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眼瞼下垂の手術は保険適用される?手術方法・手術の流れについても解説します

 更新日:2023/08/16
めまい

まぶたが重い・目が開けづらい・眠たそうな顔だといわれる、などの症状はありませんか。このような症状でお悩みの方は、眼瞼下垂かもしれません。

この眼瞼下垂とは、上まぶたが垂れ下がり目が開けにくくなってしまった状態のことを指します。

眼瞼下垂の治療では、手術が行われることが多いのですが、実際の治療費は保険適用になるのでしょうか。

美容整形と似た手術ですが、そことの判断はどのように行っているのでしょうか。

この記事では、眼瞼下垂の手術は保険適用されるのか・手術の方法・手術の流れについて解説します。

思い当たる症状のある方、眼瞼下垂の治療をお考えの方は是非参考にしてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

眼瞼下垂の手術は保険適用される?

医師
眼瞼下垂の手術はほとんどの病院で保険適用されます。健康保険が適用になるので、患者さんは自己負担分のみの支払いで手術を受けられるのです。
ただし、まぶたの形や幅に手を加えて自分の好みにしたり・二重にしたり・シワを取ったりするなどオプションを加える場合は自己負担となります。
このように美容目的での処置との境目が曖昧な場合もあるため、保険適用の手術を受けるにはこれから紹介する条件と医師の判断が重要になるのです。

眼瞼下垂の保険適用の条件は?

眼精疲労
前述の通り眼瞼下垂の手術は、まぶたの美容整形との区別が曖昧な部分もあるといわれます。
そのような眼瞼下垂の治療・手術が保険適用になるには、日常生活に支障が出ている・特有の症状があることの2点が条件になります。
日常生活で支障が出ているというのは、例えば先天的な原因か、後天的な原因に関わらず目が十分に開けられず視野が狭くなってしまっている状態です。
視野が狭くなってしまうと、室内や屋外での転倒の原因になったり、家事や趣味も十分に行えなくなったりしてしまいます。
特有の症状としては、まぶたのたるみ・目の開けにくさ・まぶたの痙攣などが主なものになります。
しかし、これらの条件は病院やクリニックによって異なる場合も多いのです。条件の異なる理由は、時と場合に応じた医師の判断に重きがあるためになります。
ここでは眼瞼下垂の手術が保険適用になる条件について詳しく解説します。

日常生活に支障があるかどうか

眼瞼下垂の治療が保険適応になるためには、日常生活に支障があるかどうかが条件のひとつとしてあります。
例えば、以下の場合は日常生活に支障が出ているといえます。

  • 生まれつきの眼瞼下垂症で目が開きにくい
  • 老化や過去の病気による眼瞼下垂で視野が狭い
  • 長期コンタクト着用による眼瞼下垂で視野が狭まってしまった
  • 目を開けたいのにまぶたに力が入らない
  • 目を開けようとするとまぶたが痙攣する
  • 視野が狭くて転倒や歩行に不安がある

これらのように先天性、後天性どちらの原因でも上まぶたが垂れ下がり、視野が狭くなって日常生活に支障が出ていると医師に判断されれば、手術は保険適用になります。
視野が狭くなっていると、見えにくさによる歩行時の不安・家事動作がままならない・趣味が楽しめないといった、基本的な生活もままならなくなってしまうのです。
日常生活を安全に送れるようにするための治療なので、保険適用での手術が受けられます。

特有の症状があるかどうか

眼瞼下垂の治療が保険適応になるためには、眼瞼下垂特有の以下の症状があるかどうかが条件になります。

  • 腱膜のたるみで目を開けるときにおでこにシワができる
  • 目を開けようとしても目が開かない
  • 目を開けようとするとまぶたが痙攣する
  • 目は開くがまぶたが弛んで視界が悪い

病院で医師の診察を受けると、まぶたのたるみ以外に、目を開けようとしたときの痙攣や視野の狭さなどこういった目の動作・状態・機能の確認がなされます。
視力や既往歴の確認など、まぶたの状態以外のことも問診で問われるので準備しておきましょう。
まぶたの腱膜のたるみがあると、眼瞼挙筋の力が伝わらないのでおでこの力で目を開けようとします。すると、目を開ける際におでこにシワができるのです。
また、腱膜が外れていると、おでこの力を使っても全く目が開けられなくなり、日常生活に支障がでます。
目を開けようとするとまぶたが痙攣するのは神経に異常がある可能性があるのです。
目が開いていても、まぶたのたるみで視界が悪い場合は主に目尻のほうで皮膚が垂れ下がり、視野が狭くなってしまいます。
眼瞼下垂にはこれらの特有な症状があり、これらに該当すると保険適用での治療が受けられるのです。

