無を確認するために行われます。
・治療方法
ヘルペスウイルスの治療には、抗ヘルペスウイルス内服薬としてバラシクロビルやファムシクロビルを使用します。症状が重い場合は、入院して点滴治療を行います。症状が現れたら、できるだけ早く医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。早期の治療開始が症状の重症化を防ぎ、再発のリスクを軽減します。
梅毒
梅毒は、トレポネーマ・パリダムという細菌による性感染症です。
・症状
梅毒の初期症状は、性器や肛門、口にしこりや潰瘍ができたり、リンパ節が腫れたり、全身に発疹(ほっしん)が現れたりするものです。症状は数週間から数ヶ月にわたって続き、症状が一旦消えるため治ったと間違われやすいですが、治療をしないと病気は進行してしまいます。細菌が血液によって全身に運ばれると、バラ疹と呼ばれる赤い発疹が全身の皮膚に現れるのです。そして病気が進行すると、梅毒は全身に影響を及ぼし、脳や神経、心臓、そのほかの臓器に深刻な障害を引き起こす可能性があります。
・検査方法
梅毒の診断は、主に血液検査で行われます。梅毒の血液検査は簡便であり、信頼性の高い結果が得られるため、疑わしい症状がある場合は早急に検査を受けることが重要です。最近は血液検査もキットを使用して郵送で行えるようになってきました。少量の血液採取で調べることが可能です。
・治療方法
梅毒の治療は抗生物質を内服や筋肉注射で使用し、特にペニシリン系の薬が有効とされています。早期に発見し治療を開始すれば、梅毒は完治することが可能です。抗生物質の飲み薬であれば、毎日薬を服用する必要があります。服用期間は、第1期では2〜4週間、第2期では4〜8週間が目安です。治療は、全ての薬を医師の指示通りに服用することが重要です。定期的なフォローアップ検査も必要で、治療の効果を確認し、再発を防止します。
HIV
HIVは、ヒト免疫不全ウイルスによる感染症で、感染初期は風邪に似た症状が一過性に現れますが、多くの場合は無症状のまま進行します。
・症状
HIVの初期症状には、喉の痛みや発熱、リンパ節の腫れなどがありますが、これらの症状は一過性で風邪やインフルエンザと似ているため見逃されがちです。また多くの場合、無症状のまま進行し、数年から数十年にわたり免疫力が徐々に低下します。免疫力が低下すると、日和見感染症や特定のがんなどの発症リスクが高まり、エイズ(AIDS)といわれる後天性免疫不全症候群を引き起こすのです。
・検査方法
HIVの検査は、感染してすぐに検査を受けても正確な結果が出ない可能性があるため、感染を疑う日から60日以上経過してから血液検査を受けることが推奨されています。市販されている検査キットでは、血液や尿を使った方法があり、自宅で簡単に検体を採取して検査機関に送ることで結果を確認できます。これらのキットは、プライバシーを重視する方にも適している検査方法です。
・治療方法
HIVの治療は、HIVの増殖を十分に阻止するため、3~4種類の抗HIV薬を組み合わせて内服する多剤併用療法(ART)が基本です。ウイルスが増殖する過程でそれぞれ効果のある薬が異なるため、数種の薬を組み合わせて治療を行います。最近では、2〜3種類の成分が1錠の中に含まれた合剤が多数出ており、1日1回1錠の内服治療も可能になっています。ウイルスがすでに十分抑制されている場合、1〜2ヶ月に1回の筋肉注射の薬でも治療可能です。治療は生涯にわたって継続する必要があり、定期的な医師の診察と血液検査が必要です。
編集部まとめ
喉に違和感や痛みなどの症状が現れた場合、性病の可能性も考えて適切な検査を受けることが重要です。専門の医療機関での検査や自宅での検査キットを活用し、早期発見・早期治療を心がけましょう。特に、インターネットで購入できる検査キットは手軽でプライバシーも守られますが、正確に検査するためには正しい使い方が求められます。健康を守るために、リスクの高い行動は避け、定期的な検査を行いましょう。