睡眠時無呼吸症候群(SAS)の前兆・症状|検査方法や治療方法を解説
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に無呼吸の状態が繰り返される疾患です。睡眠時無呼吸症候群は英語表記の頭文字をとってSAS(サス)と呼ばれます。
睡眠中に呼吸が10秒以上とまる無呼吸の状態が、1時間に5回以上ある場合には睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性が高くなります。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は身体が酸欠状態になりやすく、心筋梗塞や脳卒中につながる可能性が高いため、早期に発見したい疾患です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の前兆を知ると、早期発見にもつながるでしょう。以下では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の前兆や症状、検査方法、治療方法を紹介します。
監修医師:
田中 俊彦(大阪梅田睡眠クリニック)
平成11年 秋田大学医学部附属病院耳鼻咽喉科 入職
平成13年 秋田組合総合病院耳鼻咽喉科 入職
平成13年 秋田大学医学部附属病院耳鼻咽喉科 入職
平成14年 雄勝中央病院耳鼻咽喉科 入職
平成17年 秋田大学医学部附属病院耳鼻咽喉科 入職
平成17年 たなか睡眠クリニック 開院
平成20年 あきた睡眠クリニック設立
平成29年 滋賀睡眠クリニック設立
令和2年 仙台内科睡眠クリニック設立
目次 -INDEX-
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の前兆
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠時に舌が喉に落ち込むことで、呼吸が浅くなったり止まったりを断続的に繰り返す疾患です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の前兆には、いびきが挙げられます。いびきは、喉の奥辺りで空気の通り道が狭くなり、喉が振動して音が発生する仕組みです。そのため、いびきは睡眠時に気道が狭くなっていることを知らせてくれるサインでもあります。通常では、舌や顎の落ち込みで気道の閉塞は起こりにくいです。ただし、喉や舌に脂肪が多い・顎が小さい・喉周辺の扁桃腺が大きいなどの理由で、仰向けで寝た場合に空気の通り道が塞がれやすくなるでしょう。
これらの原因でおこる睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群と呼ばれます。睡眠時にいびき以外の自覚症状は現れにくく、日中に眠気を感じる方が半数程度いるとされています。睡眠時のため、自分のいびきには気付きにくいのが特徴です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が慢性化していると、疲労感や日中の眠気があっても、その状態に慣れてしまうとより気付きにくくなるため、注意が必要です。
周囲からいびきを指摘されて気付く方もいます。いびきを指摘されたことがある方は、自分の体調や症状に気を配るようにしましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)でみられる症状は?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠時に起きているため、自覚しにくいのが難点です。以下のような症状があてはまらないかチェックしましょう。
起きたときに疲労感がある
睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、呼吸が浅くなったり止まったりするため、頻回に短時間の覚醒が起こります。そのため、起床時に疲労感を覚えるでしょう。
睡眠は、心身ともに休んでいる状態です。通常の睡眠では、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルがあり、眠りの深さが異なります。
しかし、睡眠時無呼吸症候群(SAS)では短時間の覚醒が起きるため深い眠りに入りにくく、心身ともに疲労感がとれるような眠りになりません。長く寝ていても起床時に疲労感がある場合には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性が考えられるでしょう。
熟眠感がない
睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、呼吸が浅くなったり止まったりする状況が断続的に続くため、熟睡感をもちにくいでしょう。呼吸が浅くなったり止まったりするたびに低酸素状態になり覚醒するため、深い睡眠がとれなくなります。睡眠に十分な時間を確保していても熟睡した感じがない場合には、睡眠の質が落ちている可能性が高いでしょう。
運転中に眠くなりやすい
睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、実質の睡眠時間が減少し睡眠の質も低下するため、運転中や仕事中に眠くなりやすいです。
気道が閉塞されることで酸欠状態になり、酸欠状態が繰り返し起こることで寝ているのに勝手に目が覚めてしまう状態になります。夜間に十分な睡眠を確保できないため、活動時の日中に眠気がくるでしょう。
運転中に眠くなることも多いため、交通事故の危険性も高まります。山道や知らない道などの運転時には気を張っているため眠くなりにくい可能性はありますが、一人での運転や高速道路、郊外の直線道路、渋滞で低速走行中などでは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)による居眠り運転が多いといわれています。また、重症の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の方による交通事故は短期間で繰り返す可能性があるため、運転中に眠くなりやすい方は医療機関を受診しましょう。
仕事でミスが増えた
睡眠の質が下がるため、集中力が低下し、仕事でのミスが増えることもあります。
睡眠の質が低下している状況が続くと、集中力や意欲、精神機能などの低下に限らず、自律神経やホルモンの分泌などにも影響がおよびます。
中途覚醒の増加や睡眠時間の短縮、睡眠の質の低下により、睡眠で休めている感覚が低下してしまいます。仕事でのミスが増えたと感じるときは、睡眠の質が低下しているときかもしれません。
周りからいびきや呼吸が止まっていることを指摘される
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の前兆は、いびきです。周りからいびきや呼吸が止まっていることを指摘された場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)では無呼吸状態になるため、脳や身体が一時的に酸欠状態になります。血管系や心臓に負担がかかるため、高血圧や心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化、不整脈などにかかるリスクが高くなります。