クリニックによって条件が違うケースもある

医院
眼瞼下垂の治療が保険適応になる条件は、日常生活に支障がでているか、特有の症状があるか、です。
しかし、治療を行う病院やクリニックによってこの条件が異なる場合があります。
なぜなら、保険診療の基本ルールとして健康保険法やその他法令に基づいたものでなければなりません。
医者が病院等の保険機関で健康保険法・医師法・医療法・医薬品医療機器等法を遵守した上で、医学的に正しい診察を行って判断されます。
つまり、眼瞼下垂の診察を行った医者の判断を元に、保険適用かそうでないのかが決まります。
どこからどこまでが保険適用での治療なのか、どこからが保険適用外の美容目的の手術として扱われるのか、診察を担当した医師にご確認ください。
このように眼瞼下垂も他の症状の治療に関しても、診察を行った医師が規定を遵守して保険診療にするべきか、保険外診療にすべきかを判断します。
そうなると、医者によって判断が異なる可能性があるため、クリニックや病院によって保険適用の条件が違うケースがあるのです。

眼瞼下垂の手術方法は?

女性の目
前述の説明の通り、眼瞼下垂の手術は条件によっては保険適用になり、料金の負担は自己負担分のみであることがわかりました。
そしてその条件は各病院の医師の判断によるところが大きいので、病院やクリニックによって異なることがあることも解説しました。
しかし、実際の手術をするにあたって、目のどこにメスを入れるのか・後遺症はないのかなど手術の内容を知っておかないと不安だと思います。
保険適用かどうかなどの料金の話の他に、実際の手術方法についても知っておきたいところです。
では、眼瞼下垂の手術には一体どのようなものがあるのでしょうか。ここでは眼瞼下垂の4つの手術方法について解説します。
4つの手術方法をひとつひとつ解説しますので、ご自身の状況と照らし合わせながらご覧ください。

眼瞼挙筋腱膜前転術

まぶたには目を開けるための眼瞼挙筋といわれる筋肉やそれを支える腱板や腱膜に、適切な長さや柔軟性があることによって、目を開けることができています。
そのため、腱板や腱膜が正常な位置にあり正常な働きができなくなると、目が開けられなくなってしまうのです。
眼瞼下垂が重度の場合は、眼瞼挙筋の腱膜が腱板から外れて、まぶたが持ち上がらず目が開かなくなります。
そのような場合には、眼瞼挙筋腱膜前転術が有効です。
眼瞼挙筋腱膜前転術とは、外れてしまった腱膜と腱板を再固定することによって、まぶたを持ち上げる機能を回復する手術になります。

眼瞼挙筋短縮術

先程の解説でも出てきた眼瞼挙筋はまぶたを持ち上げて、目を開ける働きがあります。
そしてこの眼瞼挙筋は腱膜との連携によって、正常に目を開けたり閉じたりしているのです。
そのため、腱膜が何らかの影響によって弛んでしまうと、まぶたも弛んでしまうので視野が狭くなってしまいます。
つまり、この眼瞼挙筋短縮術とは、緩んだり伸びたりしてしまった腱膜を短縮して腱板に再固定することによって、まぶたが持ち上がるようにする手術のことをいいます。
この眼瞼挙筋短縮術を行うことによって、まぶたのたるみや動きにくさを改善させる効果があるのです。
また、眼瞼挙筋短縮術とまぶた皮膚の切開術を同時に行うことによって、開眼動作と皮膚のたるみの両方をより改善することができます。

前頭筋吊り上げ術

眼瞼下垂とは、まぶたが弛んで目が開きにくくなってしまった状態のことです。
本来なら、眼瞼挙筋がまぶたを引き上げる機能を持っているので正常に目を開けられるのですが、眼瞼挙筋の機能が何らかの影響によって失われている場合があります。
そういった場合に行う治療法がこの前頭筋吊り上げ術になります。
前頭筋吊り上げ術とは、このように眼瞼挙筋の機能がほとんどなく、まぶたを開けられない場合に有効な方法です。
具体的な方法としては、眼瞼挙筋の代わりにおでこの筋肉である前頭筋の力を使って目を開けられるようにする手術になります。
この手術では、前腕や大腿の筋膜や腱を使ってまぶたに移植することもあるのです。こうすることによって、眼瞼挙筋が機能しなくても、目が開けられるようになります。

皮膚の切開手術

皮膚の切開術とは、上まぶたの弛んだ皮膚を切開して調整することによって視野を広げる方法になります。
この4つの方法の中では、筋肉や腱膜、腱板等にアプローチせず、皮膚の表層や脂肪を取り除いてたるみを除去します。
眼瞼下垂の原因が皮膚のたるみのみの場合は、この皮膚の切開で改善することもありますが、他の手術と同時に皮膚の切開を行ってたるみを改善する場合が多いです。

眼瞼下垂の手術の流れ

医師の説明
ここまで、眼瞼下垂の保険適用に関して・実際の手術の方法に関して解説しました。
しかし、眼瞼下垂の実際の手術方法を知っていても、準備すること・注意点などがあるのか・どのような流れで手術を行うのか、初めての方は非常に心配に感じると思います。
手術と聞くと、痛い・傷跡が残る・後遺症・麻酔の不安など様々なことを考えてしまいますよね。
しかし、眼瞼下垂の手術はほとんどの場合、日帰り手術ができるほど手軽に受けられるものになります。
麻酔はまぶたのみの局所麻酔で手術の時間は1時間ほど、傷跡もまぶたのシワに隠れてほとんど目立たなくなっていきます。
しかし、手術後すぐは痛み・腫れ・内出血があったり、動きにくさや違和感があったりすることもありますし、数ヶ月経っても傷が完全に消えない場合もあるのです。
このように、眼瞼下垂の手術を行う上で事前に知っておきたいことはいくつかあります。
そのためここからは、眼瞼下垂の手術の流れを診察から術後に抜糸を行うまでの流れを具体的に解説します。

診察・カウンセリング

問診票
まずは眼瞼下垂に関して医師の診察・カウンセリングを受けます。
その際、医師はいつ頃からどのように進行したのか・日常生活に支障があるかなどを問診し、その後に検査やまぶたの測定を行い、治療方針を決定します。

手術

病室
眼瞼下垂に関する医師の問診や検査の後、治療方針に従って手術を行います。手術方法は多くの場合、まぶたのみの局所麻酔を用いて、まぶたのたるみ取りや動作の改善を図ります。
手術時間は先程解説したように、1時間から1時間半程度のことが多く、原則入院なしの日帰りの手術です。
また、遠方にお住まいの場合は病院によっては1泊入院を行っているところもあります。

経過観察・抜糸

無事に眼瞼下垂の手術が終わり、まぶたのたるみや動作が改善したのが確認できたら、手術は終了です。
眼瞼下垂の手術当日は、短時間で終わる手術とはいえ、飲酒・入浴・激しい運動は控えなくてはなりません。
手術の翌日に再度病院へ行って、手術後の状態やまぶたの動きの検査を行って問題がなければその日から入浴が可能になります。
抜糸は手術後1週間程度で、その後は病院によって異なりますが定期的な診察を行って問題がなければ治療完了です。

手術にかかる時間はどのくらい?

時計
眼瞼下垂の手術にかかる時間は、両目を同時に行う場合も1時間から1時間半ほどと、比較的短時間で終わる手術です。
ほとんどの場合、局所麻酔を用いて入院なしの日帰りの手術が行われています。

手術後のダウンタイム期間はどのくらい?

目が疲れた女性
眼瞼下垂の手術後は1ヶ月ほどで自然な状態に戻りますが、完全に治るまでには数ヶ月かかる場合もあるのです。
手術後1週間ほどは、腫れが強く現れて二重まぶたの幅が普段より広く見えますが、徐々に治まります。
内出血も傷跡も完全に消えない場合もありますが、まぶたのシワによって目立たなくなっていきます。
このように手術後数カ月間は違和感がありますが、徐々に自然な状態になっていくのです。

眼瞼下垂の治療について詳しく知りたいなら

医師
眼瞼下垂の治療について詳しく知りたいなら、お近くの形成外科への受診をおすすめします。
形成外科では、眼瞼下垂による見えにくさの改善と複合的に起こる肩こり・頭痛・見た目の改善を目指した治療を行っています。
眼瞼下垂は誰もがなるものなので、気軽にご相談ください。

編集部まとめ

女性OK
今回この記事では、眼瞼下垂の手術は保険適用されるのか・保険適用の条件・手術方法・手術の流れについて解説しました。

先天的なもの、後天的なものに関わらず眼瞼下垂が起きて、日常生活に支障が出ている場合はほとんどの病院で保険適用にて治療が受けられます。

このように保険が適用になるということは、料金は自己負担分のみなので比較的良心的な料金で治療を受けられるでしょう。

ですから、眼瞼下垂による視界の悪さや見えにくさでお困りの方は、一人で悩まずお近くの形成外科病院やクリニックへの受診をおすすめします。

この記事の監修医師