周囲の方からいびきを指摘された場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があるため、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査方法
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査方法には、自宅で行える簡易検査と病院に宿泊する精密検査があります。それぞれの特徴を解説します。
簡易検査
簡易検査には、フローセンサ法やパルスオキシメトリ法があります。
フローセンサ法は、お口と鼻にセンサを付け、睡眠時の気流の状態を把握する検査です。睡眠時の呼吸状態を客観的に判断できます。
パルスオキシメトリ法は、パルスオキシメーターを指先につけ、睡眠時の血中の酸素濃度を測定する検査です。睡眠中の酸素量の低下回数や呼吸状態の程度がわかります。
これらの装置は貸し出しが可能なため、普段の睡眠状況と同じ状況で検査が行えるのが利点です。ただし、脳波や眼球運動などの睡眠の質に関する情報はわかりません。日中に眠気が出やすい方では、睡眠の質の評価が必要になるため、精密検査を受けることになるでしょう。
また、簡易検査で無呼吸・低呼吸指数が5回以上の方も、精密検査を行う必要があります。無呼吸・低呼吸指数は、睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数のことです。低呼吸は、無呼吸にはなっていないが、もう少しで止まりそうなくらい弱い呼吸状態を指します。
精密検査
精密検査は、簡易検査の項目に加えて、脳波や筋電図、胸部や腹部の動き、いびきなどを測定する検査を行います。呼吸状態だけでなく睡眠の質もわかるため、睡眠状態を詳細に解析することが可能です。
ただし、病院に泊まる必要があり多くの装置を身体に付けるため、それらの影響を少なからず受けるでしょう。
基本的に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の確定診断は精密検査で行われます。ただし、無呼吸・低呼吸指数が40以上の場合には簡易検査のみで確定診断に至ります。
検査結果からわかること
検査結果から睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度がわかります。
閉塞性の睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、無呼吸・低呼吸指数が5以上15未満を軽症としています。15以上30未満は中等症、30以上は重症となります。
重症度を判定すると、重症度に応じた治療法が選択できるでしょう。
CPAP治療がもたらす効果と注意点
CPAP治療は、睡眠時の無呼吸状態を防ぐ治療法です。CPAP治療がもたらす効果や注意点を把握しておきましょう。
CPAP治療が睡眠に与える具体的な効果
CPAP治療は、睡眠時の呼吸停止が起こりにくくなるため、睡眠の質がよくなる効果が期待できます。
CPAP治療は、鼻から持続的に空気を送り込み、睡眠時の無呼吸状態を防ぐ治療法です。鼻に付けたマスクから一定の圧力の空気を持続的に送るため、喉の奥が押し広げられ、舌が落ち込んで気道が閉塞されるのを防いでくれます。
CPAP治療で日中の眠気や居眠りが減るため、運転中に眠くなったり仕事でのミスが減る可能性が高まります。また、CPAP治療では不整脈の減少や高血圧の改善、インスリン抵抗性の改善などの効果があることもわかっています。CPAP治療は、多くの患者さんに効果的な方法です。
CPAP治療を始める際の注意点
生活習慣の改善でよくなる場合もあるため、CPAPを始める前に患者さんの生活習慣の改善から行います。禁酒や減量、睡眠薬の使用制限、鼻疾患の治療、横向きに寝るなどで、ある程度重症度を下げられる可能性があります。
生活習慣の改善を行っても改善が見込めない際には、CPAP治療が必要になるでしょう。CPAP治療では、空気の圧力はそれほど強くありませんが、慣れるまでに時間がかかる場合もあります。慣れない場合には、日中にマスクをつけて10分ほどの睡眠を慣れるまで行い、慣れてきたら夜に使ってみるのもよいかもしれません。
保険診療でCPAP治療が対象になるのは、無呼吸・低呼吸指数が20以上の場合となります。
睡眠時無呼吸症候群でお悩みなら大阪梅田睡眠クリニックにご相談を
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療をお考えなら、大阪梅田睡眠クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。大阪梅田睡眠クリニックは、睡眠時無呼吸症候群以外にも不眠症やレム睡眠行動障害など、さまざまな睡眠障害や問題に対応している地域密着型のクリニックです。睡眠に関して、気になる症状がある方は気軽に相談してみましょう。
豊富な経験を持つ睡眠医療のスペシャリストによる睡眠治療
大阪梅田睡眠クリニックでは、長年睡眠医療に携わってきた豊富な経験を持つ医師による睡眠治療を受けられます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、まず鼻咽腔ファイバー検査とCT検査を実施し、その結果に応じて簡易検査と精密検査が行われます。
肥満傾向の方には、ダイエット指導やカウンセリングなども行い、生活習慣の改善を図っていきます。ほかの睡眠障害では、行動療法や薬物療法などを組み合わせた治療が行われます。
患者さんに寄り添い眠りのお悩みをサポート
睡眠の問題といっても、一人ひとり状況や状態が異なります。そのため、丁寧に患者さんのお話を聴く必要があるでしょう。
大阪梅田睡眠クリニックは完全予約制で、患者さん一人ひとりに寄り添ったサポートを提供されています。
また、大阪梅田睡眠クリニックを含めて秋田や京都など全国5箇所で睡眠クリニックを展開しています。各地域に根付いた睡眠医療を行っているのが特徴です。
通いやすい立地で患者さんのライフスタイルに合わせた治療
大阪梅田睡眠クリニックは、阪急梅田駅の茶屋町口から歩いて1分の立地にあるため、通いやすいクリニックです。
平日は週に二日は21:00まで開院しており、20:00までに来院すると睡眠検査を受けられます。また、土曜日も開院しているため、平日は通院が難しい場合でも通いやすいでしょう。
完全予約制のため、待ち時間が短くて済むのも利点です。
大阪梅田睡眠クリニックでは、通常の生活を送りながら睡眠治療を受けられるため、気になる症状がある方は相談してみてはいかがでしょうか。
大阪梅田睡眠クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
阪急京都線 梅田駅 茶屋町口徒歩1分
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※睡眠に関する診察は予約制
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